模擬戦闘と魔法の取得
昼休憩から数時間後
陽が傾き徐々に暗くなってきた頃
森の中に湖があるのを見つけたため、今夜の野宿の場所にすることにした
馬車の近くにあった岩場に腰掛け、護衛の仕事内容である見張りをする
ディールは既に馬車の中で寝ている。リアは俺の近くで毛布1枚を身につけて寝ている
見張りと言ってもほとんどミニマップを見ていればいいだけで、実際暇を持て余している
足を伸ばし背を傾けるため手を床に置こうとする時、鉄の感触が手に触れた
「そういえば、貰った双剣をまだ使ってなかったな……」
このまま使わないことに越した事はないがそれはあり得ないだろう
この世界で生きるためにはいつか必要な事である。それこそ冒険するのなら尚更だ
俺は立ち上がり双剣を抜く。馬車とリアが視界に入る位置まで移動し素振りをする
日本ではアニメやラノベを見ていたりしたオタクであったため、いろんなキャラの戦い方を覚えている
その中で双剣を使っていたキャラをピックアップし、頭の中で動きを思い浮かべる
それをトレースするように双剣を振り動かす
何度も何度も同じ動きをトレースして数時間、交代の時間より大分早いのにリアが起床した
それに気づき素振りを中断する
「あはよう、まだ交代には早いぞ?」
「素振り…音……聞こえ…たから」
「ごめん、起こしちゃったか」
熱中しすぎて周りが見えていなかったみたいだ、これは俺に非があるため素直に謝罪する
リアもそれを受け取り特に気にしないようだった
「そうだ、これ飲んでみてくれ」
先程作った中級ポーションを投げて渡す
咄嗟のことに危なげに受け取るリアは、受け取った物を見て疑問符を浮かべる
「ポーションだ、喉辛いんだろ。飲んでみたら比較的楽になるかもしれないぞ」
「ありが……とう、ござ……います」
コクコク
中の液体を全て飲み干す。するとポーションが割れた、というか消えた
アイテムみたいなものだから使ったら消えるのかもしれないな
「どうだ、効果はあったか?」
「はい……さっきと比べて大分楽になりました」
先程とは確実に違った流暢な返事が返ってくる。問題なく効いてはいるみたいだな
確認のため鑑定をかけると、肺血病はまだ表示されているため完治はしていないようだ
中級程度だと気休めってところか
「ケータ様は何をなさってたのですか?」
「あぁ、少し素振りをしていた。いざという時反応が鈍くなると嫌だから」
本当は戦闘はおろか素振りをすることも初めてなのだがここは誤魔化しておく
「なら私と模擬戦しませんか?私も身体を動かしたいです、今までの状態が状態だったので……」
模擬戦か、確かに今までの動きの確認はしときたいな。どの程度通用するのかを経験しとくのも重要か
模擬戦の申し入れを受け入れ、互いに準備運動をする
「病み上がりで大丈夫なのか、というか君は戦えるのか?」
「獣人ですので戦い方は教わってます。実際にするのは初めてですが」
俺もリアも戦闘経験はないみたいだった
初心者同士で大丈夫だろうかと不安に感じたが、やらないよりかはマシだろうと切り替える
互いに5mほど距離を取る。俺は双剣を両方逆手に、リアは拳を構える
「合図はどうする、それと俺は刃物だが攻撃する時はどうすればいい?」
「ではこの銅貨が落ちたら開始、出来れば刃のない方を使うということで」
そう言って勢いよく銅貨を上に弾く。だいたい5秒ぐらいだろうか、銅貨が地面に触れた
刹那、リアの姿がブレた。と認識した時には、既に目前にリアがいた
拳を突きつけられる寸前に双剣で防ぎ衝撃を利用して後ろに下がる。そこで終わるわけもなく、リアはまたもや姿をボカし今度は右側から迫ってくる
拳を片方の剣で受け流し体制を崩す。そこに下に潜り込み上へもう片方の剣で切り上げる
だがそれを受けることなく体を捻ることで回避されてしまう。一旦距離を取り直すため追撃はしない
「隠密を使っても決めれないとは、ケータ様は反応速度が凄いですね」
「そうなのか?そう言うが君の初動は全く分からなかったぞ」
「それは隠密を使ってるためですね」
隠密は忍び足と同じような能力なのか、だが完全に同じというわけではないだろう
おそらく何か別な能力があるんだと思う
「じゃあ今度はこっちか……ら!!」
俺も忍び足で初動を認知されづらくして気配遮断も使って左側から攻める
間合いを詰め、思い切り剣を振り下ろすが手首を押されズラされてしまう
追撃を避けるためもう1度距離を取る
「本当は戦ったことがあると言われても疑わないぐらいに強いな」
「ケータ様も大概ですよ」
苦笑しながら言っているが傍から見たらそんな事はないだろうと思われるのではないか
まぁこの世界の戦闘基準が分からないけど
その後も何度かやり合ったが最後まで有効打は決められないでいた
あまり熱中して護衛の仕事などに響くとまずいのでキリのいいところで模擬戦を終える。かいた汗を拭いながら、リアを見てみると汗をかいてるように見えない。凄い涼しげな表情だ
「君はなんで涼しげなんだ?」
「え、ケータ様は冷却魔法使えないのですか?」
そんな便利そうなものがあったのか、ぜひとも取得したい
そういえば魔法ってスキルと何か違うのだろうか、教えてヘルプ先生
〈解 アクティブスキル、パッシブスキル、魔法、技と別れています。〉
アクティブスキルとパッシブスキルは既にあるため分かっているが魔法と技は鑑定しても見れなかったから、レベルが足りないということだろうか
「その魔法ってどうやって出来るんだ?」
「えっと、そうですね。大気中の空気を冷やして身に纏う感じですけど、分かりますか?」
空気の冷却か、そもそも冷やすのってどうやるんだ
こういうのはイメージが大事なのかな?
試しに頭の中で周りの気温を下げるイメージをしてみる
ヒュオオオォォォォ
湖が凍った




