10話
朝目覚めた私は、瞬きを繰り返しながら今、自分がどこにいるのか考える。
しばらく考えた後に、意識が浮上し始め、新居に引っ越してきたことを思い出した。
「おは……よう」
うさぎ姿のレイス様が毛布の中からのそのそと出てくると、背伸びをぐぐーッとしてこちらをきゅるるんとした瞳で見上げた。
「か……」
「か?」
私はレイス様の可愛らしさを言葉に出来ず、ぐっと我慢するとその体を抱き上げてぎゅっと抱きしめた。
「ミラ嬢?」
「おはよう」
「あぁ、おはよう」
うさぎ姿のレイス様の可愛らしすぎると思う。ただ、あまり口にしてしまうと自分が気持ち悪く感じるので、我慢する。
レイス様を堪能した後にベッドに体を下ろすと言った。
「では、朝の着替えをしてくる。準備が出来たら食堂で会おう」
「えぇ。分かったわ」
私が扉を開けると、レイス様がぴょこぴょこと向かい側の部屋へと向かっていく。
事前に向かい側の部屋は少し開けておいたので、レイス様がこちらを一度振り返って手を振ると、中へと入っていった。
朝から幸せである。
「さぁ、準備しちゃいましょう」
私は幸せな気持ちのまま朝の支度を済ませると、今日からはしっかりと日常の開始だと気合を入れた。
ただ、あの森の小さな家とは違いこの屋敷には魔法具が溢れている。
昨日案愛してもらい見ただけでも、だいぶ生活は楽になりそうだとそう思った。
食堂へと向かうと、レイス様はまだ来ていないようだ。
私は先にエプロンを付けると、厨房へと入った。
鍋や包丁などもしっかりと揃っているし、何より魔法具の設備がすごい。
「水を井戸に汲みに行かなくていいなんて、すごい」
水を使う時には水が出てくる魔法具。炎を使いたいときには炎の魔法具が設置されているのだ。
しかも一番すごいのは保存庫である。
扉を開けると中はひんやりとしており、中には様々な食材が保存してある。この保存庫の魔法具の中に入れておけば半年ほどは腐らないらしい。
「……すごすぎるわ」
感心していると後ろから声をかけられる。
「ミラ。朝食の準備をしようか」
レイス様がシャツにズボンと軽装で現れると、キッチンに置いて置いたレイス様用のエプロンを付ける。
「えぇ。なんだか……すごく豪華なくらしね」
私がそう呟くと、レイス様が吹き出すように笑った。
「ミラが望むなら、侍女なども連れてこれるし、もっと優雅な暮らしが出来るが?」
「あら、素敵ね。でもいいの」
私はそう告げると、保存庫からいくつかの食材を取り出すとそれで朝食を作り始める。
レイス様が横に立ち、一緒に作ってくれる。
「豪華ねぇ」
「ふふ。そうだな」
昨日まで王城でこれよりも豪華な料理は出ていたけれど、それとこれはまた別物だ。
新鮮な卵を食べられるなんて、朝から贅沢だ。
それにサラダにパンに野菜を入れたスープ。
火を起こしたり水を汲みに行かなくて済むだけでこんなにもすぐに作れるのか……。
「……この暮らしは、堕落しそうね」
「ぷっ……すまない。ミラ嬢。ふふふ。そうだな」
机に料理を並べると、私達は向かい合って座った。
前の家よりも少し遠い……。私はそれに気づく。
「机、二人掛けの小さいやつを作ろうか」
「え?」
私の考えを読んだかのようにレイス様がそう呟く。
「この大きな机だとなんだか遠く感じる」
「ふふ。私もそう思うわ」
私達は笑い合い、食事を始める。
朝日が窓から差し込み、静かな二人の朝食。
場所は違うけれど、ここで新たに二人の生活が始まるのだと思うと、私は楽しみに思えた。
幸せだな。
そう心から思える時間がたびたび訪れる。
「レイス様、ありがとう」
「どうしたんだ?」
「……毎日幸せをくれてありがとう」
そう呟くと、レイス様が優しく微笑む。
「こちらこそ、ありがとう」
微笑み合う人がいることは、こんなにも幸せなのだな。
私はそう思ったのであった。
一人で暮らしていた頃は、毎日の仕事に追われて、一日一食ということもあったミラ。
そんなミラがレイスが共にいることで、ちゃんと生活をしていく。
そんな姿を書きたいなと思った回でした(´∀`*)ウフフ
私は、目玉焼きを自分で焼くことすら面倒くさいんですけどね。
ミラえらい。






