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4-13 対人戦。騙しのくそみそテクニック

明日、台風で停電とかしたら、更新出来ないかも。

東京住みなのえご勘弁を。

 ――五十階層探索、二日目。


 二日目も順調に探索は続いた。

 現在、安全地帯の隠し部屋で食事休憩中だ。


「ナオト。弓は山なりに撃つのを上手く使え」


「曲射ですか?」


「そうだ。山なりの弾道で弓を撃てば、敵の視線は上に向くだろう? その隙に早いのを正面から撃つとか。仲間に横から攻撃させるとかしろ」


「なるほど!」


 俺はゴルゾ傭兵団リーダーのヴェルナさんと取引をした。

 食事を提供するのと交換に対人戦の技術を教えて貰う事にしたのだ。


 ヴェルナさんは、意外と慎み深くて毎食スープかシチューを分ける事になった。

 なんでも『贅沢になれると、後が辛い。だから汁物が一品増えるくらいで丁度良い』そうだ。


 姫様アリーのヴェルナさんへの評価は良い。


「ふむ。なかなかじゃ。実戦で役立ちそうじゃ」


「そうだね。勉強になるよ」


「出発前に冒険者ギルドで受けた研修とは、随分違うのう」


「ああ。あれは要人警護って感じだったからね」


 レッドドラゴン討伐から、今回の五十階層探索まで十日間の時間が空いた。

 そこで俺たちは冒険者ギルドの教官に対人戦の研修をお願いしたのだ。


 研修内容で教わったのは主に三つ。


 1 依頼者の身を守れ。

 2 自分の身を守れ。

 3 危険地帯から速やかに脱出しろ。


 冒険者ギルドでは、商人や貴族の護衛の依頼も多い。

 そのせいか、研修は防御寄りの内容だった。

 敵を倒すよりも、護衛対象の依頼者と一緒にさっさと逃げろ、と言う事だ。


 一方、ヴェルナさんが教えてくれる技術は、かなり攻撃寄りだ。

 いかにして敵を倒すか。

 そして、フェイント、騙し、トリック的な教えが多い。


 今は長身のレイアとネコ獣人のカレンが、ヴェルナさんと模擬戦をしている。


「レイアはもっと右、右、右と攻めろ! 敵の意識を右に寄せるんだ。敵の意識が右に寄ったら、カレンが左から攻めろ!」


 ヴェルナさんの話しを聞いていた長身のレイアが手を止めて不満を漏らした。


「なあ。なんか……その……。もっと、バーンと正面から打ち合うような技はねえの?」


 レイアは豪快で男っぽい性格をしている。


 対してヴェルナさんの教える内容は――


『一対一で戦うな! 一対多数に持ち込め!』


『相手をいかに騙すかを考えろ!』


『錯覚を利用しろ! ゆっくり攻撃した後の速い攻撃は、恐ろしく早く見える!』


 ――こういう感じのが多い。


 レイアは、真っ正面から打ち合って力でねじ伏せたいのだ。

 だが、ヴェルナさんの教えは違う。

 そこにジレンマを感じているらしい。


「おおっ! なんだ……レイアは、一本気なヤツだな。じゃあ、こんなのどうよ?」


 ヴェルナさんは、床に膝をつき涙目で土下座し、命乞いを始めた。


「うえええ! 許して下さい! お願いします! お願いします! 死にたくありません! どうか! どうか! 許して下さい!」


 突然の事にレイアは呆気にとられている。

 ヴェルナさんは、トレードマークのツバの広い帽子を脱いで、哀れに命乞いを続けた。


「女房、子供がいるんです! 子供は、まだ小さくて! お願いします! 殺さないで! 子供に会わせて下さい!」


「おい……止めてくれよ。それのどこが技なんだよ……。ほら! 立てよ――ウッ!」


 レイアは、ヴェルナさんに一歩近づき手を差し伸べようとした。


 その瞬間だ。


 ヴェルナさんは、素早く立ち上がり、レイアの懐に潜りこんだ。

 いつの間にか握られていたナイフがレイアの喉元に突き付けられたのだ。


「こう言う技もあるんだぜ……」


「汚ったねえ……」


 強がるレイアの額に汗が浮かんでいる。

 しばらくして、ヴェルナさんはナイフを引っ込め笑顔でレイアの背中をバンバン叩いた。


「ハハハ。まあよ。戦場では、こういう事もあるんだよ。命乞いして来た野郎が、突然襲い掛かって来たりさ。死んだと思ったヤツが、まだ生きてました! なんてな」


「……」


「ほら、亜人は真っ直ぐな性格のヤツが多いだろ? それはそれで付き合いやすくて、俺は好きだぜ。けどな。人族は、平気で人を騙すからな。対人戦になれば、騙し合いになるのは仕方ねえよ」


「そう言うもんかな……」


「そう言う物さ! こんな、泣いて命乞いをするフリ……。くそみそテクニックでも、生き残れたら儲けもんだろ? ハハハ!」


 一応、レイアは納得してくれたようだ。

 エマとアリーの会話が聞こえる。


「ねえ。アリー。エルフ同士で戦うと、どうなるんだよ?」


「ふむ。エルフ同士で戦うと、単純な魔力勝負になる事が多いのじゃ」


「ふーん。じゃあ、ヴェルナさんが言ってる事は、正しいんだよ!」


「そうじゃな。言われてみれば、我らの戦い方は良く言えば真っ直ぐ、悪く言えば単純じゃ。ヴェルナ殿の言う通り、戦いの中で騙す事も覚えねばな」


 これは種族の差だろうな。

 特にネコ獣人のカレンは単純で、喜怒哀楽がストレートに出る。

 ティターン族のレイアも、かなりストレートだ。


 ウチの人族は、俺とエマの二人だけだからな。

 俺とエマがしっかりしないと。


「大丈夫なんだよ! 私がみんなを騙してあげるんだよ!」


「それは、ちと、安心できぬのじゃ……」


 エマ、それはちょっと違うぞ!

 みんなを騙してどうする!


 エマがアリーに抱き着き、二人がじゃれついているとアドニスさんが号令をかけた。


「よーし、出発するぞ!」

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