第5話
ちょっと少なかったので召喚モンスター『フルル』にアビリティ追加&名称変更を行いました。
《召喚モンスター『フルル』がLv1からLv2にレベルアップしました》
3回目の戦闘を終えるとフルルがレベルアップし、フルルのステータスが目の前に表示される。どうやらレベルアップにともなってステータスポイントを振り分けなさいってことみたいだけど、こういうのってどういう風に成長させたら良いか分かんないから自動振り分けとかだと助かるんだけどなぁ。まっ、しょうがないか。とりあえず長生きして欲しいから生命力upは確実っと、あとは、注意は引き付けられてたけどダメージはそこまで与えてなかったようだから攻撃力upかな。
フルル グミスライムLv2(+1) 属性 無
生命力 3(+1)
精神力 1
筋力値 2(+1)
器用値 1
敏捷値 2
魔力値 1
アビリティ
弾力[微] 物理抵抗[微]
振り分けを終えフルルを見るが特に変わった様子は無い。まぁ、1つ上がるたびに劇的に変化されてもちょっと困りますけどね。
それにしても私達プレイヤーと違って召喚モンスターはアビリティのレベルアップ式ではないんですねぇ、どうせならどちらかに統一しちゃえばいいのにいったいどういう意図があるのやら。
《アビリティ【召喚魔法 Lv1】が【召喚魔法 Lv2】にレベルアップしました》
《アビリティ【識別 Lv1】が【識別 Lv2】にレベルアップしました》
《召喚モンスター『フルル』がLv2からLv3にレベルアップしました》
何度も戦闘を繰り返し森を出る直前にようやくフルルがレベルアップしましたけど、その前に戦闘していないのに【召喚魔法】と【識別】がレベルアップしてました。どうやら使用した時点でもアビリティには経験値が追加されるようで、フルルを召喚しているから【召喚魔法】は常に使用中といった感じと【識別】は出会った生き物全てに使っていたからでしょうね。色々考える事が多いなぁと思いながらポチポチとフルルのステ振りを行う。
フルル グミスライムLv3(+1) 属性 無
生命力 4(+1)
精神力 1
筋力値 3(+1)
器用値 1
敏捷値 2
魔力値 1
アビリティ
弾力[微] 物理抵抗[微]
街に向かって草原を歩いている途中所々モンスターと戦闘中の人達を見かけ、その人達は私と同じように1人だったり複数人であったりと色々です。そしてその人達が使う色々な武器や魔法は面白く、その中でも攻撃魔法には大変興味が持てました。なんだけど、ポイントが足りない現状では何も取ることができません・・とほほですよ。
そんな感じで僅かながら羨望の目を向けながら、とある戦闘中のパーティーを何とはなしに識別していた。
突撃兎 Lv1
??? アクティブ
突撃兎 Lv1
??? アクティブ
突撃兎 ???
??? アクティブ
1匹だけ他の2匹よりLvが高いようで識別することができません。それにしても運営さん、兎となっていますがあれを兎と言うのは少しだけ無理がありませんか? たしかに一見したら兎でしょうが体長1メートル前後と思われる明らかに通常の兎と比べたら大きすぎる体型や、行っている攻撃手段が猪を彷彿とさせる突進というのは酷すぎますよ。
そんな兎と戦っている3人組は連携が上手く取れています、とても今日知り合ったばかりとは思えないのでβ仲間かリア友とかでしょうかね。などと考えているうちにそれは視界に入ってきました。
叢雲 Lv1
ルシェ Lv1
ミミル Lv1
「えっ?」
どういう事、なんでLvがあるの? 慌てて自分のステータスを確認してみましたがアビリティにLvはあってもキャラクターというかプレイヤーにはどこをどう見てもLvが見当たりません。
只今午後5:30、時間も時間なので広場を行き交う人の数や屋台も昼間よりは減ってきておりクレープを食べることができません・・・残念です。
そんなLvやクレープの事でうんうん唸っている私のもとに近づいてくる人達がいます。
「お待たせユナ! ふ~む、Lv3かぁ、ユナにしては頑張ってるかな」
「ちょっとリオ!」
「な、なに!?」
「Lvってどういう事? プレイヤーにはアビリティLvしかないんじゃないの?」
突然肩を掴んで迫ってくる私に目を白黒させてリオは驚いている。リオは私を落ち着かせてからどうしたのか聞いてきた。
「なるほど、話は分かった。えとね、名前の横に表示されるLvはアビリティの平均Lv」
「平均Lv?」
「そっ、あくまでその人がどの位の強さかっていう目安ね」
「お~い、リオ。そろそろ紹介してくれないか?」
話を聞き終え顎に手を当てなるほどねっと納得していると、リオの後ろにいた男性が声をかけてきました。
「おっと、そうだった。ユナ、この人達が私がβ版の時からパーティーを組んでいる仲間だよ」
