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異世界迷宮のスナイパー《転生弓士》~神のイカサマ・ルーレットとスキル・スクロール  作者: 武蔵野純平
第4章 ヴェネタ共和国

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4-14 ハンスのパーティーメンバーが怪しい

 ――五十階層探索、三日目。


 俺たちは五十階層の隠し部屋をしらみつぶしに調査している。

 秘密結社『教団地獄の火』が、何かをしているとすれば隠し部屋で行っている可能性が高いからだ。


 隊列の先頭を入れ替えているので、魔物との戦闘は交代で行う。

 現在は『ハンスと仲間たち』が戦闘中で、俺たちは後方から戦闘の様子を覗いている。


 ゴルゾ傭兵団リーダーのヴェルナさんが話しかけて来た。


「兄ちゃん……気が付いたか?」


「何がです?」


「あの連中……『ハンスと仲間たち』って言ったか? あいつら対人戦、結構ヤルぜ」


「えっ!?」


 俺は注意して『ハンスと仲間たち』の戦闘を見る。


 前衛役は剣士が二人。

 こいつらの持っているのは、細身で扱いやすそうな上品な剣だ。


 冒険者の剣士は、大抵大剣を振り回す。

 魔物にダメージを通すには、日本刀のような切れる剣よりも、重量があって叩き潰す剣の方が良いからだ。


 レベルが上がってくれば、パワーも上がるので大きな剣を振り回す事も出来るし、戦う魔物も大型化する。

 的がデカいのだから、大きな鈍器をぶん回せばダメージが通る、と言う考え方だ。


 二人の剣士は、細身の剣を巧みに操り攻撃を防ぎ、攻撃時は突きが多い。

 確かに魔物に特化した冒険者の戦い方じゃ無い。


「あの剣士……。魔物だけじゃなく対人もやる剣士……って事ですかね?」


「うんにゃ。俺には、対人メインの剣士が、魔物と戦っているように見えるね。それとっ……魔法使いも気になるんだよなあ」


「魔法使いですか?」


 魔法使いは女性。

 装備はオーソドックスで、黒いローブに杖だ。

 特に不審な点はないし、対人特化と思える特殊装備も身に着けていないけれど。


「装備は普通ですよね?」


「そうだな。けど、魔法はどうよ? さっきから火系統の魔法しか使ってねえだろう?」


「そう言えば、そうですね」


 魔法の話しになった所で、姫様アリーが話に入って来た。

 エマも興味深そうに話を聞いている。


「ヴェルナ殿よ。火系統の魔法しか使っていない事に、何かあるのかのう?」


「ああ。対人戦で魔法を使う時は、火系統の魔法を使う」


「なぜじゃ? 人に弱点属性は、ないであろう?」


「ああ。人に弱点属性はないぜ。けどな。人の皮膚は火に弱い。水、風、土系統の魔法攻撃は、叩きつけた魔力がダメージに変換される。けど火属性なら――」


「なるほどなのじゃ。魔法攻撃に用いた魔力と火傷によるダメージを与えられると言う事かのう」


「正解!」


 なるほどね。

 確かに、そうだ。


 例えば、弱い威力のウォーターボールを食らっても、大してダメージを受けない。

 けれど、弱い威力のファイヤーボールを食らえば、火傷を負う。

 火傷のダメージはデカイな。


 エマが疑問を口にした。


「けど。おかしいんだよ! あのお姉さんは中級職だと思うんだよ。けれど、火属性魔法しか覚えてないならコストが合わないんだよ!」


 確かにな。

 魔法使いには、『コスト』と言う概念がある。


 初級職の魔法使いは、コスト3まで魔法を取得できる。



 初級火魔法:コスト1

 初級水魔法:コスト1

 初級風魔法:コスト1

 初級土魔法:コスト1


 初級聖属性魔法:コスト3

 初級闇属性魔法:コスト3



 中級からコストは、変則的になる。

 まず中級職は、色々なジョブに枝分かれする。

 もちろん、中級職は初級職よりも多くのコストを得られるが、ジョブによって、得られるコストがバラバラなのだ。


 そして、属性魔法のコストは基本3になる。



 中級火魔法:コスト3

 中級水魔法:コスト3

 中級風魔法:コスト3

 中級土魔法:コスト3



 けれどもあくまで基本で、コストが2になったり4になったりする事もあるらしく、魔法職以外で理解している人は少ない。


 それでも中級職なら火属性魔法以外も取得出来るだけのコストは持っているはずだ。

 中級職なのに火属性魔法しか使わないのは、確かにおかしい。


 ヴェルナさんが、エマの疑問に答えた。


「火属性魔法だけじゃ、コスト計算が合わねえって話しだろう? 俺もそう思うぜ」


「じゃあ、他の魔法も使えるんだよ?」


「ああ、恐らくな。対人に強い魔法と来れば……お嬢ちゃんと同じ闇魔法じゃねえかな?」


「ええっ!? なんだよ!?」


 闇魔法か……。

 俺はポイズンを食らった事があるけれど、シャレにならなかった。


 とにかく苦しい。

 地獄の苦しみだ。

 あの苦しみの中、自分で毒消しを飲むなんて無理だ。

 仲間に毒消しを飲ませて貰うまで、その苦しみは続く。


 つまりポイズンを着弾させれば、『毒に苦しむ人』と『毒消しを飲ませる人』の合計二人を戦闘から除外できる。


「まあ、とにかくだ。あそこのパーティーには、ちょいと気を付けておいた方が良さそうだぜ」


「確かに、そうですね……」


 冒険者の仕事には、護衛任務もある。

 だから対人戦が得意な事は、悪い事じゃない。


 しかし、今回は五十階層の探索、魔物との戦闘がメインである事は明らかだ。

 なのに対人戦よりのメンバーを連れて来たハンスの意図が見えない。


 たまたま?

 偶然なのか?


「のう、ナオトよ。あの男は、まったく戦闘に参加せんのじゃ」


「あの中年おじさんでしょ? 確かに、そうだね」


 ハンス以外のメンバーは、剣士2、魔法使い1、回復役1、不明1だ。

 この役割不明の中年おじさんは、まったく戦闘に参加していない。

 革鎧を身に着けているが、武器らしいのは腰に吊るした短剣だけだ。


「スカウト……じゃないよな?」


「違うじゃろう。斥候に出た所は一度も見ておらん」


 スカウトは、斥候、情報収集役の事だ。

 うちでは、盗賊のネコ獣人カレンが担当している。


 中年おじさんの短剣装備から、盗賊か?

 とも思ったけれど、違うな。


「荷物持ちとかじゃないしな」


「荷物は持っておらん。手ぶらじゃ」


 役割不明の中年おじさんに頭を悩ませていると、セシーリア姉さんが変な事を言い出した。


「依頼主じゃないかしら?」


「「依頼主?」」


「そう考えれば、おかしくないでしょ? 戦闘に参加せず、荷物は持たず、防具だけ身に着けている。ハンスが護衛任務を引き受けたと考えれば――」


「それは無いでしょう。俺たちは五十階層探索の依頼遂行中ですよ」


「わかっているわ。けれど、二重に依頼を受ける事はあるわよ。魔物退治をしつつ、珍しい薬草を探すとか」


「うーん……」


 俺たちは色々と可能性を議論したが、答えは出なかった。

 ただ、『ハンスと仲間たち』には、一層注意を払う事になった。

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