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男女比偏極社会  作者: 綾汰


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第1話 男にとって都合の良すぎる世界

貞操逆転世界。


その言葉が頭の中をよぎると、思わず顔がにやけてしまう。


私は霧崎春樹きりさきはるき


彼女いない歴=年齢の、街中でよく見かけるサラリーマンの一人だ。


 


私は子供のころからラノベを読んできて、クラスメイトから美少女がよく出てくるラノベを読んでいるのをよくからかわれていた。


今や仕事に忙殺されて、家族とも疎遠になり、ろくな交友関係も築けていないので、クラスメイトに馬鹿にされながらも笑顔だったあの日々は幸せだったといえるだろう。


 


最寄りの駅に歩いて向かう。


何も変わらない日々。


初めのころはなにもかもが新鮮にこの目に映る。


しかし、時がたつとすべてが色あせ、ただ仕事の忙しさによる苦痛だけが心に残る。


特に仲のいい家族も気の置ける友達もいない私にとってはなおさらだ。


 


いつも乗る電車、いつも聞くアナウンス、すべて昨日と同じ。


だがこの日はいつもと違いホームに人が見られない。


その違和感も電車が定位置につくとすぐに霧散する。


 


電車の中では自分のまだ読み切っていないラノベを読むのが習慣となっている。


今日は貞操逆転世界がテーマのラノベを読むつもりだ。


 


男、特に童貞にとってあまりに都合がよすぎて、童貞がこの世界を考えたのではないかと私は思っている。


童貞の私にとってこの世界は魅力的すぎる。


 


まちきれなくて、カバンから取り出して、電車に乗ったらすぐに席に座り、続きから読み漁る。


周りからいい匂いがしたが、誰かの香水の匂いだろうと思って気にしなかった。


 


四方八方から視線を感じる。


スマホを見るのが当たり前の現代社会では、紙の本を手にしているのは珍しいのだろうか。


 


本の中では主人公は女ばかりの学園に入学することになり浮足立っている。


その世界の男は基本的に女性を怖がり、国に半ば強制させられて学園に入ることになるので、彼らの心情はとても悪い。


 


その点、彼はその世界では異常因子だ。


だが、その異常因子がその世界にいる多くの、様々な女性と化学反応を起こすことで物語はおもしろくなっていく。


 


電車が次の駅に着く。


扉が開くと甘い匂いがなだれ込んでくる。


女性の声が多い。


 


一瞬、私は女性専用車両に乗り込んでしまったのかと思ったが、私が乗った車両は地方から都市に向かう電車であり、女性専用車両ではない。


ならどうしてと疑問に思ったが、私はたまたま女性の多い車両に乗ったのだろうと自己完結した。


それより本の続きが気になる。


 


かの主人公は学園の入学式に向かった。


彼の家族は学校に車で行くことを提案したが、彼はまさかの徒歩で向かった。


その実は、道中の若い女をその目で見るためだ。


 


学園に向かう彼を周りの新入生と思われる制服を着た女子たちが、頬を赤くしながら食い入るように彼を見つめる。


彼は眉目麗しいこの世界の女性を見たいし、周りの女子たちはめったに自分の目では見られない男なるものを見たいのでウィンウィンである。


 


女子たちは目が合っただけで卒倒しかけているが、このチャンスを無駄にしまいと踏ん張っている。


もはや好きになりかけている。


この学園でどれほどのハーレムを築くのか、見どころである。


 


物語に集中していると、いつも乗り換える駅に着いた。


集中すると時の流れが速く感じる。


特に、自分の好きな本を読んでいると。


 


電車を降りようとすると周りは女性ばかりで少し驚く。


多くの人が乗り降りする駅なので、スムーズに降りることができた。


 


次の駅の乗車口に向かう。


エスカレーターと階段があるが、健康を少なからず考え、いつも階段を選ぶ。


なにより、階段は広く、自分のペースで上がることができるので、エスカレーターより速い。


 


だが、今日は多くの女性が私と同じ方向に向かい、広いはずの階段が狭く感じる。


甘い匂いにうっとりしてしまいそうな童貞心を抑えて進むが、エスカレーターを乗った人たちよりも遅かった気がする。


 


次の駅はこの地域の中で一番大きいので人が多いが、男の姿はいつもよりも極端に少ない。


おかしい。


男も女も同じ数くらいいるこの世界では異常だ。


 


しかし、今日やらなければならない仕事内容を思い出し、足早に乗車口に着き、次の電車が来るのを待つ。


 


私の後ろには女性の長い列ができている気がする。


後ろを向くとやはり女性のたくさんの視線を浴びる。


 


驚いている間に電車が到着する。


そこで私は信じられないものを見た。


 


それは男性専用車両だ。


少なくない男性が遠くのほうでその車両に集まっている。


 


私の住んでいた社会にそんなものはない。


疑問は確信に変わった。


カクヨムにも連載しています。

https://kakuyomu.jp/works/2912051595353388518

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