第四十六章:高カロリーの深淵、そして「極光のシュガー・カリバー」なのです!
「……さらっと。マヨネーズの粘性による物理減衰率、98%。……現在の『硬度:鉄のチュロス』では、油分に弾かれ、クラーケンの高カロリーな外皮を貫けません。……騎士様の残りの有給休暇と、将来の厚生年金受給権を等価交換。……武器の強制アップデート、執行します。アーメン」
アリシアが、ヌルヌルになった指で無慈悲に「契約完了」のボタンを押し込みます。
「……っ、う、うがぁぁぁ!!私の、私の老後の唯一の希望(年金)まで、マヨネーズの藻屑と消えたのですかーー!!もう、もう何も守るものがない!私は、私は虚無の騎士だぁぁ!!」
騎士が、マヨネーズの海で仰向けに浮きながら、バキバキの瞳で天を仰いで絶叫した。その犠牲と引き換えに、白塩城の地下にある「精霊鍛冶場」が激しく燃え上がる。
「あはは!最高だよぅぅ、孝平くん!犠牲が大きければ大きいほど、武器の美学は輝きを増すんだからさぁ!ほら、サヤ!マヨネーズを切り裂く、最高にキレのある一本を仕上げちゃってよぅぅ!」
うさ監督が、全身マヨ化粧水でテッカテカになりながら、「みしお・うさちぁん」号の鞍の上で酒瓶を掲げた。
「……了解。サヤの魔導錬成、起動。……魔法式『絶対・零度・キャラメリゼ』……騎士様の悲鳴を熱源に、チュロスを究極の結晶体へと再構築します。……南無」
サヤが杖を振ると、マヨネーズの海を割って、勇者・孝平の手元に一筋の眩い光が収束した。
それは、もはやパン生地の面影をわずかに残すのみの、クリスタルに輝く聖剣。
「……これが、僕の新しい力……。『極光のシュガー・カリバー』……!!」
「にゃうにゃああああ!!撮れたのです!マヨネーズの濁った世界を切り裂く、糖度100%の閃光!咲姫アイ、今、全米のスイーツ愛好家が膝をつく一枚を固定したのですー!」
咲姫が、油分で滑る床を這いずりながら、聖剣を掲げる孝平をドアップで激写する。
「ボクの可憐な応援も、この剣の輝きを22NkQ倍にしちゃいますよぉ♪ほら、支倉さん!来ましたよ、あの脂ぎった巨大なやつがっ!」
新人があざとく指差す先。海面が大きく盛り上がり、吸盤のひとつひとつが「マヨネーズのボトルの口」になった超巨大なマヨネーズ・クラーケンが姿を現した!
「……やらせない。僕の仲間が、騎士さんが捧げた……全ての想い(年金)を、無駄にはさせない!」
勇者・孝平が、ダイヤモンド・チュロスを構え、マヨネーズの波を音速で滑走する!
「はあああああ!!必殺・『エマルジョン・スラッシュ』!!」
極光の閃光がクラーケンの触手を一刀両断!切り口からは、なぜか完璧に乳化された「最高級タルタルソース」が噴き出し、砂漠から持ち込んだ「一味唐辛子」と混ざり合って、惑星全体に芳醇な香りが広がった!
武器ランクアップ!騎士の年金と引き換えに、勇者は「ダイヤモンド・チュロス」を手に入れた!
クラーケンは今や、一味唐辛子入りの「特製ピリ辛タルタル」へと加工されつつあります。




