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ハチミツの香りが残る夜に(尾上麻里子)

女子高校生:麻理子の恋愛模様

 知多市の海に近い通りにある、小さなカフェ。


 尾上麻里子が放課後にアルバイトをしている場所だ。木目調で温かい雰囲気の店内。窓からは海が見え、明るい陽射しが差し込む。客の笑顔が絶えない人気のカフェだ。


 麻理子は白いエプロンを結び直しながら、カウンター越しに店内を見渡す。コーヒーの香りに混じって、ほんのりと甘い匂いが漂っていた。


「麻理子ちゃん、このタルト、仕上げをお願い」


 そう声をかけてきたのは、アルバイトの先輩――甘利だった。調理師・製菓の専門学校に通いながら、この店で働いている。


「はいっ」


 返事をしながら、麻理子の胸が少しだけ高鳴る。甘利が社員の先輩たちと一緒に作るお菓子は、いつも安定して美味しい。焼き色も、香りも、食感も。レシピ通りなのに、どこか人柄がにじむような、優しい味がする。


(……やっぱり、専門で勉強してる人はすごいな)


 麻理子は家でお菓子を作るのが好きだった。休日にはレシピ本を広げ、失敗しながらも何度も試作を繰り返す。だからこそ分かる。「美味しい」を当たり前のように作れる人たちの凄さが。


 製菓の専門学校に通い、バイト先でも自然にお菓子を仕上げる甘利は、麻理子にとって憧れの存在だった。自分もパティシエを目指すかどうかは分からない。でも、夢に向かって迷わず進んでいる甘利の背中は、眩しくて、少し遠い。


 最初はただ「かっこいい先輩」だった。けれど、ミスをした時にさりげなくフォローしてくれたり、菓子作りについて相談すると「そういう時は、火加減ちょっとだけ弱めにするといいよ」と優しく教えてくれたり。その積み重ねが、気づけば胸の奥を温かくしていた。


 ――この人に、認めてもらえたら。


 そんな想いが芽生えた時点で、もうただの憧れではなくなっていた。


 そんなある日、甘利の誕生日が近いと知った。麻理子は迷った末、決意した。手作りのお菓子を渡そう、と。知多市の特産であるハチミツを使ったクッキーと、マドレーヌ。優しい甘さで、誰にでも食べやすいお菓子。


(シンプルなお菓子だからこそ……丁寧に作ったことが、甘利さんには伝わるはず)


 そう思って何度も試作を重ねた。焼きすぎて硬くなった日も、甘さが足りずに首をかしげた日もあった。けれど、オーブンを開けた瞬間、ハチミツの香りがふわっと上品に広がった日。


(……これなら)


 胸の奥が、すっと軽くなった。


 ――甘利の誕生日前日。


 クッキーとマドレーヌは、麻理子自身が納得できる出来栄えに仕上がった。小さな箱に丁寧に詰め、最後に折りたたんだ手紙をそっと忍ばせる。

 

 ――ずっと、甘利さんのことが好きでした。私と付き合ってください。


 直接言う勇気は、まだなかった。正直な気持ちを、お菓子と一緒に箱に詰め込んだ。


 ――誕生日当日。


 閉店後、カウンター越しにお菓子を差し出す。


「甘利さん、お誕生日、おめでとうございます」


 甘利は驚いたように目を瞬かせ、すぐに柔らかく笑った。


「ありがとう。これ、もしかして麻理子ちゃんの手作り?」

「はい。女子高生の手作りは貴重ですよ?」


 まともに甘利の顔を見られず、精一杯の冗談でごまかす。きっと顔は真っ赤になっていた。そんな麻理子の様子を見て、甘利は一瞬だけ言葉に詰まった。箱を受け取る手に、少しだけ力が入る。


「……そっか。嬉しいな」


 その声は、いつもより少しだけ低く、柔らかかった。


 ――その夜。


 自室でスマートフォンを握りしめていると、着信音が鳴った。表示された名前は、甘利。


(……え、電話?)


 普段はメッセージだけなのに。心臓の音がうるさくて、指先が少し震える。それでも意を決して、通話に出た。


「もしもし、麻理子です」

「夜遅くにごめん。お菓子、すごく美味しかった。クッキーは香ばしくて、マドレーヌはしっとりしてて……どっちも、ハチミツの味がちゃんと活きてた」


 その言葉に、胸がいっぱいになる。


(一生懸命、作ってよかった……)


「きっと、丁寧に作ってくれたんだろうなって。だから、すごく嬉しかった」


 少し間が空く。


「あと、手紙も読んだよ」


 沈黙が長く感じられ、心臓の音がやけに大きい。


「俺で良ければ、付き合って下さい」


 一瞬、言葉が出なかった。頭が真っ白になる。けれど、喉の奥が熱くなり、自然と声がこぼれた。


「……ほんとうですか? よかった……こちらこそ、お願いします」


 通話が終わったあと、麻理子は携帯を胸の前でぎゅっと抱きしめた。部屋にはまだ、ハチミツの甘い香りが残っている気がする。それはきっと、彼女の胸にそっと芽吹いた恋の、はじまりの香りだった。

- キャラクター プロフィール -

名前:尾上麻里子おのうえまりこ

職業:高校生

好きな事:菓子作り

年齢:17

身長:153㎝(5'0")

体重:44㎏(97lb)

誕生日:5月25日

星座:双子座

血液型:O型


・彼女のイラスト配信動画はコチラ↓

https://www.youtube.com/shorts/GFVkL6qVs50


・彼女のイラストデータをこちら↓のサイト(SUZURI)で配信しています。携帯電話の壁紙等にご利用ください☆

https://suzuri.jp/teruru4040/digital_products/72378

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