リアの災難
サブタイこれですがケータ視点です
「さてと、宿屋まで行きますか」
銀狼達と別れた俺達は街道を適当に歩いていた。最初は買い食いなどをしながらここらへんの探索をしようかと思ったがそれは明日に持ち越そうと思い辞めることにした。ということで今は泊まる宿をどこにするかを、門番さんに貰ったパンフを見ながら考えていた。パンフには四つの宿が紹介されており、それぞれ場所、付近にある店、宿の食事や部屋の数などが文と絵で記載されている
「荒熊の休息亭、白姫の箱庭、ドゥルドゥル亭、来来亭・・・。なんか宿のネーミングに悪意を感じるのは気のせいか?」
「王都の宿にしては随分と名前がバラバラですね・・・、ドゥルドゥルってなんですか」
名前の由来なんて宿主にしか分からないだろう、とだけ答えるが何となく想像出来たものはある。モーターか風車でも詰んでるんじゃないのか?日本にはそんな感じの顔文字があったからなぁ・・・
「で、ケータはどこの宿にする気なのじゃ?儂としては来来亭という所が気になるのう、ここで紹介されてる料理が美味しそうなのじゃが」
「私は白姫の箱庭が気になります。名前の響きからどんな宿屋なのか目で見てみたいです」
「まじか、俺はドゥルドゥル亭だったんだがな。名前の由来がとにかく気になる」
見事に意見がバラバラになってしまった。どうしたものか、と悩み露店でお馴染みの鳥串を買い食いしながら泊まる宿を話し合い決めた結果は
「というわけで宿屋は来来亭に決定しました。ファニさんおめでとうございます」
ドンドンパフパフと口で効果音を口にしながら希望の叶ったファニを祝いの言葉をかける。そんな俺にファニは何故か冷たい目を向け流石にいたたまれなくなり普通に戻し、早速来来亭に向けて歩を進め直した
ーーー
「さて来来亭に到着した訳だけど、なんだこの列?」
「何かあるんでしょうか?」
時刻は昼頃、目的地である来来亭に到着したビジター一行はその宿屋の前にある30人ほど並んだ長蛇の列を見て疑問符を浮かべた。並んでいる人達を見てみても共通点らしいものも無くますます疑問は深まる。とりあえず列の最後尾に並んでみることにし、目の前に並んでいるガタイの良いおっさんに事情を聴いてみることにした
「すいません、この長蛇の列ってなんなんですか?」
「ん?あんちゃん知らないで並んでいたのか?」
「今日ここに来たばかりでして」
「あぁ、なるほどな。門番から貰ったパンフを見てここに来たっていう訳だな」
どうやら人選に間違いなかったようだ。そして今日王都に訪れたばっかだと説明したらそれだけで俺達がここに無知な状態で並んでいた事に納得してくれたようだ。察するに俺達のような者は結構いるみたいだ
そして早速この長蛇の列の理由について聞いてみると、まずこの列は来来亭が原因だと分かった。ここまでの列を作っているのは来来亭にて昼時限定で作っている料理が原因だった。なんでも朝にしか取れない魚を使った料理らしく美味しく食べるのにも時間制限がありそれが昼,ということらしい。更にその魚を美味しく調理出来るのも少数らしくその料理人が王都ではここの来来亭にしかいなく、その結果こうなっているようだった
「なるほどなぁ、そんなに美味しい魚があるなら俺も食べてみたいな」
「儂も気になるのう、それほど美味な魚、話を聞いていただけでも涎がでそうじゃの」
「魚・・・!!」
おっと話を聞いていたリアが一番の反応をしているぞ、凄い耳をピコピコしている可愛い。リアは感情表現の仕方がほとんど耳に現れるためか非常に分かりやすい、流石猫の獣人って感じだな。そんなリアに和みながら列は進んでいく。そして遂に俺達の番に回った時お約束が起きた
「すいませーん、ギョギョ魚フィッチャーはこれにて完売でーす!」
「なっ・・・、まじか」
どうやらガタイの良いおっさんで最後だったようで完売の報告が為されてしまった。その報告に目に見えて落ち込んでいるのはやはりリアであった。先程まで漂う香りにパタパタ振り回していた尻尾や耳が今では萎れている・・・というか枯れている、そんな錯覚をするほどに落ち込んでいる
「ケータよ、これは大丈夫・・・なのかの?」
「いや駄目そうだ、魂が抜けてる。・・・ように見える」
漫画によくある口から白い魂が飛び出ているあれが今リアの身に起きていた。なんどか体を揺さぶってみたが再起不能なのか反応が無い、只の屍のようだ・・・ゲフンゲフン。このネタ通じる人今ここに居ないんだった、反応されないネタ程むなしい者は無いな、うん
「とりあえず部屋取るか、リアの事任せてもいいか?」
「仕方がないの」
放心状態のままのリアをファニに任せてとりあえず来来亭に入る。直ぐ脇に食堂があり、そこには食い損ねたギョギョ魚のフィッチャーという料理を食べている客で席が埋まっていた。遠目から見るにフィッシュアンドチップスのよう、っていうかそのまんまだった。今はそこを脇目にし受付のカウンターまで進む。俺達に気付いた受付に居た女性が直近まで行っていたであろう作業の手を止めて声を掛けてくる
「いらっしゃいませ!宿のご利用ですか?」
「あぁ、二部屋頼みたいんだけど」
「空いてますよ、ご利用でしたらこちらの名簿に宿泊者の名前をご記入お願いします」
受付の女性から羽ペンを受け取り俺とリアとファニの名前を記入する。宿泊日数の記入欄があったのでそこには取り合えず三日とだけ書いて用紙を渡すと今度は会計だ
「宿泊日数は三日ですね。食事と湯桶はどうしますか?食事は朝昼晩一食に付き銅貨五枚、湯桶は夜一回のみですがこちらも銅貨五枚です、タオルに関してはサービスでお貸ししますので」
「なら食事は朝と晩、湯桶も三人分で」
「かしこまりました。宿泊料とオプション含めて銀貨三枚と銅貨五枚になります」
一日の一部屋の宿泊料は逆算するに銅貨30枚といったところか、特に問題はないのでちょうどで料金を支払う。支払いが完了したので部屋の鍵を二つ受け取って早速部屋へと向かう
尚、リアは未だに復活する事は無かった・・・。アーメン
卍ドゥルドゥル卍




