ファニ編3
次回から新章です
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調理場へと向かうオルティ様を見送った後、いまだにせんべいを頬張っているダジーハ様に声をかけた
「お久しぶりですダジーハ様」
「おいおい、久しぶりって程間隔空いてないだろ、お前も元気そうだなファニ」
「儂はいつも元気が有り余ってますぞ?あり余ってても寝てますがの」
儂の答えにダジーハ様は大笑いする。ありのままに答えただけで笑われるのは少し気分が悪い、それを察してかダジーハ様はすぐに笑いを止めて話を続けた
「そういえば今はルティの加護者のとこに行ってるんだったか?」
「よくご存じですのう。今はオルティ様の命を受けケータと行動を共にしとるのじゃが・・・」
「何か問題が?」
問題、って程のものではないのだが、全力で戦える機会がなく力を持て余している。そのことを相談してみると意外にも面白い事を聞けた
「それならちょうどいいかもしれないな。確かファニがいるのはラタルだったよな。近々その国で二つほど事が起きそうなんだよな」
「事、とな?」
一つはテラークの動向。現在テラークはラタルと戦争をする準備が整いつつあり、準備ができ次第宣戦布告をするだろうということだ。なぜ魔族領域と隣接していて、その対応に手いっぱいだったテラークがわざわざ戦争を仕掛けるのか。こんな時に戦争をしても兵力がそちらに集中し魔族領域から漏れ出る魔物などの対応ができなくなり最悪国に多大な被害を被るのではないかと思うのだが・・・
もう一つはクーデター。今あの国の王族たちは王位継承権を巡り争っているらしいのだがその中にクーデターを利用し他の継承権を持つ者を暗殺しようと考えているのがいるらしい。そのため近いうちに戦争が起きるのを考えればここで何かしら起こすだろうとのことだ
「それにしてもテラークが戦争を仕掛けたところで何か利点があるのじゃろうか?」
「そりゃあ利点はあるさ。単に不利益が多いだけだ。テラークは最近勇者召喚に成功したと聞く。おそらくそれもあって調子に乗ってるんだろう、おそらく勇者たちを見世物もかねて前線に出してくるだろうな」
「勇者を戦争に駆り出すとは愚かよの」
勇者とはそもそも魔に対抗する大きな力を持った人間を指すもので、それは先天性によるもので決まる。つまり生まれたときには既に決まっていることになるのだ。しかしこれには例外が一つだけある。召喚術式によって異世界から呼び出した人間は絶対に勇者となる素養を持つことだ。素養を持つものだけを狙い召喚するということのほうが正しいかもしれない。ケータがテラークから消されそうになったのは巻き込まれたためその素養がないと思われたからだろう
とにかく勇者というのは魔と対することでその力を発揮するというのに、それを人間通しの諍いに使うなんて愚行としか言いようがない
「全くだ。勇者の力を間違って行使させてはいけないというのに・・・」
「・・・魔王因子、ですか」
「ああ、間違っても因子を覚醒させてはいけない。因子についての情報が少ないからなおさら危険なことはさせるべきではない」
魔王因子、その名の通り魔王になるための必要なもの。この因子は主に魔王と近い存在である魔族が持つことが多く、それが覚醒すると魔王となるのである。因子の覚醒方法は今のところ不明であるが、何かしらの要因で覚醒することだけが判明している
さて、この因子なのだが何故か歴代の勇者が所持していたのである。理由は不明だが魔と関わることが多い事から起因するのではないかと考えられている。そのため今回召喚された勇者たちも高確率で因子を持っている可能性がある
「魔王一人だけでも勢力図が崩壊する可能性があるのにこれ以上無意味に増やされたらたまったもんじゃない」
「確か今の魔王は三人もいるのじゃったか」
「そうだ。サラ・S・ウィスペリア、ギルバルド・S・アルケリー、ポーラ・S・シュランゲンの三人だな。三人いるといっても仲良しこよしというわけではないみたいだがな」
「魔王も一枚岩ではないようじゃの」
「今のところは害がないからいいんだがな。今がずっと続くことはあり得ないだろう、ここの所魔王サラの動きが妙だからな、何かやらかすと考えると無視はできない。まぁ世界のバランスを崩すようなことはしないだろうから今は新しい魔王が誕生しないようにするほうが優先かね」
しばらくダジーハ様と世界の情勢の話に花を咲かせていると料理を作り終えたオルティ様が、手にお盆を持ちやってきた。お盆に乗せた皿からは香ばしい、食欲をそそる匂いが漂っている
「ダジィ兄様となんの話をしていたの?」
「ちょっとした世間話じゃよ」
「ルティ、料理は作り終わったのか?」
「はい、自信作ですから是非食べていってください」
儂、オルティ様、ダジーハ様の三人で食を囲んだ。その光景は神が二人もいるのにとても人間らしく微笑ましい光景だったとある人物が語っていた
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「それじゃあファニ、ケータ君の話を聞かせてくれないかしら」
「といっても話すことなぞそんなにないんじゃがのぉ」
ご飯を食べ終えた後少しの食休みをしてダジーハ様は帰っていった。なので現在はオルティ様と二人だけとなったため本来の目的である報告を始めることとなった
「普通にどんな過ごし方をしているのとか調子はどうかだけでもいいのよ」
「様子に関してはオルティ様自身で見れるのであろう?」
加護を与えた本人ならば加護者の様子を遠視で見れるはずだからこうして話すこともないと思うのだが・・・
「ファニから見ての意見とかも聞きたいのよ、あと兄様たちもいないのだからいつも通りに読んでくれて構わないわよ」
「わかったのじゃ、ルティの頼みだからの、といっても本当に話すことは少ないからの?」
それから儂はルティにケータのことを話し続けた。
そして話し終えたころには夕日が顔を覗かせていた。おかしい、話すことは少なかったはずなのになぜこんなに時間がたっているのだろうか・・・?
「ふふっ、なんだかんだでファニも気に入っているのね」
儂の様子に笑みを浮かべたルティは心底安心したように胸をなでおろす。そのルティの様子に疑問符を浮かべているとそれに気づいたルティがまた優しい笑みを浮かべる
「ケータ君が来る前までのあなたは日々暇を持て余し退屈そうだったからね、こうしてたとえ一時でも楽しそうに思える日々を送れているようで良かったわ」
「確かにケータといると退屈しなさそうとは思っていたがの、そこまで見違えたかの?」
「ええ、今のファニは魅力的よ。生を楽しんでいるって感じがするもの」
「むぅ、もう帰るのじゃ・・・」
今のルティの儂に向ける眼差しがむずがゆく感じ居心地が悪い・・・、その場から逃げるように翼を出し帰り支度をする
「ふふっごめんね。ルティの反応が可愛いからつい。今日はありがとう、楽しかったわ」
「長い付き合いなのじゃから悪気がないのはわかっておるよ。またのルティ」
「ええ、また何かあったら連絡するわ。気を付けてね」
ルティの見送りの下、翼を羽ばたかせ儂はカグラを後にした
その後フツフツ亭に戻るとちょうどケータ達と鉢合わせ休暇も終わりのため今後の予定を話し合い、3日目の休日を終えた