「初めまして、アイリです。これからよろしくね」
「キリカで~す、仲良くしていこうね」
「ジークだ」
「タロンです、よろしく」
「ジュドーです、よろしくお願いします」
「初めまして、ユナです。こちらこそよろしくお願いします」
次々と自己紹介されたので私も丁寧に挨拶を返しおきました。
「なんだかリオの友達とは思えない上品さね」
「なによそれ、ふ~んだ」
皆和やかで笑い合っている雰囲気は今日初めて見た私でも良いお友達同士というのが見て取れます。
「ねえねえ、さっきから気になってたんだけどユナちゃんの横にいるモンスターはなんなの?」
「たしかにそれは俺も気になっていた、グミスライムなんて見たことも聞いたこともないな」
「BBSにも書き込まれていないからオープンからの新種かしら」
「マーカーは緑だからテイムしたってことでしょうか?」
「そこんとこどうなの、ユナ?」
どうやら皆さんフルルに興味津々といった感じです。
「可愛いでしょ、この子は私が契約した最初の召喚モンスターの『フルル』よ」
「「「「「「・・・・・・えっ?」」」」」」
なんだか皆さんかなり驚いているようですけど、そんなにフルルが珍しいのでしょうか。
「えっと、ごめんユナ、私聞き間違えたかもしれないからもう一度言ってもらえる?」
「えっ? うん『フルル』だよ」
「いや名前じゃなくて、その前!」
「前? 召喚モンスターってとこ?」
「「「「「「そこっ!!」」」」」」
6人全員がずずっと私に迫ってくるのは少し怖いです、フルルも同じように感じたのかプルプル震えています。
「ど、どうしたのみんな?」
「どうしたの? じゃないよ、【召喚魔法】のアビリティはβ版では誰1人獲得することができなかったんだよ」
「βテストの間それをずっと探し回っていた人もいるらしいんだけど、手掛かり一つ手に入らなかったらしいわ」
「IDOはありとあらゆる事が出来るとか言われていたからBBSでもかなり書き込まれていたね」
「だな、『実装されているが獲得はかなり後』『β版ではまだ未実装』『【召喚魔法】アビリティは無い』の3つがよく論議されてたっけ」
「はい。他にも見つかっていないアビリティは一杯ありましたが、メジャーなものでしたから頻繁に話題になっていました」
「だったら今日から使えるようになったで良いんじゃないの?」
「そうかもしれないけど、情報が全く出ていないオープン初日にゲーム初心者のユナが見つけたってのはとてもビックリものなんだよ!」
「いったいどこで獲得したの?」
ゴクッと誰かの唾を飲み込む音が聞こえそうな程6人は静まり返る。特に隠すような事でもないので正直に話しますか。
「森の奥で会った女の人に教えてもらいました」
私が話すと同時に6人は色々な意見を出し合っている。私は1人ポツンと置いてけぼりを喰らった感じなのでフルルを撫でて気持ちを紛らわすことにしました。あっ、そうそう大事なこともちゃんと伝えておかないと。
「女の子なんだけど、召喚したモンスターに乗って飛んでいったから今はもう居ないよ」
6人は酷くガッカリした顔をして私を見ています。うん、そんな表情しても私にはどうしようもないからね。
「そんなぁ~」
「で、でも、【召喚魔法】を教えてくれる人がいると分かっただけでも大きな一歩です」
「そうよね。そうだユナ、この事BBSに書き込んでもいい? 情報を独占したいんだったら止めとくけど」
「構いませんよ、覚えてもすぐに使いこなせるとは思えませんし」
「どういう事?」
「【召喚魔法】はモンスターや精霊と契約をすることによって初めて使えるようになるんですけど、契約するには相手に自分を認めてもらう必要があるんです。そして、認めてもらうには1vs1で戦って勝たないといけないんです」
「1vs1ですか、それは最初は可能でしょうが後々厳しそうですね」
「それは召喚モンスターの手助けもダメってことなの?」
「【召喚魔法】を覚えてからはずっとフルルと一緒に戦ってきたけど、誰とも契約できなかったから多分ダメってことだと思う」
「そうなると普通に考えて召喚モンスターは自分と同等もしくはそれ以下の強さってことか」
「通常ではそうなりますね」
特別な条件で契約出来る場合もあるんですがそんな事は稀らしいので特に話す必要はないかな。
皆で話している間フルルは女性陣に突かれたり撫でられたりして若干怖がっているようでしたが、次第に慣れてきたのかポヨ~ンポヨ~ン跳ねたりして遊んでもらっていた。
とりあえず皆の話は【召喚魔法】のソースは明かさないようにBBSに書き込んで情報を集めるということで落ち着き、皆挨拶をして各々ログアウトしていったのでフルルを還し私もログアウトして夕食をとることにしました。
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