プロローグ 転生前にできた教訓
初めて投稿します。行き当たりばったりになると思いますが、楽しんで書きたいなと思います。
異世界に行く前のプロローグです。飛ばしてもらっても問題ないです。
普通の世界での主人公がどんなキャラクターなのかを書ければいいなと思います。
俺は別にイケメンというわけではない。ただ、不細工だとは微塵も思っていない。
自らの顔に点数をつけるなら70点てところかね。中3にして身長も180㎝弱あるし、コミュ力もそこそこあると思う。
実際、俺の中学生活は割と充実している。彼女はいないが、クラスメイトの女子とは結構仲が良いし、男子に関してはかなり仲が良いと思う。まあ、俺が通っている学校は公立だから、ほとんどの人は地元が同じの幼馴染みたいなものだ。
「行ってきまーす」
「待って!優!今日は午後から雨みたいよ!傘持ってきなさい!」
「あいよー」
母の見送りで家を出る。受験も終わり、中学生活も残すところ2週間。この時期は卒業まで特に授業もないので、受験が終わっていない生徒以外は自由登校だ。ただ、月曜日は卒業式の練習で全員が登校する。
「おーす。え、今日雨降んの??」
家を出て、数分歩いてると、幼馴染の武田が眠そうに話しかけてきた。こいつとは同じバスケ部で、引退するまで登下校は一緒だった。
「らしいよ。母さんが午後から雨降るって。まあ、午前で終わるし大丈夫じゃない?」
「お前わかってねーなー。今日含めてあと2回しか登校日ないんだぞ。遊ぶに決まってんだろ。馬鹿かアホ。」
「言い過ぎだろ。笑 まあ、でも、それもそうだな。」
そんな他愛もない話をしていると学校に到着し、教室にてクラスメイトと雑談しながらHRの時間を待つ。すると、珍しい人に話しかけられた。
「優くん。おはよう。」
「ん。おぉ、おはよう高橋。」
特別仲が良いわけでもなく、悪くもない、話題があれば話す程度の関係の高橋 由美がわざわざ席まで来て挨拶をしてきたので少し驚いた。
「今日の放課後って時間あったりするかな?少し話があるんだけど・・・。」
『この雰囲気は、告白かな?・・・いや、自惚れるのはやめよう・・・。』
「オッケー。帰る方向同じだし、帰りながらでもいい??」
「う、うん。ありがと。あ、あとでね。」
予想だにしないイベントに正直舞い上がった。男子中学生にとって女の子のお誘いは何よりも嬉しいのだ。何よりもだ。
すると、こちらは予想通りに突っかかってくる。武田だ。
「へ〜。ふ〜ん。俺との約束は??」
「だまれ。お前とはいつでも遊べるだろうが。お前なんかより女の子の方が優先順位が高いんだわ。」
「で、付き合うの??ねえ。どうなの??」
「はい??何いってんの?話があるだけだろ?」
「いやいや。しらばっくれんなって!期待してんだろ?」
正直期待している。ものすごく。とても。だがしかし、これが勘違いだった場合の恥ずかしさは尋常じゃない。だから、「なんのことかわかりません」という顔を作る。必死に。それはもう必死に。
別に告白されたことがないわけではない。だが、告白されて嬉しくないわけがないし、鬱陶しいと思えるほどモテているわけでもない。
しばらく武田から揶揄われていたが、面倒な顔をすると引き下がってくれた。ちなみに、武田はしつこいのでモテない。おそらく。
そして、HRの後、卒業式の練習をして、ちょうどお昼頃に放課後を迎えた。
「んじゃ、一緒に帰るか。」
「う、うん。」
妙に緊張感がある話し方に、すでに俺はドキドキしていた。周りもこっちをチラチラ見ている気がする。むず痒い感覚を覚えながらも昇降口まで2人で歩く。
すると、母の言うとおり、雨がちょうど降り始めていた。
「傘忘れちゃった・・・。」
高橋が困った顔で言った。
心の中で感謝する。『偉大なる母よ。今日、私に傘を授けてくれたことに一生報います。』
今日、中三に終わりにして、優は親孝行を誓った。
「俺の傘に入りなよ。」
「・・・う、うん。ごめんね。ありがと。」
はい決まった。俺かっこいい。もう周りの反応とかどうでもいい。目の前の女の子にいい格好できれば、この世の大体のことは瑣末なことである。
