第4話
昼食を取り終えさっそくIDOにログインする。時刻は午後1時30分、商店街での井戸端会議が少し長引き予定時間より遅くなりました。
とりあえずリオにメッセージを送っておばさんから頼まれたことを終らせますか。
『リオ、おばさんがゲームもいいけど夕食はちゃんと食べなさいだって』
メッセージを送ってから1~2分もしないうちに返信がきた。
『わかったよ、夕方に一度ログアウトするからその前に会おう。5時30分頃に街の噴水のとこに居るね』
私としても夕食の準備でそのくらいにログアウトする予定だったので了承の返信をしておく。
さて、街の外に出る前に確認も踏まえてアビリティチェックでもしよっと。
プレイヤー名:ユナ
アビリティポイント 5
アビリティ
【剣:Lv2】 【魔力の器:Lv1】 【魔法の才能:Lv1】 【回復魔法:Lv1】
たったの4個少ないんじゃないと思われるかもしれないけど、最初に必要かなと思ったのがこれくらいである。まぁ、他に必要なのがあったらその都度覚えていけば良いだけだしね。
街の外に出て向かったのは午前中と同じ鶏狩り、というかそこ以外の狩場なんて知りません。決して外に出る前に食べたワイルドチキンの焼き鳥が美味しかったからという理由ではありませんよ・・・ジュルり。
《アビリティ【剣:Lv2】が【剣:Lv3】にレベルアップしました》
《アビリティ【魔力の器:Lv1】が【魔力の器:Lv2】にレベルアップしました》
《アビリティ【魔法の才能:Lv1】が【魔法の才能:Lv2】にレベルアップしました》
《アビリティ【回復魔法:Lv1】が【回復魔法:Lv2】にレベルアップしました》
ふぅ~、危なかったぁ。安全を考えて1匹だけでいるのを探して倒していたのに、まさかいきなり10匹以上に囲まれるなんてね。おかげでレベルアップはしたけどMPが残り2割といった感じかぁ。MPを回復できるマナポーションは持ってるけど・・・・そこそこ高価だから使うのは止めとこ。
それにしてもお肉は拾えましたがいい加減名前くらい知りたいです、朝に拾ったお肉や羽も今更ながら分かりませんし。
「お嬢ちゃんどうしたんだ?」
突如聞こえてきた声の方を向くと、見た目20代後半と思われる男女が立っています。
「あっ、こんにちわ。アイテムの名前とかが分からなくて困っているところです」
「そんな事か、そりゃ単に【鑑定】のアビリティLvが低いんじゃないのか?」
「【鑑定】ですか?」
「【鑑定】知らないの? もしかして、初心者かな?」
「はい、ゲームをするのも今日が初めてです」
「そっか、このIDOはねアイテムを『見る』には【鑑定】のアビリティが必要なのよ。とはいえLvが低いうちは閲覧情報は少ないけどね」
その後彼等から色々は話を聞かせてもらい大変参考になります。
「それじゃ私達は行くわ、頑張ってね」
「お嬢ちゃん頑張れよ!」
「はい、色々教えて頂いてありがとうございました」
彼等が去るのを見届け、早速【鑑定】アビリティの解放です。
《アビリティ【鑑定 Lv1】が【鑑定 Lv2】にレベルアップしました》
鑑定によって分かったことは手に入ったアイテムは【ワイルドチキンのお肉】という名前の鶏肉を3つと、あとの殆どは【ワイルドチキンの羽】という羽でした。まぁ少ないなぁとは思いますけどリオはレアアイテムとか言ってたので3つも手に入ったと思うことにしました、その方が前向きでお得感もあるだろうし。
一度街に戻ろうかと考えましたが気付けば森の中・・・・ここどこですか? 鶏に囲まれて複数同時に攻撃受けないように夢中で移動しながら戦ったいたら行き着いたようです。
マップで位置を確認していざ街へ出発・・・・したはずなんですが今いるのはさらに森の奥、そして目の前では3匹のオオカミが大きいグミ(?)のようなもので遊んでいます。言っときますけど迷子じゃないですよ、なんとなく奥へ行った方が良いような気がしたからです。
そういえばモンスターの情報が見れるってリオ言ってたっけ、ワイルドチキンの時はすっかり忘れてたけど。
??? ??
