331~340
■2024年7月14日
彼は男らしさの追求をやめない。体を鍛え、知性を磨き、オシャレに気をつける。町を歩けば、もうフェロモンとか漂ってそうだ。
何でも意中の女性のために始めたらしい。だけど今や大勢の女性が彼に振り向く。私は気が気じゃない。
「私という妻を捕まえたのだから、これ以上男らしくならなくても」
お題・無駄に男らしい
■2024年7月14日
灯台とは暗闇の中で船を導く道標だ。
ある時、自分だけが正しい道標だからと、灯台を造った者がいた。すると、いや正しいのは自分だ自分だと、灯台は増え続ける。
とうとう大地は無数の灯台に埋め尽くされた。夜にもなると、その灯台が一斉に照らすものだから。眩しくて誰も夜を行けなくなったのだ。
お題・灯台の島
■2024年7月15日
「どうすれば私もあなたのような名医になれるでしょうか」
「やっぱり手術の前にやってる心電図体操が良いのかな? 君も一緒にやるかい」
「肩を細動~」
「不整脈のように腰を回す~」
「体がほぐれて来ました!」
「最後はフラットに心停止して深呼吸」
「深呼吸できてない、息止まってる!?」
お題・心電図体操
■2024年7月15日
隠れ里は魔物の群に襲われていた。ひとりの子供を逃そうとする長老。その前に魔将軍が立ちはだかった。
「突き止めたぞ、そいつが精霊の炎を宿すというガキか」
「なぜ、ここが分かった」
「単純なこと。天才魔術師がいると、人間どもの噂になっていたぞ。火のない所に煙は立たぬ、というやつだ」
お題・秘蔵の火属性
■2024年7月16日
保護具完全装備で草刈りをやる。田舎なんて定期的に草刈りをやらないと、すぐ荒れ地だ。
都会者は緑が気温を下げるというが信じられない。草むらからは、むわっとした熱気が漂う。それ以上に、保護具の中に閉じ込められた体温、草刈り機のエンジンから発する熱。
雑草を恨みながら俺は刈り続ける。
お題・草いきれ
■2024年7月16日
「俺様は四種全ての精霊を操ることのできる四大精霊使いだ」
「そして私めが四角精霊使いです」
「四角の精霊って何だよ。聞いたことねーぞ」
「それは大変申し訳ありません。ですが当方といたしましては情報連絡の周知に徹底努力する所存で以後は……」
「四角四面な態度の精霊使いだなあ」
お題・四角の精霊
■2024年7月16日
夫が私の左手薬指に結婚指輪を通す。
些細なことで喧嘩しては、もう別れる離婚だと騒ぎになり、数日で仲直り。そのたびに再婚みたいなものだからと、結婚指輪をつけてもらう。もう何度目だろう。同じことを繰り返して。
ああ、だから結婚の証は「輪」なのかと私は勝手に納得した。
お題・エンゲージリング
■2024年7月16日
工場からもうもうと青い排煙が吐き出される。おかげで空が真っ青だ。
昔は空も黒く曇ってて、目に優しかったもんだ。それが青空になったもんだから、昼にもなると眩しくてしょうがない。
このままだと自然破壊が進み、黒い空が失われてしまう。反対運動をせねば!
お題・青い工場
■2024年7月17日
幸福とは高所に住むことだ。ようやく入れたタワマン。最初は最下層だった。けど、うちの旦那は有能だ。出世するたびに、どんどんタワマンの階層を駆け上った。ああ、周囲の羨望と嫉妬の眼差しが心地良い。
ただ最上階ともなると家賃が高額で引っ越しが難しくなってきた。全く、幸福とは高価なものね。
お題・だんだんと高くなる幸せ
■2024年7月17日
王は側近の報告を聞いていた。
「魔界は魔王が統一して、平和になったのは間違いないかと」
「信じられぬ。魔界の住人といえは悪の象徴だったろうに」
「今や飢えることもなく、教育も行き届いている様子」
「人間界なんて、まだ戦乱の世だからな。こうなると魔界などと呼ぶのも、魔界に悪いな」
お題・悪い魔界




