04、仲直りと異世界料理試食
異世界に召喚されて、草原のど真ん中で料理を作っている最中に、背後から忍び寄って来たローブを着た、謎の人から襲われそうになった。
俺は、偶然か必然かは分からないが、頭の中に出て来た謎のメッセージに導かれる様に、適当なスキルを複数まとめて使用して、難を逃れる。
すると、相手の着ていたローブが脱げて、中から大きな耳と尻尾のある黄昏色の髪の女の子が出て来たのだった。
スキルを複数まとめて使用している際に、その女の子とは別のところからも、誰かは分からないが、謎の悲鳴らしき声や音があちこちから聞こえた気がするが、恐らく気のせいだと思う。多分…
「ごめんね?――いきなり刃物を向けられて、びっくりしたんだ、立てるかい?」
謝罪をしながら、相手の女の子に手を差し伸べる。
彼女は、彼の手を掴んで立ち上る、多少ふらつきがあるものの、何とか立っている。
「こちらこそ悪かったな?――草原のど真ん中で料理をするヤツが居るのは、おかしかったので、魔族か魔王の手先かと思ったのだ」
魔王って?――そういえば、この異世界では魔王や魔族が人間達と戦っているんだっけ?
俺も、元々は勇者としてこの異世界に召喚された立場だけど、あの女神が適当なお陰で、草原のど真ん中に召喚されたんだよな。
今から、思い出しても腹が立つけど…、それより腹が減ったのを忘れていたよ。
「お腹空いてないか?――俺も今から料理を作って食べるところなんだ?――俺が作るから、一緒に食べないか?」
「私は腹など減っては!」
彼女のお腹の音が鳴る。
彼女の顔が恥ずかしさで、赤面する。
「良かったら、だよ?――食べたくない時や美味しくないと思ったら、途中でも残していいから」
「お前がそこまで言うなら――食べてやる」
赤面しながらも、尻尾がフリフリしている。
可愛いな?――態度や行動に出るタイプか。
中山太郎は、再びエプロンを着て、薬草と干し肉を使って、何か作れないかと考える。
――干し肉と薬草か?――炒め物と炊き込みご飯もいいな。
料理人セットの中に米も数人分だが、あったし――コイツを使っちゃうか?
どうせ食べるなら、美味しい方がいいもんな。
「よし」
まずは、炊き込みご飯からだ。
とは言っても調味料や香辛料とくらいしかないからな。
まあ、何とかなるだろう。
まずは、アイテムボックス∞から取り出した干し肉『約100g』を、包丁で5㎜に切ってスライスする。
フライパンを中火で加熱して、スライスした干し肉を投入して、両面を焼いて、軽く炙る。
炙った干し肉は一旦皿に移して。
水『340㏄』酒(料理用)『30㏄』うすくち醤油『30㏄』に出汁昆布『3g』を浸ける。
水で研いだ米『2合』を炊飯用鍋に投入して、さっきの出汁昆布合わせを投入し、炙った干し肉を投入して蓋をする。
大体25分くらいかな?――まあ、異世界の干し肉だから、何とも言えないが。
「クンクン、いい匂いだな?――」
「ちゃんと作ってやるから、待ってろよ?」
「ああ、わかった」
炒め物も作るか。
干し肉の炒め物か?――さてと。
あらかじめ茹でて置いた、薬草を包丁で4等分に切る。
それに、香辛料と塩とコショウで味をつけて――薬草だから、苦味もあるからな。
ニンニクが無いが、ニンニクチューブはあったからこれを使おう、微塵切りになっているネギが冷凍庫に入っていたから、これを混ぜる。
鍋に水を入れた物を沸騰させたところに、干し肉『約100g』をそのまま投入して、灰汁が出て来たら、一旦取り出して水分を取る。
包丁でや約3㎜くらいの大きさに切る。
中火で加熱した別のフライパンに、油『大さじ1』を入れて、切った干し肉を投入して炒める、焼き目が付いたら、薬草を入れて更に炒める。
途中で、醤油をスプーン一杯分を投入して、よく炒めたら。
「お?炊き込みご飯もそろそろいいかな?」
冷蔵庫で冷やして置いた、薬草のお浸しに、出汁をかけて、おろしたカツオ節と胡麻を入れて。
干し肉の炊き込みご飯を皿に盛る。
干し肉と薬草の炒め物も皿に盛る。
「異世界での初料理の、干し肉の炊き込みご飯、干し肉と薬草の炒め物、薬草のお浸し、完成だ」
「さあ…っと、おっととまずは俺が毒味しないとな」
薬草のお浸しを食べる。
「旨い、思った通り、ほうれん草に近い感じだったか!」
「ホウ…レン?」
獣人の女の子がポカンとしている。
よく分かっていないみたいだ。
他の物も食べよう。
干し肉の炊き込みご飯や干し肉と薬草の炒め物も食べる中山太郎。
「旨い、ほうれん草に似た食感に、干し肉は炒めたり、米と一緒に炊くと更に旨いな」
「君も食べてみなよ?――美味しいよ?」
そう言われるがまま、薬草のお浸し、干し肉の炊き込みご飯、干し肉と薬草の炒め物を食べる女の子。
すると、何も言わなくなる。
「う、」
「う?」
「旨ーい!――何だこの旨い食べ物は!?」
どうやら、気に入ってくれたみたいだな?――初めは、怖い人なのかと思ったが。
あんなに美味しそうに食べているのを見て、怖いというか、むしろ嬉しいな?――自分の作った物を食べてくれるのは。
やっぱり、料理を作るのは楽しいし、こういった人の笑顔になるのを見ていると、こっちも幸せになるな。
獣人の女の子と中山太郎は、異世界に来て、初めての料理の味を楽しむのだった。




