12話
こんなにレイス様と離れるのは久しぶりのことだ。
現在レイス様は仕事の為二週間ほど外へと出ている。
この森は魔法具で守られているので安全だ。ただ心配性のレイス様から、念のためにと護身用の腕輪型の魔法具も身に着けている。
キラリと光る腕輪の魔法具を見れば、レイス様のことを想いだし少し寂しさが和らぐ。
「こんなに寂しいだなんて、思わなかった」
気持ちを切り替えよう。
私は水道で顔を洗うと、久しぶりに顔が痛む。
「いたっ……」
「みぃ(なんだ?)
食事を食べ終えた黒猫が顔を上げてこちらを見る。
私は顔の半分を手で押さえながら、しばらく痛みを堪える。
普段は、ちょっと引き攣ったり、多少痛む程度なのに、たまにあの時の痛みを忘れるなとばかりに、激痛が走ることがあるのだ。
私はタオルを濡らすと、顔の傷に押し当てる。
「みゃ……(傷)」
こちらをじっと見つめる黒猫の視線すらも気にする余裕がなく、私はぐっと抑えただ痛みが去っていくのを待つ。
激痛が……あの時のことを思い出させる。
私は自分の体を抱きしめるようにうずくまる。
大丈夫だ。もう、ローゼウス殿下も、オリビアもいない。
「みゃー(怪我が痛むのか)」
少しずつ、少しずつ痛みが引いていく。
私は深呼吸をすると起き上がり、黒猫へと視線を向けた。
「突然ごめんなさいね。古傷が痛んで。でも、もう大丈夫よ」
じっと私の傷跡を見つめる黒猫。
一体何を考えているのかは分からないけれど、私はそう話しかけていた。
びちょびちょに濡れたタオルで顔を冷やしていたので、その水で服が濡れてしまった。
「はぁ、面倒ね」
仕方がないと私は自室へと向かって歩き始める。
すると黒猫もついてくる。
テトテトと歩く姿が可愛らしく、案外足は速い。
部屋へと入ると、猫もするりと扉から入って来た。
その姿に、私はどうした者かと思う。
着替える時に部屋の外に出てもらえばいいかと、私はクローゼットの中から着替えを取り出す。
引越しをして一週間ほどたった頃にこの服はお母様やお姉様方から届いたものだ。私が森に行くことを考えられた、可愛らしいけれど歩くのに不便のない服たち。
お父様やお兄様達からは宝石やアクセサリーが届いた。普段使いが出来る髪留めなども入っていてとてもありがたかった。
私はその一着に着替え、髪留めで髪をあげるかと考えていると、黒猫が私の布団の中へと潜り込んでいることに気が付いた。
「あら……もう寝るの?」
「みゃん……(寝る)」
「そう。おやすみ」
黒猫の姿は毛布の中へと消えた。
私は着替えを済ませると、黒猫へと視線を向ける。
毛布が上下しており、小さな寝息が聞こえてきた。
よほど疲れていたのだろうな。
何者かはわからないけれど、悪い子ではないような気がする。
レイス様が帰ってくる前までに、事情を聴けるといいのだけれど。
私はレイス様にはなんと相談しようかなとそう思い悩んだのであった。
明日からコラボカフェ開催です!
楽しみ楽しみ(●´ω`●)
※しばらくの間、仕事の関係で小説の連載が止まるかもしれません。
読んでくださる皆様、いずれ連載は再会いたしますので、しばらくの間お待ちいただけると幸いです。