同じ傘に入り、しばらく二人は無言で歩く。こう言う時に気の利いた話ができればいいのだが、残念ながら無理だ。いくらコミュ力がそこそこと自覚していても、所詮中三の童貞である。
高橋の容姿はクラスの中では可愛い方だ。中学生らしい黒髪のボブで、身長は150㎝くらい。静かでおとなしい性格をしているが、案外話しやすいし、友達も少なくない。
無言の間、俺は逡巡する。仮に告白された場合の返答を。実際、今日の朝まで高橋と交際すると言う想像をしたことがない。もちろん可愛いとは思うし、良い子だとも思う。俺は別に好きな人がいるわけでもない。もし彼女が俺にできるとすれば、俺を好いてくれている子になるだろう。
ただ、卒業直前のこの時期であれば、話が変わってくる。
高橋と俺は違う高校に通うし、正直これからの新しい出会いに期待していた部分もある。
「・・あ、あのさ、話って何かな?」
俺は痺れを切らして話しかける。俺の中でまだ答えは出ていない。
しかし、無言にも耐えられなくなってきた。
「・・・あ、あのね。」
彼女の緊張が伝わる。俺の傘を持つ手にもグッと力が入る。周りの音は聞こえない。雨音すらも。
ようやく確信する。告白されるのだと。
「優くんのことが好きなの。そ、卒業するまでに伝えたかったの。」
時が止まった。期待していたし、予想もついていた。しかし、彼女が振り絞る声を聞いて、俺は息ができなくなった。そして、自己嫌悪にも陥る。先ほどまで俺は、天秤にかけていたのだ。目の前の高橋と新しい高校での出会いを。彼女の勇気を考慮せずにだ。最低だ。
「・・・・。ありがとう。」
続く言葉がなかなか出てこない。息がつまる。
だが、彼女はもっと苦しいだろう。俺の次の言葉までの時間を永遠のように長く感じているだろう。
しかし、勇気の報いる形で告白の返事をするのは、違う気がした。きちんと俺の正直な気持ちを伝えるべきである。ゆっくりと声を振り絞る。二人はいつしか雨の中、立ち止まっていた。
「すごく、嬉しい。ありがとう。」
「・・・うん。」
「朝話しかけられた時に、そうかもなって。もしかしたらって。」
「うん。」
「正直に言うと、今俺に好きな人はいないんだ。少し言い方は悪くなっちゃうんだけど、高橋も含めて。」
「うん。」
彼女は悲しそうな顔をした。でも目を逸らしてはいけないと思った。そして、俺は言葉を続ける。
「だから、今は誰とも付き合うとかは考えられないんだ。ごめん。」
彼女の目には涙が見える。その目を逸らさず、俺は続ける。
「虫のいい話なんだけどさ、連絡先を交換するところから始めさせてくれないかな?今は交際とかは考えられないけど、俺も今、心の整理ができていなくて。でも、高橋とはこれからも仲良くしたいんだ。」
ああ、最低だ。彼女にはどう伝わっているのだろうか。キープしているように聞こえるのだろうか。決して、そうではない。そうではないのだ。純粋に彼女のまっすぐな好意を受けて、前よりずっと魅力的に感じている。でも、それを伝えたところで、変に期待させるだけだ。どういう結末になるかは俺にもわからないのだから。
「・・・うん。私も仲良くしたい。」
そういって、連絡先を交換した。会話は続かない。今どんなことを口にしてもそれは蛇足だ。この話はこれ以上何もない。
「ごめん。先帰るね。」
そう言い残し、彼女は俺の傘から飛び出して行った。追いかけたいが、そんな資格はない。
彼女の走り去る姿が見えなくなるまで俺は立ち尽くしていた。
彼女との一幕を思い出しながらゆっくりとした足取りで歩みを進める。『あの返事はないわー』と自虐する。何が正しかったのだろう。
そんなことを考えていると携帯の通知が鳴る。
武田 晴久:おい!どうなった!教えてゆうちゃん。彼女できたの?ゆうちゃん。
うぜえ。こっちは今物思いに耽ってんだよ。無視しよ。少なくとも1年間は。もちろん未読無視。ブロックでもいいかな。自由登校に心から感謝した。だって、武田と会わなくて済むから。
まっすぐ家に帰る気にはならなかった。一人になりたかった。傘を閉じる。雨に打たれて走って行った彼女を思い出したら、自分も雨に打たれたい気分になった。
