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■2024年12月6日
遅い紅葉も終わりつつある。夏は緑に、秋は赤にと、鮮やかだった山の色も枯れてきた。冬が来て、じき山は眠りにつく。
代わりに週末の天気予報は真冬の寒さ。重い雲が流れ込み、冷たい風が吹き付けだした。冬の空が目を覚ます。
お題・山眠る
■2024年12月6日
俺は神絵師の腕にかぶりついた。これで俺も神絵師になれる!
と思ったが余りの筋肉に歯が立たない。
「フン、貴様も絵師志望か。どれ描いた絵を見せてみろ」
とスケッチブックを奪われる。
「下手なデッサンだな。貴様に必要なのは肉ではなくコツだ」
なんて酷評。こいつは神ではなく、まるで悪魔だ。
お題・神絵師の肉
■2024年12月7日
「お父さん、再婚したんだっけ」
「そしたらあの女に、連れ子もゾロゾロやって来てさ。家が私の場所じゃなけなったから出てやったわけ」
「け、けどお父さんも今になって恋するなんて、ロマンスよね」
「ロマンスの語源は『ローマ風』と知ってる?」
「へえ」
「家が、さながらゲルマン民族大移動よ」
お題・振り返るとロマンス
■2024年12月7日
「付き合わせて悪いな」
「変わってるよな。行きは新幹線で、帰りは夜行バスに決めてあるなんて。旅行したら疲れるし、帰りは急ぐものだけど」
「やっぱり新しい風景を見たいじゃん」
といって故郷に到着した翌早朝。見慣れた町は朝日に照らされ、人の気配はない。
「なるほど。見たことない光景だ」
お題・夜旅
■2024年12月7日
毎日、季語辞典を読んでいて困ったことがある。夏冬は構わない。春や秋、季節の変わり目。温暖な僕の地元と、今日の季語とが合わないのだ。
今日は二十四節気で大雪。寒くはなったが、そんな大げさだなあ、雪なんて。
お題・大雪
■2024年12月7日
魔女に呪いをかけられた。
「貴様のHPは永遠に減り続ける」
こうなってからの俺様はもう無敵だ。だって永遠に減るということは、永遠になくならないということだから。こうなれば、どんな無茶でもできる。むしろ不死の肉体。
今や俺のHPは小数点以下、数百桁にまで減った。まだまだ生きられるな!
お題・HP減少の呪い
■2024年12月8日
新しく部活の顧問に就任した先生は、いわゆるスパルタ式だった。
「空気椅子で根性をつけろ!」
と無理かつ非科学的なトレーニングで、部員は次々と体を壊す。
さすがに苦情殺到で、やめてくれという話も出るが。
「嫌だ、絶対に辞めんぞ!」
顧問の椅子にしがみつく根性はすごかった。
お題・ど根性椅子
■2024年12月8日
手の指を奪われてしまった。だから代わりの指を求めて、この町へ来た。この町には五本指屋があるというのだ。どこだろう。
「すいません、五本指屋はどこにあるでしょう」
と尋ねたら、その人にも指がない。だから指し示す方向も分からない。
こうして、この町には指のない人間が大勢彷徨っている。
お題・五本指屋
■2024年12月8日
就職面接にて。
「自己紹介してもらおうか」
「私、セロハンテープと言います!」
そこからの話が長かった。引き出しがいくらでもある。止めさせようにも、やたら粘り強い。
「わ、分かったから。そろそろ話を急いで終わらせてくれないかな」
「大丈夫です、私なら最初から巻きでやってますから!」
お題・セロハンテープの自己紹介
■2024年12月8日
初めてウチに来た彼女。何気に冷蔵庫を開けると悲鳴を上げた。
「何よこれ!?」
「何って眼鏡専用の冷蔵庫だが? ああ食料品はあっちの冷蔵庫ね」
「どうして眼鏡を冷蔵庫に入れるのよ」
「おいおい、それこそ色眼鏡だぜ」
「ということがあってさ。以来、彼女の僕を見る目が冷たいんだ」
お題・眼鏡冷蔵庫