??? ???
あれ? リオに教えてもらった通りにオオカミをじっと見たけどモンスター情報がまったく表示されませんよ。教えてリオ先生とばかりにポチポチとメッセージ送信っと。
『教えてもらった通りにやってみたけど、モンスター情報が表示されなかったわよ?』
『【識別】のアビリティはちゃんと解放した? それないと見れないよ』
思い出した、そういえばアビリティの事もちゃんと言ってたっけ。さっそくアビリティを解放すると狼とグミ(?)の上に赤いマーカーが表示される。ていうかあのグミ(?)もモンスターだったことに驚きです。
狼 ???
??? アクティブ
グミスライム Lv1
??? アクティブ
うん、今度はちゃんと見れた。分からない部分があるのはアビリティのLvが低いからかな。
それにしてもモンスター同士でも別種族だったら争ったりするとは思わなかったけど、あれは争いというより虐めよね。さすがにモンスターとはいえ見過ごすのはちょっとって感じかな。
《アビリティ【剣:Lv3】が【剣:Lv4】にレベルアップしました》
《アビリティ【魔力の器:Lv2】が【魔力の器:Lv3】にレベルアップしました》
《アビリティ【魔法の才能:Lv2】が【魔法の才能:Lv3】にレベルアップしました》
《アビリティ【回復魔法:Lv2】が【回復魔法:Lv3】にレベルアップしました》
ハァハァハァ、さすが狼だけあって強かった・・。結局回復アイテム使っちゃったし鶏とは大違いね、死ぬかと思ったわ。
グミスライムはまだ警戒しているようで身体をプルプル震わせて威嚇(?)している。
「もう大丈夫だから、ちょっと待っててね。<ヒール>」
グミスライムのHPを全快させた時にはすっかり気を許してくれたのか身体の震えは止まり、頭上にあった赤のマーカーが黄のマーカーに変化した。
《緊急クエスト【迷い子の救出】をクリアしました》
《アビリティポイントを5ポイント獲得しました》
どうやらさっきの状況はイベントだったみたい。争っているモンスターの片方を助ける、ある意味意地悪な感じがしますね。
「あっ・・・!」
突如グミスライムはポヨ~ンポヨ~ンと器用に跳ねていく。帰るのかなと思いきや突然止まりその場で数回跳ねては進み止まって数回跳ねては進みを繰り返した。
「付いて来いってこと?」
散発的に遭遇するモンスターを倒しながら森の奥へと進んでいきますがほんとどこまで行くのかしら、これもイベントなんでしょうかね? と考えていた矢先にグミスライムの姿が突如消えてしまう。
「あれっ!?」
慌てて追いかけるとしゃぼん膜のような薄い何かを通り過ぎたような感触と、先程までずっと森しか続いていなかったはずの目の前に広場が出現した。
「どこ行ってたの、すっごく心配したんだぞ!」
広場の中央には先程のグミスライムを抱っこした女の子が立っています。えっと、誰ですか? あとこれはどういう状況なの? 唐突な出来事に呆気に取られていると女の子が私に気付いてくれました、良かったこのまま放置されたらどうしようかと思いましたよ。
「あんた、誰? どうやってここまで来たの?」
声音は低くかなり警戒してるようだけど、ちゃんと話を聞いてもらえると嬉しいのですが。とりあえずここに来るまでの経緯を話し始めると、それに合わせるようにグミスライムも身体を震わせて女の子に何かを訴え出した。
「そっかそっか、この子を助けてくれたのね。どうもありがとう!」
「いえ、なかばなりゆきでそうなっただけですから気にしなくていいです」
説明を終えるとさっきまでの剣呑な雰囲気が嘘のように笑顔でお礼をしてくる。とはいえグミスライムが一緒に説明してくれたからこそ信じてくれたって感じかな、私一人だったら信じてくれなかったかも。それにしても、グミスライムは身体を震わせていただけのように見えたけど、この女の子は良くそれで話が通じるなぁ。
