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第16話 休憩中の管理人さん

今回は管理人さん達のお話です。



side管理人(オヴィ転生前)


どこかのとある場所にある休憩室の中で、一人の眼鏡をかけた細身の男性がコーヒーを飲みながら、ゆったりと椅子に座っている。

男性の風貌は、黒髪に七三分け、Yシャツに腕抜きという、まるで事務員を彷彿とさせるものだった。


遠くからドタドタとした大きな足音が近付いてくると、いきなり休憩室のドアがバァンッと音をたてて開いた。


「ようっ!おつかれさーんっ!」


事務員風の男性は、入ってきた男性を見て溜め息を吐く。


「もう少し静かにドアを開けられないんですか?それに、その服は何です?」


今入ってきた男性は、金髪でムキムキというアメコミヒーローのような見た目をしており、何かのアニメキャラがプリントされたTシャツを着ていた。


「すまん、すまん。おう、いいだろう?このTシャツ!俺はOTAKUになったんだ!」


「どんなTシャツでも好きに着たらいいと思いますが、何故仕事中にそれを着るんですか。」


金髪の男性は、それを聞いてニヤリと笑う。


「これを着てたらな、ある一定層の人間の転生手続きがもの凄くスムーズに進むんだよ。だから、いつもスーツの下に着込んでんだ!」


「あなた、転生一課でしたよね。そこで面倒な手続きってありましたっけ。」


「無いなっ!ほぼ本人確認のみだが、何故か俺の担当地域の人間達は、カウンター前でゴネだすんだよなあ。」


「ああ、まあそれは仕方ないですよ。個人の思想とか、宗教の問題もありますしね。」


「おう。一課でも、お前と同じ担当地域の奴は楽そうだぜ。皆、異世界転生だ!つってさっさと書類に名前書いて終了さ。」


「それは、…御愁傷様です。」


「そうだ!最近の転生二課はどうだ?何か面白いことあったか?」


金髪の男性が聞く。


「そうですね。そもそも二課に手続きにくる人間達は、人助けをする様な者達ですし、担当地域の特徴なのか、皆さん大人しい方が多いですからね。面白いことと言われても特には。」


事務員風の男性は淡々とそう告げた。


「そうなのか。願い事を1つだけ叶えて転生出来るから、もっと時間がかかって大変なのかと思ってたわ。」


「普通はそうでしょうけど、担当地域の方々が特殊なんですかね。説明すれば、すぐ転生後に意識を向けられる方ばかりですから。他の地域の担当者は大変そうですよ。」


「やっぱ、OTAKUってすげえな!この服を全員に支給するように、上に頼んでみるか!」


「やめてください。そういえばさっき、変わった願い事をした女性がいましたよ。」


事務員風の男性はTシャツから話を逸らすために、先程手続き案内をした女性のことを話し出した。


「変わった願い事?」


「はい。なんでも、猫になりたいんだとか。」


金髪の男性が、キョトンとした顔をする。


「猫?地球のあの?」


「ええ。」


「ええー。勿体なくないか?願い事は1つしか叶えられないのに。」


「なんでも、自由に生きるためらしいですが。」


「ふーん。地球の人間ってのも色々あるんだなあ。」


「へー。猫になりたいの?何だか面白そうだねえ。」



いきなり第三者の声が聞こえたことに驚いた二人は、背後を振り返る。


「うわっ、お疲れ様です。凄い格好ですね、イケてますよっ!」


「お疲れ様です。何ですか、その姿。」



二人の前に現れたのは上半身は女性、下半身は蜘蛛という突拍子もない姿をした相手だった。


「お疲れー。いいでしょコレ。アラクネっていう地球の想像上の生き物なの。」


「いいっすね!OTAKU魂が擽られますよ。俺もそいう姿がよかったなあ。」


管理人達は、担当する地域で好まれる、もしくは違和感のない見た目になり配属される。

そのため金髪の男性は女性の姿を見て、羨ましそうにしている。その一方で、事務員風の男性は盛大な溜め息を吐いた。


「いいわけないでしょう。転生しにきた者達に見られたらどうするんですか。」


「えーいいじゃん。どうせ仕事中は部屋から出ないし。この姿の方が面白いし。うちの課は服装自由だもーん。」


「もう服装の範囲じゃないですけどね。それに先月はドラゴンになってましたよね。しかも、危うく人間に見られるところでしたよね?上に何か言われても知りませんよ。」


「大丈夫だもーん。どうせ一番上はお母様だし。」


「よっ!権力者の娘っ!」


「くっ、それはそうと、さっきの女性のことはほっといて下さいよ。」


事務員風の男性がそう告げると、アラクネの姿をした女性がとぼける様な顔をする。


「えーと、何のことかしら?」


そんな様子に若干苛つきながら、これ以上仕事を増やされないように、言い含めようとする。


「やめてくださいよ。前にも面白そうだとか言って、こちらが手続き申請した転生者の情報を書き換えていましたよね。また特殊転生課の尻拭いをさせられるのは御免ですからね。」


「あのときは、ごめんね。でもそれって、2000年くらい前のことじゃーん。もう時効よ、時効。」


悪びれない様子に、なんだか気が遠くなってくる。



長くなりそうなので、2話に分けます。

次も管理人さん達のお話です。

お読み頂き、ありがとうございました。

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