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ブサメンガチファイター  作者: 弘松 涼
第一章 新たなる人生の幕開け
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8 海賊風オヤジ

 誠司さんの熱いトークが終わるころ、海賊風オヤジこと恭志郎氏がやってきた。



「待たせたなぁ」


 お嬢様は、

「いえ、その間ステキなお話が聞けたのでよかったです」

 と目を潤ませている。


 『僕は絶対に誰も裏切らない』とかいう、俺から見れば隙だらけの台詞に感動したのだろう。

 まぁそんな厨二漫画の主人公が言いそうなこっぱずかしい台詞をガチで言えるなんて、素直にカッコイイけど。





 そして恭志郎氏のエスコートが始まった。

 最初は彼を疑っていたのだが、意外に便利だと思った。


 俺たちはまず道具屋へ向かった。

 洞窟探検のためのアイテム確保だ。


 洞窟と言ったら、やっぱ、たいまつだろう。

 誠司さんがそれを買おうとしたら、恭志郎氏は止める。


「たいまつなんて買っちゃダメだ。

 洞窟にはモンスターがいるんだぞ。

 そんなのを持って戦えないだろ?

 激しく動いたらたいまつなんてすぐ消えちまうんだぞ。

 そもそも火を起こすのも一苦労だ。

 石や木で摩擦を起こすのは、考えている以上に難しいぞ。初心者だろうから、炎系の魔法も使えないんだろ?」


 いえ、使えます。

 炎スキルに『デッドエンド・メガエクスプロージョン』とか言う、最終兵器チックなのがありました。


 恭志郎氏は、

「たいまつより、こっちの方が便利だ」

 と隣の防具屋に案内して、陳列された兜を指さす。


 こんなのがあるのか?


 それはまるで、トンネル工事のオッサンなんかがかぶっている安全用ヘルメットに懐中電灯がくくりつけたような物だ。


 確かにこっちの方が便利そうだ。頭も守れるし。


 恭志郎氏は、

「俺はあのたいまつをトラップ商品と呼んでいる。初心者がよく間違って購入するから、道具屋のオヤジにそんな物売るなと指摘したのだが、バカが買うからやめられんとほざいていた」


 あ、お嬢様の手にはたいまつが3本もある。

 この人、恭志郎氏の話も聞かずに買っちまったのか?

 ヘルメットを見て泣きそうだ。


 懐中電灯付きヘルメット 20riraだ。

 確かたいまつも20rira。


 って、たいまつってただの木じゃん。


 お嬢様。あんた、ただの木の棒に2000円も払ったんだぜ?

 三本もあるから、計6000円だ。

 

 お嬢様の残金178 riraから、118riraに減った。

「私はお金持ちですから」

 とか言ってヘルメットも買おうとしている。


「なんだよ。トラップ商品、買っちまったのか。しょうがねぇな」

 と頭をかいている恭志郎氏。


 だけど恭志郎氏は、背負っているカバンからヘルメットを取り出し、

「可哀そうだから俺のを貸してやる」


 そう言ってヘルメットを手渡す。

 受け取ると、お嬢様がうれしそうに笑った。




 誠司さんが俺たちに向かって、ちょっと厳しめに忠告した。

「折角チャンスをお金で買ったんだ。行動する前に、必ず恭志郎さんに聞くんだぞ」

 

 お嬢様はしゅんとする。

 

 俺もこのお嬢様にそれが言いたかった。

 こういう嫌われ役とかできないから、マジで助かる。

 さすが元社長。

 

 

 城門から出ると、すぐにゴブリンの群れが襲ってくる。

 お嬢様はリュックから大量の矢を取り出すと、ぴゅんぴゅん射る。

 命中率は極めて低いが、何とも楽しそうだ。



 恭志郎氏はそれを見ると、お嬢様に走って駆け寄り、

「え~と、確か聖華さんだったよな。矢はもっと大切に使った方がいい」

「大丈夫です。たくさん買ってありますから」


「そうじゃない。大切に使うように心がければ、もっと命中率が上がるはずだ。その一本を1億円と思ってうってみろ。庶民なら大金だ。あんたがいくら金持ちでも少しは考えちまうだろ?」

「1億円ですか? まぁ、お金持ちの私でもさすがに慎重になりますね」


 なるほど。

 プライドを傷つけず、アホな子でもよく分かる的確なアドバイスだ。


 お嬢様が片目を閉じて、本気でゴブリンを狙う。

 そして射る。


 見事、ゴブリンの額に命中。


「そうだ。その調子だ」と恭志郎氏。


 お嬢様は、

「ふん、私が本気を出したら弓なんて簡単ですわ。学生時代、そうとう頑張ったでしょう弓道部のしげるさんを、たった二日で超えましたわ」

 なんて言って、可憐に髪をかきあげてほざいている。


 あんた、見ていただろう?

 俺が放ったのは、『アルティメイト・ストライク』だぜ?

 青い龍とか出てきたんだぞ?

 あんたのは……。

 まぁいい。そこを言及する気にもならん。


 とにかくそんな具合で、ロリッ子や誠司さんにも戦い方の手ほどきをしていく。

 次第にみんなは恭志郎氏に心を開いていった。

 


 俺はというと、戦いに参加せず、とにかく彼に聞きまくった。

 特に設定とか世界観、その辺を探るつもりだ。


「この世界では、強くなると国とか持てるんですか?」

「あぁ、俺の同期は国王をやっている。レベル30の時、傭兵団を作り、最北にあるフェレナスト国の前任国王を倒した。前の国王は酷い奴でさ。今ではいい国になっている。機会があったら連れて行ってやるよ。

 実は俺も奴に途中まではついて行ったんだが、奴との力量差を感じてリタイヤさ。それで今ではこの有様。この職で食っているという訳」


「では、その人は強いのですか?」

「つえぇってもんじゃねぇ。今じゃぁレベル80はあるだろう。どう振り分けているかは知らんが、おそらく平均パラメーターは160前後だと思う」


 よわ。

 俺、平均一兆。


「でも恭志郎氏。その人よりあなたの方が強そうですね」

「バカも休み休み言え。もしそうなら、こんなケチな仕事してねぇぜ」


 

 俺は九割九分の確率で恭志郎氏を悪党だと断定しているのだが(もちろんちゃんと理由付き、これからジャブ入れていくけど気づいても内緒ね)、とりあえずこれでこの世界の相場観が分かった。

 どうやら俺はマジで神のようだ。


 確かに通常のプレーヤーの場合、

 レベル80 × レベルアップのボーナス20 = ボーナスポイント 1600

 それを均等に振り分けると、それくらいになっちまうわな。


 なるほど。

 その程度の実力で国取りができるのか。

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