「私はミルファ、名前教えてもらえる?」
「ユナです」
「ユナちゃんか。これも何かの縁だし、よろしくね」
私より年下に見える女の子からちゃん付されたのでなんか変な感じがしたけど、話によるとどうやらミルファさんは私より年上らしいです・・・・人は見た目じゃ分からないもんですね。
「せっかく知り合えたしちゃんとお礼もしたいんだけど、でもごめんね今はちょっと急がないといけないの。お礼はまた今度会った時で良いかしら?」
ミルファさんの話はなんのその、今の私は巨大な魔法陣から出現した生物が気になってそれどころではありません。ゲームをしたことない私でもファンタジー小説を読んだことあるから分かります、目の前の生物は所謂ドラゴンと呼ばれるものですね。
「す、スゴ~い! この子ドラゴンですよね? いったいどうやったんですか!?」
「ユナちゃんは【召喚魔法】知らないの? あぁそっか、今ではかなり廃れてきてるし知らない人の方が多いのかな?」
「こんなに凄いのに廃れるんですか?」
「まぁね、【召喚魔法】は主従契約したモンスターや精霊とかをその名の通り召喚するんだけど、契約するには相手に自分を認めさせる必要があるの」
「認めさせるですか?」
「そう、そしてその方法は一部を除いて1つだけ。契約したい相手と戦い、たった1人で勝つこと」
「たった1人で勝つ・・・」
「そうなの、でも1人で勝つのは厳しいからねぇ。だからかな、次第に【召喚魔法】を諦め他の道に進んでいく人が多いのよ」
でもドラゴンを召喚したってことはミルファさんは1人でドラゴンに勝ったってことなんだよね・・・怒らせないようにしとこ。
それにしても【召喚魔法】かぁちょっと惹かれるかも、あっそうだ・・・。
「あの、さっき言ってたお礼なんですが、良ければ私に【召喚魔法】を教えてもらえませんか?」
「ん? そんなんで良いの?」
「はい」
ミルファさんから手解きを受けましたが、主従契約の仕方自体はそれ程難しいものではありませんでした。やっぱり【召喚魔法】で難しいのは相手に認めさせることのようですね。
《条件達成によりアビリティ【召喚魔法】を獲得しました》
アビリティが手に入りましたけど必要APが8ですか、運営さんなんか高くないですか? まぁ解放しますけどね。
「どうしたの? ふんふん、ねぇユナちゃん、この子があなたと一緒に行きたいって言ってるけど」
「私は問題ないですけど、良いんですか? その子、ミルファさんとこの子ですよね」
「もともと怪我してたとこを保護していただけだし、この子が行きたいって言ってるのなら私が止める理由はないわ。どうせならこの子と契約したらどうかしら」
可愛いくて愛嬌のあるグミスライムだし、一緒に行ってくれるのは嬉しいかな。それじゃさっそくっと。
<我が名はユナ、我が力をもってこの者に祝福を与え、我の使い魔となせ>
グミスライムの足元に出現した魔法陣が光輝き、光が収まり魔法陣が消えた時にはグミスライム頭上の黄のマーカーが緑のマーカーに変わっていた。
「成功だね。あっ、この子の名前決まってないから付けてあげて」
「う~んそれじゃ、今日から君は『フルル』ね」
フルル グミスライムLv1 属性 無
生命力 2
精神力 1
筋力値 1
器用値 1
敏捷値 2
魔力値 1
アビリティ
弾力[微] 物理抵抗[微]
「私はもう行くから。そうだ、これも渡しとく」
ドラゴンの背中に乗ったミルファさんが何かを放り投げてきた。
「指輪ですか?」
「何かの役に立つと思うよ、それじゃまたどこかで会いましょ♪」
「それじゃ、私達も行こっか」
もう少し話していたかったけどしょうがないかと思いながらミルファさん達の姿が見えなくなるまで眺めていた私は、フルルを抱きかかえ街へと歩き出した。
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