6ー新たな王国の誕生
森の楽園が完成してから、数日が経った。 私はパンの耳を焼きながら、ふと空を見上げた。
「……最近、動物の数、前よりも増えてない??」
私のその予感は、見事に的中していた。
森の入り口には、王都から逃げ出してきたペットたちが、長蛇の列を作っていたのだ。
「ミルフィーからお話を聞いたので、ぜひミナ様に会いたいニャ!」
「王宮の水、ぬるいワン!そして、楽しくないワン!」
「クエッ! 王妃の相手、もう限界クエッ!」
「カツラもみんな奪い取るものがなくてつまらない」
猫、犬、フェレット、インコ、カメ、ハムスター
―― そして、なぜか観賞用の金魚までが、袋に入って跳ねながらやってきた。
王都では、森へ動物たちが移住してしまったため、ペット不足が深刻化していた。
「うちの猫が“もう人間とは暮らせない”って言うんです」
「犬が家のの門を噛み、出奔しました」
「金魚が泡で“さよなら”って書いてました」
ついには、一部のペット好きの貴族まで、森に移住を始めた。
「ミナ様、我が家のフェレットが“森に行く”と言いまして……私達はフェレット抜きでは生きていけないので」
森は、動物と人が共に暮らす“新たな王国”へと変貌していった。
私は自然と、その中心に立つことになった。
「代表とか、そういうのはちょっと……」
そう言いながらも、動物たちは勝手に
「ミナ様の玉座」として切り株を飾り始めていた。
•インコが「ミナ国歌」を作曲。
•リスが「ミナ通貨(パンの耳)」を発行。
•フクロウが「ミナ憲法」を朗読。
「昼寝は義務」
「パンの耳は税金」
私は頭を抱えながらも、笑って受け入れた。
「じゃあ……みんなが幸せなら、それでいいよ」
その言葉に、動物たちは一斉に鳴き声を上げた。
『ミナ様、ばんざーいニャ!』
『ミナ王国、万歳ワン!』
『クエッ! パンの耳、値上げ反対クエッ!』
こうして、森に“新たな王国”が誕生した。
それは、動物と人が心を通わせて暮らす、世界でいちばん優しい国だった。
そして王都は
――ペット不足で、ストレスで崩壊寸前だった。
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