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第十話 初の乗馬訓練と景虎のお願い事

 

 さて、景虎の弄りも終わり、暇になった俺。


 すべきことは色々あるんだけど、側付きって言ってたから最悪でも馬に乗れるようにはなろうと言うことで、景虎にお願いしたところ


「いいだろう。では頼久と清胤に馬と剣を習うがいい」


 と言われ、頼久と清胤の指導のもと、取り敢えず乗馬の訓練をすることにした。


「まさか刀どころか馬も出来ないとは···」


「とりあえずは一人で馬に乗れるようにしよう」


 というわけで二人によって俺の馬に乗ろう大作戦が開始されたわけだが···


 これが物凄いスパルタ式で、付いていくのもやっとくらいである。


 特に頼久がすごい。丁寧な口調で、かなりの脳筋野郎だった。


 とりあえず乗れ、とりあえず歩かせろ、とりあえず走らせろ、あとは気合いでなんとかしろ···目の奥でメラメラと炎が燃えていた。


 文句も疲れたも言うこともできないほど、厳しい乗馬訓練は続いた。


 ------------------------------------------


 夕方、俺がバテる頃には何とか乗れるようにはなっていた。

 まだ自由に馬を動かすには時間がかかりそうだ。


「今日はここまでにしようか」


「そうですね。では明日は走りながら自由に動かせるようになるまで頑張りましょう」


「うぇーっす」


 あー、疲れた! 体育の比じゃないくらい疲れた。もう無理。


「一時、景虎様がお前の様子を伺いにこちらにいらしていたよ」


「え? 殿様が?」


「心配そうな様子でしたよ。よほど気に入られているのですね、景亮は」


 まぁ、景虎からすりゃ手放したくはないだろうな···


 地面に倒れこんでいる俺を横目に頼久と清胤は馬の片付けをする。


 全ての片付けが終わったところで、俺の部下になったという(実感はない)義守さんが目の前に現れた。


「貞興様、清胤様 至急評定の間へとお向かい下され。皆様お待ちでございます」


「義守か。何かあったのか?」


「はっ。善光寺に忍ばせていた猿より火急の知らせが届いたとのこと。既に皆様集まっております」


「分かりました。すぐ向かいます···景亮についてはどうしますか」


「殿より言伝てを預かっております。殿の自室で待たせよとのこと···景亮様は某が案内するゆえ、2方はお急ぎ下され」


「あぁ。では景亮。また」


「お、おう!」


「では景亮様。こちらも向かいましょう」


「あ、はい」


 何があったのかな? とりあえず俺は義守さんに付いて行く。


 部屋に着くとすぐ、女中さんが夕食を用意してくれた。

 聞くと、今は評定の真っ最中のため、先に食べさせよと言われたらしい。


 俺はさっきまでに消費したエネルギーを取り戻すように飯をきれいに平らげた。


 それから汗を流すため、お湯を沸かしてもらい、外で汗を洗い流し、布で拭く。そして女中さんにお願いして服を着させてもらう。風呂がないためこれしか方法がない。


 あー、風呂がないのは辛いなー。その内景虎に造ってもらおうかな?

 ってかこの時代やっぱ不便だよ。トイレも服も風呂も移動手段も···ま、移動手段はこの時代どうしようもないんだけどさ。俺には作る技能も知識もないし。



 俺が女中さんに案内されて部屋に戻ってくると、景虎が戻ってきていた。


「外に出ていたのか?」


「あぁ···ごめん。体が汚かったから」


「いや、構わん。私もつい先程戻ってきたばかりだからな」


 景虎はそう言うと一拍置いて、


「···景亮···そなたに頼みがある···聞いてくれないだろうか?」


「いいよ。助けて貰った恩もあるし、そんで何?」


「私に···私に力を、知恵を貸してほしい」



 それは俺にとって、本当の乱世の始まりの合図となった。



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