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突然ですが、娘ができました。2  作者: ほととぎす
第1章の7 中学3年生編 (終章)
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暖かな仲間

朝、思いもかけないことの連続が梨桜を待ち受け・・・。

  【暖かな仲間】


「 「 おはよー 」 」


 いつものように、一つとなりの駅で彼女たちが乗ってきた。


 うん、いつ見ても私の親友たちはとっても綺麗だ。

私にはもったいないとつくづく思う。


「おはよ~、紗奏に美沙~。

 紹介するね、彼氏の縁。」


「えっ? あっ・・・ おっ、おめでとう。」

「アハハッ、おめでとう梨桜、でも、どした?」


「ふふふっ、どうせ恥ずかしいなら、言ったもの勝ち、みたいな?」


「アハッ、なんか吹っ切れたねー。」


「昨日誰かさんに虐められまくったから、覚醒したのです!」


「それはそれは、弄った甲斐もあったと言うものですわね~」


  ◇ ◇ ◇ ◇


 校門をくぐると、なんだか後輩たちがサワサワと話をしている。

3学期の三日目、何かあったかしら?


「 「おはよ~~。」 」


私たち4人は彼ら彼女らに軽く挨拶しながら、学校へ入っていく。

玄関を上がると、そこには美鈴ちゃんが。


「おはようございますっ! 先輩!

 そして、おめでとうございますっ!」


「あ、ありがとう、美鈴ちゃん。でもなにが?」


「もうみーんな知ってます。先輩達がお付き合いを始めた事!」


「えっ? みんなって・・・

 えぇぇーーーーーー!」


  ◇ ◇ ◇ ◇


 美鈴ちゃんの話だと、昨日の放課後、『あれ』を見ていた生徒がいたらしく、それが瞬く間に広められてしまったんだとか。

まぁ・・・そうだよね、あんなど真ん中で、あんなこと言わせちゃったんだからね、それはしょうが無い・・・しょうがないにしても一夜にして学校中に・・・とは、思わなかったな。


 いや、むしろ好都合!

どうせ恥ずかしいなら一度に来て、サーッと通り過ぎてもらいましょう!


 うん、覚醒した私に死角なし、よね!


「 「おはよう~。」 」


 教室の扉を開け、私の目に飛び込んできたもの・・・それは。


『ご婚約おめでとうございます。

 ≪ 土井縁 様 & 本間梨桜 様 ≫ 』


そう黒板に大きく書かれ、その周りには紙で折った花がたくさん張り付けてあった。


 これは・・・さすがに・・・予想外だった~~


と思うや否や、教室中から拍手が!


もうこれは破れかぶれよね!

そう思い、横の縁を突っつく。


彼はすたすたと黒板に進み、その手に黒板消しを掴もうとするので、慌ててその手を『ペシッ』と叩く。


一瞬にしてクラスに巻き起こる、笑の渦。


そうじゃない、そうじゃないでしょ、この場合!


(はい、みんなにご挨拶、ほら。)

超小声で彼にそう言う。


その顔には『参ったな、マジかよ』という気持ちがありありと浮かんではいたものの・・・


「え、えー、ご紹介にあずかりました土井縁と申します。

 ・・・みんなありがとう。彼女と付き合うことになりました。」


 うんうん、よく言った、偉い偉い。


 私も何か・・・気の利いたことを・・・

でも・・・。

なんだか・・・涙が後から後からあふれて来て・・・。

いい友達に恵まれたなぁ。そう思いながらしゃがみこむ事しかできなかった。


  ◇ ◇ ◇ ◇


 その日はもう何というか、ここは披露宴か!

と突っ込みたくなるような雰囲気で。


先生がいなくなる給食の時間なんかは、

真ん中! 真ん中ですよ! 二人して。


そして、また大泣きしてしまう私。

こんなに涙もろかったかしら・・。


・・・


「じゃ、今日は皆で二人のお祝いかなー。」

「 「賛成―――!」 」


「梨桜んちの離れはこの人数は入れないから、

 やっぱりカラオケボックスかな?」


「 「 おーけー! 」 」


 なんだか異様に団結力のあるウチのクラス。

というか、嬉しすぎる。

でも大丈夫、そうそういつまでも泣いたりしない。


  ◇ ◇ ◇ ◇


 帰ってきたのは6時ころ。ちょっと遅めだけどお父さんの帰宅には十分間に合う時間だ。


 だけど今日は、家事はそっちのけで、新しくできた彼氏に一応聞いておきたいことがあった。

 ごめんね、お父さん。


「凄い一日だったねぇ。」

「いいクラスだな。ホントに。」


「で、お父さん帰って来るまでにちょっと聞かせて。

 あと。うーん、相談もあるし。」


「あぁ。」


「お正月で分かったと思うけど、私結構ウザ絡みするよ?」

「梨桜が絡んでくるのをウザいと思ったことなんて無い。

 むしろ、いつも僕がこんなだから、ツマラナイんじゃないかと心配だけど。」


「エヘヘ。私にしたら丁度いいかな。このすました感じが、弄るのに丁度良くて。」

「だったら、好きなだけ弄ってくれ。」


「あとね、将来はやっぱり警察官を目指すんだよね?」

「いや、公務員もいろいろだからね。警察官はやめた。」


「そうなんだ。お父さんを目指したいって言ってたから。」

「あの背中は目指したい。でも、別に警察官である必要はない。」


「そっか。ほっとした。

 私ほら、甘えん坊で依存癖があるから。

 ウチを空ける仕事だと、辛いかなって思ってた。」


「大丈夫、定時帰宅して、ずっと家に居られる仕事にする。」


「あとさ、これ、正直に言うんだけど、かなりひくかも。」

「君の事でひくなんて事は無いよ。

 今すぐ死んだっていい位なんだから。」


「死なれたら困る。(笑)

