第29話 一番人気の精霊は
「もしかしてオヴィは魔力が物凄く多いのかな。でも、動物って魔力持ってたっけ?それとも皆、見たことはあっても僕には黙ってたのかな。今度渡り鳥の子達に聞いてみようかな。」
アランが何やらぶつぶつと考え込んでいる。
いや~たぶん私が精霊だからかも、とは言いにくいな。
「そうだっ!妖精ってどんな姿してた?」
「えーと、小さくて人間の赤ん坊みたいな見た目に虫の羽が生えてたかな。」
「そうなんだ。僕も見てみたいなー!」
年相応な表情で楽しそうにしている様子に安心する。
「妖精好きなの?」
「うん!だって本でしか見たことないし、いつかは自分の目で見てみたいんだ。」
「ちなみにー精霊とかってーどう思うー?」
何でもない風を装いながら、それとなく聞いてみる。
「精霊様?僕見たことあるよ!大好きっ!」
「ふぇっ?」
うわーバレてたの?こんな質問しちゃって、恥ずかしいなー。それに大好きだなんて、照れちゃうなー。ふへへへ。
「僕がまだ小さい頃に空を飛んでるのを見たんだ!」
ん?私、空を飛んだことなんて一度もないな。
「精霊って猫の精霊じゃないの?」
「違うよー。言ったじゃない。猫の精霊様はこの数百年誰も見てないって。僕が言ってるのは、ドラゴンの精霊様のことだよ!」
「へ?ド、ドラゴン?」
「あれ?知らない?一番有名な精霊様で、神様の最初の御子様なんだよ。」
アランが言うには、ドラゴンは世界に十数頭しかおらず、中でも精霊様は黄金でできた鱗を持っているんだって。精霊様は世界中を旅しておられ、運が良ければ見ることが出来るらしい。しかも精霊様が上空を通った場所で、ごく稀に黄金の鱗が発見されることもあるみたい。そのためか、ドラゴンの精霊様が人間には一番人気らしい。ぐぬぬ。何故だかちょっぴり悔しい。猫可愛いのにぃー。
「し、知らなかったー。」
「そうだよね。猫は教会行かないもんな。」
あ、教会の裏口には、ボスとお話ししによく行くんですけどね。
「そうだっ!次の御神体を公開する日に教会へ来なよ!その日はいつも皆で教会へお祈りしに行くんだ。」
「うん!行く!次の公開日っていつなの?」
精霊の姿を模した人形っどんなだろ。見てみたいなー。妖精さんたちに祠のことを教えたら見たがるかも!一緒に見に行こう、って誘ってみようかな。
「明日だよ。」
「あしたーっ!?それならこんなに夜更かししちゃだめだよ!」
「ちょっとくらい大丈夫だよ。もっと妖精の話も聞きたいし。」
「だめー!早く寝なさーい!」
それにこれ以上妖精達について話してたら、ぼろがでそう。精霊っていう自覚も薄いのに、ひとにそう名乗るのも何だか変な感じだし。実はまだ、私が精霊だというのも妖精達の勘違いじゃないかと疑っているし…
アランの背中を頭でぐいぐいと押しやる。
「ほらほら、子供は早く寝るー。」
「もうっ、オヴィだって子猫じゃないか。わかったよ。明日絶対に教会に来てよ。」
「うん!もちろん!だって私も御神体見てみたいもーん。」
アランが立ち上がる。
「スキルのこと誰かに言ったの初めてなんだ。少しだけ気が楽になったよ。」
「そう?よかった!まあ、私猫だけどね!」
ふふふ、とふたりで笑いあってこの夜は別れた。
「また明日教会で!」
「うん。また明日ねー!」
おっと、こうしちゃいられない!妖精さん達に祠のことを話して、教会へ一緒に行くか聞いてみなきゃ!
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