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片想いにピリオドを(菊地彩)

看護助手:彩の恋愛模様

 愛知県豊明市のある病院。勤務が終わる夕方、ナースステーションはようやく少しだけ静けさを取り戻していた。彩は手にした紙カップにコーヒーを注ぎ、窓際の椅子にゆっくりと腰を下ろす。熱いコーヒーの苦味が口の中に広がると、ようやく少しだけ肩の力が抜けた気がした。


――もう、この気持ちは終わりにしなきゃ。


 自分にそう言い聞かせるのは、今日で何度目になるのだろう。胸の奥でざわつく想いは、ひとりでどうにか消せるものではなかった。


 一週間ほど前、更衣室で着替えていると誰かの囁きが耳に入った。彼――山岡先生が婚約したという噂だった。山岡は内科の若手医師。落ち着いた口調と丁寧な物腰で、患者にもスタッフにも変わらず優しい。誰にでも分け隔てなく接するその姿が、彩の目にはいつもまぶしく映っていた。


 菊地さん、助かりました。いつも仕事が丁寧ですね」


 たったそれだけの言葉で、胸の中が熱くなるのをどうにも止められなかった。顔を上げて視線を合わせるのも恥ずかしくて、必死に「いえ」と短く返すだけだった。彼の優しさが自分だけに向けられているわけではないと、頭では分かっていたのに。それでも、心は勝手に期待し、裏切られてはまた涙をこらえていた。


――終わらせよう。このままじゃ、前に進めない。


 そう思いながらも、勤務表で彼の名前を見つけるだけで、胸がぎゅっと締めつけられて息が詰まる。


 帰り道、彩はふと足を止めた。職場のすぐ近くにある小さな公園。夜の冷たい空気が肌を刺す。人気のないベンチに腰を下ろし、白く吐いた息を見つめた。星がぽつぽつと瞬く冬の空を見上げ、なんだか孤独が胸を押しつぶしそうになる。


「……寒いな」


 小さな声で呟くと、その時、手に温かい感触が伝わった。ホットの缶コーヒーだった。振り向くと、三浦が立っていた。


「ほら、そんなところで座ってたら風邪ひくよ」


 三浦は同じ病院で働く作業療法士。明るくて気さくで、誰にでも自然に声をかけるタイプだった。だけど、その明るさの奥には、静かな観察力と人の心に寄り添う優しさがあった。


「……泣いてた?」


その問いに、彩は思わず声を震わせながら返した。


「泣いてない」


三浦は責めることなく、にこっと微笑むと隣に腰を下ろした。


「山岡先生、婚約したんだってね」


その名前が胸に刺さった。彩は言葉を失い、うつむいた。


「そっか。菊地さん、ずっと見てたもんね、先生のこと」

「……え?」

「俺、仕事柄、人の変化とか、ちょっとした表情の違いとか、気になっちゃうんだよね」


 三浦は作業療法士として、多くの患者と向き合ってきた。身体だけじゃなく、心の機微にも敏感に触れてきた。だからこそ、彩が山岡に向けていた視線も、口にできなかった想いも、彼は知っていたのだろう。


「片想いって、つらいよね。俺も、そうだったから」


彩は涙をこらえ、震える声で尋ねた。


「……誰に?」

「それは、秘密。でも、いいこと教えてあげる」


 彩が少しだけ顔を上げると、三浦はほんの少し照れたような笑みを浮かべた。


「無理に終わらせなくていいんだよ。時間がちゃんと、気持ちを柔らかくしてくれるから。忘れるんじゃなくて、静かに変わっていく感じ?」


その言葉が、深く心に染み込んだ。涙がこぼれそうになり、彩は慌てて目をそらした。


「……ありがとう。流石だね」

「うん。じゃあ、今度、仕事終わりに、ごはん食べに行こうよ。誰かと話すだけで、少し楽になるかもしれないし」


「それって、慰め?」

「違うよ。前から誘ってみたかっただけ」


そう言いながら、彼は少しだけ視線を泳がせた。冗談かと思ったけど、嘘じゃない気がして、彩はふっと笑った。心が少しだけ軽くなったような気がした。


「三浦さん、ありがとう」

「どういたしまして。今日は菊地さんに2回もお礼言われちゃったな。俺のラッキーdayになったかも」

「……」


彩は三浦の冗談に上手く言葉を返すことができず、黙ってしまった。


 数日後の休日、彩はひとりで博物館を訪れていた。幼い頃から好きだった、恐竜の骨格標本の前に立つ。巨大な尾が天井に向かって伸びている。何千万年前に生きていたものだろう? 壮大な時間を想像しながら標本を見上げると、胸の奥に不思議な勇気が湧いてきた。


――ちゃんと、前に進める気がする。


スマートフォンを取り出すと、三浦からのメッセージが届いていた。


「明日、仕事が終わったら、帰りに、あの食堂で晩ご飯どう?」


 公園で話したあの日以来、三浦とは時々食事を共にしている。彩は画面をじっと見つめ、小さく微笑んだ。まだ何かが始まったわけじゃない。ただ、心の逃げ場みたいな場所があるように感じられて、三浦の誘いは素直に嬉しかった。失った想いの向こうに、新しい光がゆっくりと差し込んでいるように感じられた。


(三浦さん、こんな私に優しくしてくれてありがとう……)


 彩は、自分を心配してくれる三浦の優しさを感じながら、暫く画面のメッセージを見つめた後、


「うん、行く」


とだけ、短い返事をした。


- キャラクター プロフィール -

名前:菊地彩(きくちあや

職業:看護助手

年齢:23歳

好きな事:博物館巡り

身長:159㎝(5'3")

体重:52㎏(114.6lb)

誕生日:1月25日

星座:水瓶座

血液型:O型


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