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その後のお話

「私は心配などしていませんでしたよ」

「あのドランがカメリア以外に興味を向けるわけがないではないですか」


当たり前のことを…と、王妃様がひとりこぼす。


王族として育ったユードランは、表情を隠すことを完璧に身に付けていた。

ただ、視線だけはどうしても…カメリアに向けてしまうのだった。

どこにいても、カメリアを視線で追ってしまう。

そして常にカメリアの事を考えているのだと知っている王妃は、溜息を落とし頭を押さえるのであった。




その後の話だが、やはりシティスはユードランとカメリアの不仲をうまくつき、自分がユードランと婚約…と考えていた。

完璧だと思った自作自演の嫌がらせも、目撃者はいた。

生徒ではなく、テラスの従業員だった。

貴族ではない者への配慮などない男爵令嬢は、テラスの従業員が目撃者となることを失念していた。

男爵家は、貴族社会から糾弾されシティスをつれて領地に戻るという。

二度と令嬢を領地から出さないと誓って。


シャードンはカメリアの人望が妬ましかった。

カメリア自身は特に何かをしていたわけではないが、「柔らかく微笑む赤い花姫」と呼ばれる令嬢に周囲は羨望の眼差しを向けていた。

可哀そうなシティスをかばい、カメリアを糾弾していることだけに優越感を感じていたらしい。

シャードンの父、クラーテルヌ宰相はこのことを重く考え、シャードンを廃嫡とした。

現在は母方の親戚に身を寄せ、区画整理の仕事についているらしい。


アリストロッシュは、純粋にシティスに想いを寄せていたらしい。

ただ思い込みが激しく、周囲の意見を鵜呑みにして今回の事態になった。

王族を守るはずの立場の者が、冷静な判断ができないと彼の父親であるヴェールムース騎士団長は考えた。

近々…辺境の警備隊に、騎士ではなく警備兵として送られることになるらしい。

最低20年、王都には戻れないだろう。


ヴァレリアンは、昔から次期王妃の姉とそれを誇らしく思う両親が憎かった。

姉が王族に嫁ぐなら、このカーマイン公爵家の次代は自分なのに…なぜ自分は認められないのかとこじらせていた。

皆に慕われる姉を陥れられるなら、何でもよかったのだろう。

ヴァレリアンはシティスがやった自作自演を知っていて、更に手伝いもしていた。

それを知ったカーマイン公爵はこのまま継がせるわけにはいかないと、ヴァレリアンの婚約を解消。

廃嫡し、親族の家へ養子にだした。

本人は悔いる言葉を口にしているらしいが、この先市井に下ることが決まっている。




そして時は流れ、譲位された新しい陛下がお披露目をかねてお城のテラスへでてくる。

隣にはカメリアの花の花飾りを付けた王妃が一緒だ。


「私のリア、貴女と一緒ならば私はどこまでも力をつくせる」

「おともいたします、私の命ある限り…ドラン様」

「私のリア…」


そっと瞼にキスを落とす、その仲の良さはその後何代もの世代に受け継がれ、国に繁栄をもたらしたという。

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