 あのね。紗奏の事。

 ・・・好きなんだ。たぶん、友達として以上に。」


「ぷっ、そんなの見てたらわかるよ。

 良いんじゃない?ジェンダーにとらわれる必要はない。」


「アハハ・・・。ほっとした。暴露した中で一番。」


「僕はさ、いつも言葉が少なくて、もっと伝えられたらなって思うんだけど、意識していてもこの間みたいになるんだよな。だから遠慮なく怒ってほしい。そうしないと分からないから。」


「うん。分かった。他には私にこうして、とかないの?」


「正直、結構嫉妬深いかも。男子との友達づきあいはほどほどにして欲しいかな。

 さっきはジェンダーにとらわれなくても、なんて言ったけど男子と二人で出かけられたらやっぱり正直言って嫌だ。」


「あ。それは大丈夫。半年見ていて、そう言うの無かったでしょう?これからもないと思う。縁が大事にしていてくれたら。(笑)」


「大事にする。」


「ぷっ、なんかさ、ホント新婚夫婦みたいな会話だよね。(笑)」


「高校か、大学か、教育課程を卒業したら、結婚してほしい。」


「うん。ふつつかものですが。」


 彼の顔が静かに近づいてきたので、そっと目をつぶった。


あぁ・・・これが彼の感触・・・かぁ。


  ◇ ◇ ◇ ◇


 今日も安藤君は美沙んちだから、彼もいっしょの晩御飯だ。

ちょっと照れるけど。


 それから、今年からお父さんと一緒に仕事を始めた彼女、私の中の予定より早いけど、私に彼氏も出来ちゃったし、ちゃんと話をしよう。


 7時半前、いつもより少しだけ遅くお父さんが帰ってきた。

まずはお風呂を使ってもらい、いろいろと準備をする。

 そう・・・いろいろと。


「 「 いただきまーす。 」 」


 まずは少しだけ箸が進むのを待って・・・


「お父さんちょっと話。いい?」


「うん。どうした?」


「縁君とお付き合いすることになりました。」


「そうか。おめでとう。学生の分の中でな。」


「もちろんです。大事にします。それと、何でも言ってください。」


「この子さえ大事にしてくれたら、俺が言う事は何もないよ。」


「それでね。お父さん。

 怒らないで聞いてね。奈菜さんの事。」


「うん。芹野がどうかしたかい?」


「ごめんね、イヤだったら怒ってね。

 奈菜さんの事嫌いじゃないよね?」


「もちろん嫌いじゃないよ。ただ、お前が希望するようなことは考えられないかな。」


「その理由、ちゃんと聞いていい?」


「うん。俺と彼女は14歳、一回り以上も違うだろう?

 これだけ離れていると、初めはともかく一緒にいる時間が長くなるに従ってすれ違いも多くなると思うからね。彼女には年相応の彼氏を見つけてもらいたいな、ってね。」


「そう言う事もあるかもしれないよね。でも、そうじゃないかもしれないよね?だから、ちゃんと聞きたいの、いろいろな付帯事項は置いておいて、奈菜さんを好きなのか嫌いなのかを。」


「彼女は、綺麗で、まっすぐで、素直で、あんな子を嫌いな男はいないだろうね。・・・あぁ、こんな言い方はお前にすべきじゃないな。

 うん。彼女はとても素敵だから、もちろん好きだよ。」


「でしょう?問題になっているのは、年の差って事ね。

 でもそれは、奈菜さんの意見も聞かないと、だよね?」


「それを今聞いても、彼女はうんとしか言わないだろうね。

 でも、付き合う、結婚するとなると、この先ずっと一緒にいることになる。自分を卑下するわけじゃないが、こんなおっさんをいつまで好きでいてくれるのか。」


『(グスッ、スッ・・・)一生好きでいるに決まっています。』


「なっ! お、おまえっ!」


「だ、そうですよ、お父さん。

 ・・・ハイ。」


「も、・・・もしもし?」


『ハイ。芹野です。ちゃんと聞かせて貰いました。

 私は一生、あなたを愛します。』


「あ、あぁ。・・・その、後で話してもいいかな?」


「お父さんっ!」


「そ、そうか、・・・悪い。


 芹野、今まですまなかった。

 俺が未熟なせいで、悲しい思いをさせてしまって。

 お前は・・・その、とても素敵な女性だと思う。

 俺にはもったいない、とも。


 年を理由にして逃げていたのは俺の方だった。すまん。

 これからは、その分も大事にすると誓う。

 だから、こんな俺で良ければ、付き合ってほしい。」


『はい。・・・はい。・・・よろこんで。』


  ◇ ◇ ◇ ◇


「縁君。」


「はい。」


「みたか?今のを。」


「素敵なアシストでした。」


「中学生にして、この策士だぞ。いいのか?」


「もちろんです。というかもう策にハマりましたから。」


「・・・。

 なぁ、梨桜。

 お前、俺が他の女性と仲良くしてても寂しくないのか?」


「寂しいよ、決まってるじゃない。

 だけど、私には彼氏ができたでしょう?

 だから、我慢する。

 お父さんも私とは違う幸せがあったほうが、私も嬉しいもん。」


「はぁ。本当に、よく出来過ぎた娘だよ。お前は。

 そうだ、お盆には実家に帰るぞ。お前と彼氏のお披露目だ。」


「あと、お父さんの新しい彼女のね。」


お越しくださりありがとうございました。


中学生編は、ここで閉幕といたします。


少し充電期間を頂きまして、続きの高校生編を書ければいいなと思っております。


重ね重ね山もなく谷もなく、つたない文章ではありましたが、ここまでお付き合いいただきまして本当にありがとうございました。

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