1話
僕は毎日教室にいるある女の子を見ている。
その子はいつも本ばかり読んでいるもの静かな子だ。
誰とも話さず、彼女はいつも本しか読んでいない。
だけど、僕はそんな彼女を毎日見ている。
目から離れない。
彼女はロングヘアーで、いつも本を読んでいるからあまり顔は見えないけど、彼女はとても可愛い。
『おい、サッカーいこうぜ』
『いや、僕はいいよ』
こいつは僕の親友の健渡だ。
元気で、スポーツ万能のいかにも男子って感じの奴だ。
『ああ、なるほど。お前はまた沙希さんのことを見ていたわけか』
健渡は沙希ちゃんの方を向きながら、いたずらっぽく言った。
『いいだろ。別に』
僕が恥ずかしそうに言うと、真剣な声色で言ってきた。
『これはお前のために言うけどさ。今のうちに諦めろよ。可愛いって見てるだけならいいけど、本気ならお前が傷つくぞ』
『どういうことだ?』
少しムッとした。
『考えてもみろ。あんな可愛い女の子が、女子は愚か男子からすら声をかけられない。普通に考えたらおかしいだろ』
健渡はクラスメイトを見渡しながら言った。
『沙希さんはそれぐらい他人とは関わらない子何だ。お前以上の引込思案か。それとも誰かといるよりも
本の方が好きっていうような子だろ。どっちにしてもクラスの誰もが話さない奴と、お前が話せるか?』
その言葉には言い返せなかった。
確かに僕は人見知りだし。前に出れない方だ。
だけど・・・
『そう、だな・・・』
『まあ、でも好きなら仕方ねえんじゃねえか?頑張ってから諦めるっていうのもありかもしれないぜ』
健渡は僕の肩にポンと手を置くと、笑顔で行ってしまった。
『そんなこと言われてもな・・・』
僕は再び彼女のことを見ていた。
すると、いつもの三人組が彼女の元に向かった。
『ねぇ、あたし喉渇いちゃった。ココア買ってきてくれない?』
クラスの中で番町のような存在の愛。
彼女に唯一近づくのはこいつらだけだ。
だけど、近づく目的は普通ではない。
彼女はいつも頷いて、文句一つ言わずに愛に言われた物を買ってくる。
それを愛に差し出すと、彼女はまた本に目を戻す。
愛はいつもつまらなさそうにそれを見ている。
つまらないなら彼女をいじめなくてもいいのに・・・
いじめ何て最悪だ。
僕は三人組を見つめながら心の中ではき捨てた。
彼女は放課後はいつも図書室に行く。
よっぽど本が好きなんだな。
僕も一緒に図書室で彼女と話したい・・・
『おい、晃帰ろうぜ』
『あ、あぁ・・・』
彼女のことをもっと知りたい。
一体何処に住んでいるんだろうか。
いつもどんな本を読んでいるのだろうか。
本以外には何が好きなのだろうか。
僕の頭からは結局彼女のことは離れなかった。
翌日も僕は彼女のことを見ていた。
相変わらず彼女に話しかける奴はいない。
僕も彼女に話しかけられたらな・・・
そんな時だった。
彼女に話しかける奴がいた。
『えっ、彼女に?誰が?』
僕は驚いてつい立ち上がってしまった。
クラスの皆も少し注目していた。
『あっ』
小さな彼女の声が何故か俺にははっきり聞こえた。
『ありがとう。じゃあ、またね』
その時に彼女の微笑んだ顔を始めてみた。
話しかけた男子も、微笑んでいた。
何であんなに彼女と笑いながら話せるのだろうか。
『誰なんだろうか?今の奴は・・・』
クラスの奴らも少しざわざわしている。
『おいおい。晃お前先越されたんじゃねえか?』
健渡が笑いながら言った。
だけど、健渡の拳は何故か少し震えていた。
『何であんなに・・・』
僕は呟きながら、彼女達の方をずっと見ていた。
少しして、男子は教室を出て行った。
扉の閉まる音と同時に、クラスの皆はまたいつものように過ごし始めた。
僕一人は、廊下の方をしばらくじっと見つめていた・・・
彼女のことを知りたい。
そう思ったのはいつからだろうか。
最初はただ可愛い子がいる。そう思っただけだった。
だけど、物静かで、何処か浮世離れした彼女を見ていると、いつの間にか彼女のことが気になっていた。
彼女に話しかけたいと思った。
だけど、いつ見ても彼女は誰とも話してはいなかった。
僕は元々女子に自分から話しかけること何て出来なかった。
今まで女の子を好きになったこともない。
だから、僕はどうすればいいのかわからない。
だけど、この出来事が僕を大きく変えてくれた。
いつも踏み出せなかった一歩を、踏み出すことが出来た。




