ep.417 凍てつく白夜:雪山ロケと猫二の「先行投資」
オーロラ温泉の熱気が、遠く後方へと消えていく。一行が次に足を踏み入れたのは、標高八千メートルを超える「パルミエ連峰」
一息吸えば肺が凍りつくような極寒の地だが、咲姫のメガホンが響けば、そこは「感動の雪山登山シーン」の舞台へと書き換えられる。
■ Lv.18:主役の「美味しい」苦行
猛吹雪を切り裂き、主役の騎士と餡子熊王が先頭を進む。「パパぁ! 雪山を背景にしたパパの立ち姿、最高にクールなのですぅ! もっと高い崖の先端でポーズをとるのですぅ!」「サヨ、パパが凍らないように、心の底から『熱い愛の視線』を送っておきますねぇ」左右からアリスとサヨに煽られ、騎士はマイナス八十度の突風に耐えながら、崖っぷちで剣を構え続ける。一方、餡子熊王は咲姫から「雪山の守護神」という役を与えられ、上半身裸で巨大な雪男と相撲を取らされていた。「ヌンッ! ……この肉、脂が乗っていて……撮影後は美味そうだな」彼は食欲という名の狂気で、己の体温を維持していた。
■ Lv.17:猫二の暴走と「負債」の罠
この極限状態は、猫二にとって絶好の商機だった。「にゃはは! 皆さん、この寒さで死にたくなければ、俺様特製の『超高気密防寒具』を買うにゃ! 今ならキャンペーン価格で、一着1,000,000NkQ(定価の10倍)にゃ!」猫二は「撮影経費」の名目で、勝手に他惑星から大量の防寒具を仕入れ、運営の帳簿に無理やり計上していく。超新人が「……これ、アリシアさんにバレたら……」と青ざめるが、猫二は止まらない。「大丈夫にゃ! 撮影が成功してうさちぁぁん様が投げ銭をバラ撒けば、一瞬で元が取れる計算にゃ!」しかし、彼が発注ボタンを押すたびに、アリシアの端末には「猫二様の個人資産を担保とした、緊急融資(年利400%)」の文字が刻まれていく。
■ Lv.16:過酷さを増す「村人」の支援
主役を輝かせるため、エストフェリア組と新スタッフは酷使される。雷電は、主役の足場を確保するため、氷の斜面を一瞬で階段状に斬り刻み、バッシュは吹雪から撮影隊を守る「防風壁」として不動の構えを貫く。象獣人は、この雪山でも「生体ソリ」として、うさちぁぁんと咲姫を乗せて急斜面を這い登らされていた。「鼻が……凍って……感覚が……」魚人は「雪の中から飛び出すやられ役」として、雪中に埋められたまま合図を待っているが、その体はすでに半分ほど氷像と化していた。
「にゃうにゃあ! 最高なのですー! 寒さに耐える皆さんの横顔、これこそ『真のホワイトな根性』なのですー!!」
咲姫の絶賛が虚空に響く。「無料」で「幸福」だった温泉の思い出は、今や遠い夢。パルミエの雪山は、静かに、だが確実にその牙を剥き始めていた。
ピックアップ
騎士(Lv.18:凍える英雄) 雪山の頂で、娘たちのリクエストに応え続ける。鎧の表面には霜が降りているが、家族の「愛」による内熱だけで生存している。
猫二(Lv.17:借金王への序曲)
ぼったくり販売で大儲けしているつもりだが、実はアリシアによって「運営経費を個人的に横領・補填する」という無限借金ループの契約書にサインさせられている。
魚人(Lv.16:冷凍保存)
「出番まで雪の中で待機」という指示を忠実に守り、物理的にフリーズ。咲姫からは「完璧な演技力なのですー!」と、本物の氷像と間違えられている。
雪山へと舞台を移し、環境の厳しさと比例するようにシステムの歪みを加速させました。猫二は自分の暴走が自分を滅ぼす「罠」であることに気づかず、主役たちは「ホワイトな撮影」という名目でさらに過酷な労働へと追い込まれます。ここから雪原、森と進むにつれ、この「ホワイトな皮」はさらに薄く、鋭利な地獄へと変貌していく予定です。
【着想】
猫二:"横領"
緊急融資:地検
といっても昔のドラマ"HERO"からイメージしました。
HERO思い出して→DVD見直して→悪い人(着服してる人)がバレないと思って経費を使い込み私腹を肥やす⇒けどこれじゃ面白くない(咲姫の美学)⇒偉い人(経理担当:アリシア)には知られている→悪い人(猫二)は気付かない。




