1話
アレクリード王国は、他国との国交も多く、物流が多い国だと聞いている。
どのような王国だろうかと、つくまでの間、私はそわそわとしていたのだが、実際に王都に入ると一気にその賑やかさは際立っていき、以前まで暮らしていたルーダ王国とは雰囲気も空気も全く違った。
馬車の中から見える露店は、落ち着いた色合いを基調とするルーダ王国とは違い、色とりどりであり、人々の通行も多い。
街に暮らす人々の衣装も、色合いが豊かであり華やかな印象があった。
国によってこんなにも雰囲気が違うのか。
そう思っていると、一緒に馬車に乗っている、アレクリード王国の第三王子であるレイス様が口を開いた。
「この国をもっとミラ嬢に紹介したいな」
ここにたどり着く前にも、いくつかの小さな町には寄らせてもらった。
その時にも色々と教えてもらったのだけれど、王都に入るとやはりその賑やかさはひと際際立っている。
「人ごみは苦手だけれど、でも知りたいわ。貴方の暮らしてきたこの国を、ちゃんと知り学んでいきたい」
真っすぐに王国を見つめながらそう告げると、レイス様が優しく微笑み、私の手を取る。
「ほどほどに。君は、集中するとなんでも勤勉にしてしまうから、あまり肩に力を入れないでほしい」
そう告げられた私は笑みを返してうなずく。
「えぇ。もちろん。私は森の中で幸せにのんびり暮らすのがあっているわ」
「君の暮らす場所も整えなければな」
レイス様は当たり前のようにそう言うけれど、私は実際どうなるのだろうかと多少不安があった。
このまま本当に、レイス様とうまくいき結婚することになるとして、私がのんびりと森の中で暮らすことなど難しいだろう。
王族に嫁ぐのだ。
社交もあるだろうし、何より務めと責任があるのではないだろうか。
アレクリード王国の情報が少ない故に、想像することしか出来ないけれど安易な考えは出来なかった。
ただ今は、レイス様の傍に居られれば幸せだった。
恥ずかしくて大っぴらに口には出せないけれど、私はレイス様の傍に居ることがすごく居心地がよくなってしまったのだ。
「だが、私の両親が、どうなることか」
「レイス様のご両親?」
「あぁ。それに兄達もだな。下手をすれば姉たちも出て来るぞ」
「ご兄弟が多いの?」
「あぁ。兄が二人、そして嫁いだ姉が二人いる」
レイス様の家族に、受け入れてもらえるだろうか。
私の不安を感じたのか、レイス様は私の頭を優しく撫でるといった。
「言っておくが、私の家族は、君を嫌がったりはしないぞ。問題は、可愛がりすぎるかもしれないということだ」
「え?」
「君は可愛らしい人だからな。きっと、すぐに奪い合いになる」
「ええ?」
言われている意味が分からずにいると、至極まじめな表情でレイス様は言葉を続ける。
「私が守り抜く。大丈夫だ」
まるで争奪戦でも始まりそうなその言葉に、私は我慢しきれなくなって笑い声を立てた。
「ふふ。ふふふ」
「冗談ではないのが悲しいところだな」
「ふふふ。でも、レイス様のご家族が楽しそうな方かもしれないっていうのは分かるわ」
「まぁーそうだな。ほら、王城が見えて来たぞ」
レイス様にそう言われ窓から見えた王城へと視線を向ける。
美しいその荘厳な雰囲気の城は、白を基調とした作りと装飾が見事な物であった。
街の色とりどりの雰囲気とはまた違う。
「綺麗なお城」
「あぁ。さぁ、気合を入れるかな」
一体これから運命はどう進んでいくのだろうか。
私は期待と不安を抱きながら、アレクリード王国の王城へといざなわれていったのであった。
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どうぞよろしくお願いします(●´ω`●)
そわそわそわそわ。
手に取っていただけるか、不安なのですが、少しでも楽しんでもらえたら幸いです。






