魔物大量発生攻略戦6
馬車の復元は5分少々で終わった。目の前には前に使用してた時よりも綺麗、というかほぼ新品同然の状態になっている
「馬車はこんなもんか、後はさっきの馬を使えば動かせるんだよな?」
俺の問いにコクリと首を振り肯定するリア
「よし、それじゃ早速馬車に乗るか。ラタルの入国門に向かってくれ、魔物が居たらその都度俺が殲滅するから」
「かしこまりました、それでは馬車に乗って下さい。馬を呼んできますのでお待ちください」
リアに促され馬車に乗る。出発まで時間があるので前からしたかった事をするための準備をする
(あれをやるには色々とスキルが必要だな……ヘルプ先生、今からピックアップするのに近いスキルの取得方法を教えてくれ)
〈解 了承〉
なんかヘルプ先生と微妙に会話できてる気がするのは気の所為だろうか、まぁそれはともかくピックアップを開始する
〈解 ピックアップされた中で全てのものに類似スキルが存在しました。取得しますか?〉
ヘルプ先生の解答が聞こえるとともに頭の中にyes/noというウィンドウが表示された。なんだこれゲームみたいだな、とりあえずyesと念じてみるとyesが選択された
〈解 スキル計8個の取得が完了しました〉
アプリのインストールか何かかよっと心の中でツッコミを入れる。というか何もしなくても取得出来るのかよ、あまり気にしない方がいいかと考え取得したスキルを確認する
創造Lv.1 空間操作Lv.1 物質操作Lv.1 鍛治Lv.1 工作技術Lv.1 複製Lv.1 細工技術Lv.1 効果付与Lv.1
ピックアップしたものとほぼ同じものが揃ってる事に満足し早速作業に取り掛かろうとするが御者台にいるリアから出発の声が掛かった
「意外と早かったな。しょうがない、作業は後からするとして今は魔物に集中するか」
小型地図と気配察知で周囲の魔物を探る。何体か反応はあったが魔物大量発生で出現した魔物ではない元から生息していた魔物しかいなかったので放置する
別段害のなさそうな魔物を不必要に殺すつもりは全くない、めんどくさいのだ
カラカラと馬車を走らせる音を聞きながら目的地の到着を待つ。しばらくしてから眠気に誘われ瞼が落ちそうな時にリアから声が掛かる
「ご主人様、森の出口に到着しました。それで……あれはどうしましょうか?」
「何かあるのか?」
ラタルの入国門ではなく森の出口と言われ疑問に思い、馬車から顔を出して前方を見る
そこには300人ほどの人がいた。それも武器や防具を着けた如何にも冒険者風の人がだ
「あー、あれがアルフレッドの言ってた仲間か。この先以外にラタルの入国門ってあるか?」
「左に迂回した先に東門がありますね。この先のは北門で他には西門がありますね」
「よし、それなら東門に向かってくれ。出来るだけ冒険者達に見つからないように頼む」
かしこまりましたと了承したリアは馬車を方向転換させ迂回のルートを進む。もう一度周囲とこの先の魔物を探って安全を確認する
「あれ、結構魔物放出されたと思ったのに全然いないんだな」
実はさっきの氷魔法で森の中にいた魔物全てが凍ったことはケータが知る由もなかった
※
道中遭遇した魔物を焼きながら仲間の所に戻ったアルフレッドは何やら多数の冒険者と話をしているデュークの下に向かう
「よっす、どうかしたのか?」
「アルフレッドか、実は先程から森の中から魔物が出ないんだ。それが不自然でな、今話し合ってた所だ」
「確かに不自然だな、ちなみに魔物が出なくなったのはいつごろ?」
「兄さんが私を助けに来た頃らしいですよ」
後ろからマリーが答えてくれる。怪我は大丈夫かと聞いたがもう問題なく動けるようだった
それよりも俺が助けに来たってことはフローズトレントが関係してる可能性があるのか
「そういえばフローズトレントとの戦闘中に妙な冷気を感じましたが何だったんでしょう」
「それなら我々も感じた、思えばあれから魔物が出なくなったのでは?」
冷気ってまさかケータの魔法の事だろうか
まさかあいつ自分周辺じゃなく森の中全体を範囲に魔法を使ったのか!?
もしそうだとしたらあの魔法の威力や範囲、更に使用後の体調からしてMP量がとてつもなく高いことが予想できる
「おいデューク、お前に話したいことがある」
「それは他のやつには言えないことか?」
それに頷くと了承して2人で離れた所に移動する
周りに人がいないことを確認して話を始める
「魔物が出なくなった原因に心当たりがある」
「なに?それは本当なのか」
「あぁ、魔物の大量発生地点に向かった時だが冒険者ではない人間が2人いて戦っていたんだ。大した装備もしていないから逃げ遅れた旅人だったんだろうと思っていたんだ。だがそいつ、名前をケータと言うんだが、俺よりレベルが高かったんだ」
「アルフレッドよりレベルが上だと?そんな人物なら何故名前が知れ渡ってないんだ、少なくとも私の知る限りではケータなどという人物は聞いたことがない」
「しかも俺の名前も知らなかったみたいなんだよなぁ、結構ショックだったわ。それはともかくだ、実はその後にボーンドラゴンとエルダーゴーレムが出現したんだ。流石に俺だけで2体は対処出来ないから撤退をしようとしたんだが、ケータはその2体を氷魔法それも初級魔法であるアイスミストで倒したんだ」
「アイスミスト!?そんなことあり得ない!」
俺の言葉に驚きの声をデュークは挙げたが無理もない。アイスミストとは初級、中級、上級、超級、伝説級と別れてる魔法の中での初級に位置する魔法だ。効果は使用者を中心とした周囲の温度を下げるだけである
決して魔物を倒せる程の威力を持つ魔法ではないのだ
「俺も最初は目を疑ったさ。けど間違いない、あれはアイスミストだった。それに問題はそこじゃない」
「ふむ、それ程の人物を野放しにする事は出来ない……か」
「そういうことだ、一応手は打っておいたからそれが機能することを願うばかりだ」
これを予想して事前に冒険者ギルドに来るようにと言ったのだ。別に拘束するつもりはないが繋がりは持っておきたいという思いがあってそうしたのだ
「何はともあれ魔物大量発生の脅威は去った。早く帰ろうぜ」
「分かった、この件については私とお前、後はマリーだけに話を通して情報は止めておこう。それでいいか?」
「異論は無い」
「決まりだ、さてさっさと帰るとするか」
デュークはすぐさま冒険者を纏めて脅威が去ったことを伝えて帰還の準備を進めた




