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29 其れはロボット

「…タ……」

「……」

「…い…リッタ……」

「……」

「おいエリッタ!!」

「はいい!?」


 突然の耳元への大音量の声に驚いたエリッタは、座って居た椅子から立ち上がり何とも間抜けな声を発した。


「お前何ぼーっとしてんだよ! さっきから何回も呼んでたんだぞ!?」

「申し訳御座いません、ルデルト様っ」


 机に頬杖を付き不機嫌を露にするルデルト王子に、エリッタは直ぐ様頭を下げた。しかし、そんなエリッタの姿を見ても、ルデルト王子は不機嫌なままだ。


「何、考えてたんだよ…」

「はい?」

「何を考えてたんだって言ったんだよ!! 何度も言わせるな!!」

「も、申し訳有りませんっ」


 ぶつぶつとルデルト王子が呟いた為、エリッタには其れが聞こえなかった。だから聞き返したというのに、ルデルト王子は一回で聞いて居なかったエリッタに逆ギレする。

 決してエリッタが悪い訳では無い。ちゃんとした音量で話さなかったルデルト王子が悪いのだが、エリッタはまた謝った。実はルデルト王子は、エリッタが自分と一緒に居るにも関わらず、別の、もしかしたら他の人物の事を考えて居たんじゃ無いか。

 そう思い、苛々していたのだ。簡単に言ってしまえば、嫉妬という事になるだろう。しかしルデルト王子がそんな事を考えて居た等とエリッタが分かる筈も無く、ルデルト王子がぼーっとして居た自分に対しての怒りだと思い、何度も謝って居たのだった。

 現在、ルデルト王子とエリッタは、ルデルト王子の自室に居る。ルデルト王子は自分の机に向かっており、エリッタはそんなルデルト王子の隣に椅子を移動し座って、机の上に広げて居る資料を覗き込んで居た。

 二人が今何をして居るのかというと、エリッタの何とも久し振りとなるお勉強(・・・)だ。机の上に広げて居る資料は、エリッタの手作りだったりする。文字ばかりだと飽きてしまうと思ったらしいエリッタは、所々にイラスト何かも織り交ぜており、ご丁寧に色まで塗って居る。

 その何ともカラフルな出来になって居る資料にルデルト王子は呆れつつも、内心ではエリッタが自分の為だけに作った資料だと思うと嬉しくて堪らなかったりして居た。


「何を考えて居たのかといいますと、少し……昔を思い出して居ただけなので御座います」

「昔…?」

「はい。大した事では無いのですが、少しだけ…ふと思い出してしまいまして」


 懐かしむ様に、だが其れも楽しい思い出なのか、或いは悲しい思い出なのか、エリッタの表情を見ても、ルデルト王子はイマイチ判別出来なかった。エリッタの表情は、楽しそうというか嬉しそうにも見えるし、でも何処か悲しそうにも、今にも泣きそうにも見えるからだ。声色も何時もとは違い、ルデルト王子はこんなエリッタを初めて見る事になった。

 ルデルト王子は何て言えば良いのかと言葉を選んで居る内に、エリッタはパッと何時もの表情へと戻ってしまう。


「ですが私情を持ち出す等私(わたくし)の失態で御座いましたっ。今はルデルト様の大事なお勉強の時間だったにも関わらず、昔を思い出して呆けて居た等と、有ってはならない事で御座います!」

「べ、別に其処まで言って無いだろ!」

「いいえ! ルデルト様にその様なつもりが無くとも、一瞬でもルデルト様にそう思わせてしまった事が、有ってはならない事に御座いますっ。ご心配には及びません! 私は今後一切、私情等挟みませんし、思い出に浸る事等も致しませんので!」

「だから何でお前は其処まで大袈裟なんだよ!! 別に私情を挟んだって良いだろうが! お前はロボットでも何でも無いんだから、そういう事も有るだろう!?」


 話が大袈裟になって居るエリッタに、ルデルト王子が此れ以上エリッタの話が大袈裟になら無い様にとフォローしたのだが、エリッタはルデルト王子の言葉に気合を表す様に握って居た握り拳を、不意に下ろした。流れる様に静かに下ろされた握り拳に、ルデルト王子は其れに視線を向けた後エリッタの顔に目を向け驚く。


「ルデルト様は少し、勘違いをなさって居る様で御座いますね」

「エリ、ッタ…?」


 その表情は涼しげで、何時も優しい眼差しは酷く冷たい。


「私は、ルデルト様が思って居る様な人間では御座いませんよ。私等にルデルト様は安易な幻想をお持ちの様で御座いますが、其れは直ちに正された方が宜しいかと思います」

「急に、何を……」

「先程ルデルト様は仰いました、お前はロボットでも何でも無いんだからと。確かに私はロボットでは有りません。此の体は人間の物で間違い無いでしょう。ですがルデルト様、」


 今までも、たまにエリッタがまるで別人の様に変わる時は在った。だが今回は、今までとは全然違うと、ルデルト王子は目の前のエリッタを見つめたままそう思った。感情という物が、表情という物が、今のエリッタには無い。

 何の感情も、表情も無いそんなエリッタは、未だ何が起きて居るのか分からず混乱して居るルデルト王子に、更に混乱する事を告げた。


「私は間違いなく……ロボットで御座いますよ」


 平然と、淡々と告げたエリッタの言葉に、ぬくもりは無い。熱を持たないロボットの様に、本当に今のエリッタには人間らしさが欠落して居た。エリッタによって突き付けられた言葉に、ルデルト王子は思考が機能しない。

 此の前社長と電話した時に、エリッタは改めて自分は人間としての何か(・・)が欠けて居るのだと自覚した。その為、エリッタはそう素直に言葉を述べたのだった。

 しかしそんなエリッタの心境等知る筈も無いルデルト王子は、人間だと自分で認めた筈のエリッタが、でも自分はロボットだと告げた。その意味が、その言葉の意味する事を、理解等出来る筈が無かった。

 人間なのか、ロボットなのか。

 今目の前に居るエリッタを見て居ると、人間とロボットの境界線が、酷く曖昧にルデルト王子の目には映るのだった。

お気に入り登録等ありがとうございます。

そして更新が少しお久し振りになってしまい、本当に申し訳有りませんでした。

活動報告でも改めて謝罪もしますし、理由等も書くと思いますので、よかったらご覧ください。


内容も例の如くゴタゴタで申し訳無いです><!

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