大安売りデセール
「わし、儂は、どうなるのでしょうか? 探偵さん」
「満福さん。私の話聞いてました? 私は探偵じゃないって、言ったじゃないですか」
「警察でも、なんでも、」
「だーかーらー。私は、探偵なんかじゃないって言っているでしょ。断食道場破りに来たんですっ。燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや。分かりませんか? あなたのところの看板をいただきたいんですっ」
「看板?」
「宗教法人という看板です。うちの看板で商売すると、ピーチークパーチーク、ピーポーパーポー、うるさくて。ねえー、満福さん」
「あんたら。同業者か?」
「同じ業物。鎬を削り合っちゃー、無事ではすみませんでしょう。な、か、よ、く。いたしましょう。あなたのシノギとデブガイは、手前ども、葦原家がいただきます。私たちの家族は空腹で、人を食ってきゃならないのです。心配をなさらずとも、お父様は、太っ腹です。豪胆不適。あなたには、引き続き、お仕事、頑張ってもらいます。引っ張りに、ちぎれないで、くださいね。殺生せずに、生殺し。殺さず死ぬまで搾り取り。流石に詐欺師の基本は、できていますでしょ?」
私は、わざとらしく左目を瞑り、右目の前で、右手の人差し指と親指で輪をつくり、満福の顔を覗き込む。
右手で輪をつくったまま、エトワールのように、上に、横に、下に、胸の前に、腕を大きく内転させる。
「さあさ、お足で稼ぐ、お立ちなさい。自転車操業、火の車。チャリンチャリンと、なーんちゃって」




