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ファーストキスの味は五平餅?(鈴木さくら)

女子高校生:さくらの恋愛模様

 愛知県設楽町。山々に囲まれたこの町の高校、蝉の声が教室に染み込むような夏の日。窓から差し込む陽射しがノートを照らす中、鈴木さくらは小さくため息をついた。


「また、タカシのこと?」


 隣の席のケイコが、からかうように笑う。にやりと唇を吊り上げて、その目は全部お見通しだと言わんばかり。


「……うん」


 さくらは目を伏せたまま、ノートの隅を指でなぞった。中学二年の冬から付き合っているタカシ。高校も一緒になって、今もこうして関係は続いている。でも、どこか、まだ踏み出せないものがあった。


「キスくらい、自然にすればいいじゃん」


 ケイコはさらっと言って、髪をかき上げる。その仕草がなんだか大人っぽくて、さくらは胸の奥がチクリと痛んだ。


「……ケイコは、もうしたことあるんでしょ?」

「高校入ってすぐ彼氏できたって言ったじゃん? あとはご想像にお任せでーす」


ふふっと笑うケイコが、少しだけ遠く感じる。


 どうして私はこんなに臆病なんだろう。手をつないだり、肩がふれたり、そういう瞬間はたくさんあったのに。キスだけは、まだだった。


「ねえ……初めてのキスって、本当にイチゴ味なのかな?」


そうつぶやくと、ケイコが吹き出した。


「何それ! 少女漫画の読みすぎ! でもまあ……味噌の味よりはマシじゃない?」


 味噌の味……それは、さくらの地元のソウルフード「五平餅」のイメージに直結してしまう。なぜかその言葉が頭にこびりついた。


 期末テストが近づき、恒例の「勉強会」をタカシとすることになった。中学の頃から続いている、二人だけの時間。


「今度こそチャンスでしょ。部屋で彼氏と二人きりなんだからさ」


ケイコの言葉に、さくらの胸がドキンと鳴る。


「……でも、私からなんて……変じゃない?」

「気持ちは伝えなきゃ伝わらないよ。自分のペースでいいけどね」


 その言葉に背中を押されるように、勉強会の日。玄関のチャイムが鳴った瞬間、さくらの心臓はバクバクと跳ね始めた。


「こんにちは〜、タカシくん。あがってあがって。90分後くらいに何か持っていくからね」

「お邪魔します。お母さん、いつもありがとうございます」


 明るく迎える母の声を聞きながら、さくらは内心、毎回ぴったり90分後にやってくる“差し入れタイム”の正確さが少しだけ気になっていた。


 部屋に入ったタカシは、いつものように筆箱を取り出し、英語の教科書を開いた。


「今回は英語ヤバいなぁ。リスニング、全然聞き取れない……」

「だ、大丈夫。わたし、手伝うから……」


 言った瞬間、自分の声が震えていることに気づく。タカシの真剣な横顔に、胸がぎゅっとなった。


(今日こそ……伝えられるかな。でも……やっぱり、緊張するよ)


 時間が過ぎても、話を切り出す勇気が出ないまま。心臓のドキドキばかりが増していく。


「二人とも勉強お疲れ様。五平餅持ってきたよ」


 ドア越しに聞こえる母の声に、さくらは一瞬、耳を疑った。


「……五平餅!? お母さん、なんで今日に限って……高校生なんだから、ドーナツとかにしてよ」

「え、俺、好きだよ。これ、味噌が最高にうまいんだよな」


 タカシが笑って五平餅を頬張る。その笑顔につられて、さくらも結局手を伸ばしてしまった。


「ちょっとタカシ!……口に味噌ついてるよ」


笑いながら指さすと、タカシも笑って、


「そう言うお前もな」


そう言って、彼はそっと手を伸ばし、さくらの唇の端に付いた味噌をぬぐった。


……その瞬間。


(あっ……)


 ふれる指先に、びりっと電流が走ったような感覚。胸の奥が一気に熱くなる。

 

ドクンッ……ドクンッ!


 視線が重なる。呼吸が止まる。タカシが、ゆっくりと顔を近づけてくる。タカシの唇が、いや、五平餅の味噌がさくらの唇めがけて近づいてくる。


(ま、待って……今キスされたら、ファーストキスが、味噌の味になっちゃう!?)


 ファーストキスの味が五平餅の味噌の味……これは、さくらにとって生涯にかかわる由々しき事態だ。さくらの頭の中で、非常ベルのように警告音が鳴り響く。


「わっ……!」


 思わず反射的にタカシを押してしまった。


「ご、ごめん!! びっくりして……!」


「いや、俺こそ……なんか、変な空気にしちゃったな」


 沈黙。お互い言葉を探すけど、すぐには見つからない。


(ダメだ……こんな終わり方、イヤ)


 さくらは、胸の奥から言葉をしぼり出した。


「ねえ、タカシ? テスト終わったら……また、あの展望台、行かない? 中学の頃よく行った、あの丘」


 タカシは少し驚いたように目を見開いたが、すぐに優しく笑った。


「うん、行こう」


頬が熱い。目をそらしながら、さくらは思い切って続ける。


「その時……できたら、その、ちゃんと……そういうの、したいなって」

「……うん」


 まっすぐ目を見つめ返して返事をくれるタカシ。その穏やかな声に、さくらは喉がカラカラで、うまく言葉が出なかった。ただ、小さくうなずくのが精一杯だった。


「それじゃあさ、行くときにドーナツ買っていい? 苺チョコのやつ。私、あれ、すっごく好きなの」

「いいよ。お前、あれ好きだもんな」


でも、タカシはふと首をかしげた。


「でもさ……それ食べたら、ファーストキスが苺味になっちゃわないか? 味噌味はダメで、苺味はOKなのかよ?」

「も、もうっ! ばかっ!」


 さくらは顔を真っ赤にしながら、タカシの肩を軽く叩いた。その手のぬくもりに、ふたりの間に笑いがこぼれる。


窓の外、赤く染まった空に蝉の声が遠く響く。


――ファーストキスの味は、まだ秘密のまま。

- キャラクタープロフィール -

名前:鈴木さくら

年齢:16歳

好きな事:バレーボール

身長:158㎝(5'2")

体重:46㎏(101.4lb)

誕生日:1月5日

星座:山羊座

血液型:B型


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