第六十七話 覚悟を決めろ
徐々にでも政虎、絶とのフラグを積み重ねられたらと思って書いてます。
綾さんの見舞いで坂戸城まで来ていた俺達だが、綾さんと政景さんが泊まっていけと言うのでそのお言葉に甘えることにした。
政虎と絶さんは長尾ー家の屋敷で、一方の俺は段蔵たちや政虎の与力の寝泊まりする場所での宿泊となった。
俺の泊まる場所に関して、政景さんや政虎と家臣の間で少々揉めたため、俺が長尾家の屋敷に泊まることを遠慮したのだ。
俺の立場は少々特殊であり、家無し位無しな上に小姓のように身の回りの世話をすることはないが、政虎に重宝され、軍義にも出、指揮も行う。色々常識はずれな俺に関しての扱いはそりゃ当然困るよな···。結果俺は家臣の人たちと一緒に二人を説得した。二人は渋々納得してくれたが、政虎はどう見ても納得していない顔だった。ちょっと嬉しい。
というわけで俺は政虎や絶さんと別れ、段蔵たちの元に向かった。
「おーっす!」
俺の姿を見ると全員が驚いている。なぜ?
「今日はここで一泊することは聞いておりましたが、まさかこちらに主が来るとは思いませんでしたぞ」
段蔵が近寄ってきてそう言った。
「いや、普通に考えたらこれがあたりまえだから···」
「ふむ···成る程。そういえばそうですな」
段蔵は合点がいったというように頷いた。
···一応一般の兵と変わらないのに上の人たちと仲良くなってる俺って回りからどう見えているんだろう? まぁ政景さんの家臣の様子を見る限りよく思ってない人もいるっちゃいるんだろうな···。
というわけで、飯はみんなと騒ぎながら食べ、やることもないのでいつもより早めに就寝した。
次の日の昼頃、政虎と絶さんが城から出てくるのを待っていた。
すると城の方から政景さんがやってきた。
「政景さん!」
「景亮、昨日はすまなかったな」
「いえ、本来これが普通ですから。···あれから政虎の様子はどうでしたか?」
「まだ納得いってないようではあったが、表に出すことはなかったぞ」
そっか···まぁ良かった。きっと絶さんや子供達がいたのが良かったんだろうな···。
「政虎と絶殿は今準備中だ。もう暫くかかるだろうな」
「そうですか」
「···そういえば景亮。お前、年はいくつだ?」
「え? えっと···十九、になります」
「そうか···そろそろ妻を娶ろうとは思わないのか?」
「は···はぁ。相手もいないですし。まだ大丈夫かな、と思ってるんですが」
「相手はいるだろう? それも二人。政略でなく少なからず思っておる者が」
「二人?」
「政虎と絶殿よ。お前と関わりがあるのはその二人くらいであろう?」
「······」
言葉がでなかった。政景さんは続ける。
「まだ考えられないか? それもいい。が、いつか必ず解決するべき問題だ。政虎はこのままでは結婚するなど夢のまた夢であろうし、絶殿の立場を考えればいつまでもこのままとはいくまい?」
「···それはそう、ですね」
政虎はこのままだと史実通り一生伴侶を持たないだろう。絶さんは立場的に結婚しないわけにはいかないからそのうち政略結婚することになるだろう。
「景亮。お前の覚悟が決まればすべて解決するのだ。家臣の一部は反対するだろうが、私達と憲政殿が何とかしよう」
城の出口の方から声が聞こえた。政虎と絶さんが三兄弟を連れてこっちに来るのが見える。政景は卯松くんを抱き抱え、絶さんは華ちゃんと手を繋いでいる。
「まあ、悩め」
政景さんはそう言って笑い俺の肩を叩く。
「景亮、義兄上! お待たせした! ···義兄上、景亮と何を話しておられたのです?」
「なぁに、男の話よ。では景亮、政虎のことよろしく頼む」
「···はい」
政景さんと三兄弟に見送られ、俺達は春日山に帰還した。
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