まだ午後1時も回っていないのに、雨雲で辺りは暗い。先ほど降り始めた雨が強くなる。雨音を聞いていると自然と無になれた。
何も考えずに歩みを進めると、気づけば家から少し離れた小さな公園にたどり着いた。誰もいない公園のブランコに乗る。そのブランコの足元には水たまりができているが、今はどうでもいい。
今日1人の女の子を泣かせた。雨の中一人で帰らせた。彼女の好意に浮かれて、その好意をこれからの高校生活と天秤にかけた。
自己嫌悪が止まらない。わかっている。どんな答えを出したとしても後悔がつきまとうことを。人間関係は難しいのだ。
「おっと!こんなところにゆうちゃんが。風邪ひくぞ〜。」
最悪だ、一番会いたくない奴が来た。なんでここにいるんだよこいつは。そう、武田だ。
「未読無視は酷いんじゃないかな。ゆうちゃあん!」
まじでうぜえ。無視だ無視。
「いや、まあ、悪い、冷やかしすぎたか。どうしたんだよ。雨に打たれちゃってさー。思春期か」
「思春期だわ」
なんだかんだ言って、いつもの調子で話しかけてくれるのはありがたい。うざいけど。
「まあ、お前は人に悩みを相談するタイプじゃないからな。どうせ聞いても話さねんだろ。予想はつくけども」
「そのとおりだ。じゃあ、ひとりにしてくれ」
「やだね。」
こいつなりの優しさなのだろう。突っ込んで話を聞かないでくれるのはありがたい。確かに、こいつが来てから少し元気になってきた自分がいた。
武田は口数の少なくなっている俺に話を続ける。
「まあ、そんだけくらってるってことは、お前が真剣に考えたってことだろ。時間が解決するさ」
ただの慰めだ。でも、今の俺にはありがたい言葉だ。隣の親友は俺の葛藤を見透かしたように、欲しい言葉をくれる。一緒に雨に打たれてくれる。持つべきものは友だなと思う。
武田は続ける。
「まあ、俺から言わせてみれば、お前が落ち込むのも失礼な話だぜ。ほんと。」
武田の言うとおりだ。ぐうの音も出ない。今俺にできるのは、浮かれていた自分を諌めて、次に高橋にあった時に、俺の方から話しかけて、気まずさを残さないようにするくらいだ。
「帰ろうぜ。悩むなら家で悩め。おばちゃん(優の母)も心配してるぞ」
「そうだな。」
「傘使わねーなら俺によこせ」
「やだよ笑」
こいつの軽口に頬が緩む。武田がきてなかったら、いつまで公園にいたのだろうか。今日のところは感謝しよう。
公園で武田と別れ、傘をさして帰る。足取りは先ほどより軽くなっていた。
「ただいま〜。タオル持ってきて〜。」
「うわっ!なんで傘持ってったのにそんなビチャビチャなの!?風邪ひくよ!早く風呂入んな!」
母がいつも通りなのも今日はいつもよりありがたく感じる。
風呂に入り、食事をとって自室に戻る。今日の出来事はいまだに頭からは離れない。でも、そうあるべきだなとも感じている。
今日彼女が振り絞った勇気は、俺の時を止めてしまうほどのエネルギーを持っていた。そして、俺の心に大きな楔をうった。
今日俺の隣で励ましてくれた彼は軽口を叩きながら、元気をくれた。
そして母はいつものように、いつも通りをくれた。
優は今日を忘れることはないだろう。
自分を大切に思ってくれている人は多くのものを与えてくれているのだなと身に沁みて感じた。
そして、それに報いることのできる人になろうと誓って目をつむった。
はい。次回かその次には転生したいので、お約束ですが、そろそろ死にます。
なので、高橋や武田は主人公にとっては大切な存在ですが、異世界には登場しません。
異世界に行ったら、多少覚えやすい名前にしようと思います。
キャラ紹介
●東海林 優 主人公。家族構成は母子家庭で、一人暮らししている大学生の姉がいる。その他設定は今後の話で足していきます。
●武田 晴久 親友・幼馴染 ガタイがいい体育会系。モテない。いい奴。
●高橋 由美 クラスメイトの女の子。中2から主人公に思いを寄せていた。優に振られた。その後、クラスメイトが優の様子を見かけており、落ち込んでいたと聞かされ、ちゃんと考えてくれていたことに少しの嬉しさを感じている。




