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婚約破棄される予定でしたが、王太子殿下が乙女ゲームをプレイした結果、なぜか溺愛されています  作者: S@Y@


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最終話 おかえり、セシリア


 柔らかな朝日が、部屋へ差し込む。


「……ん。」


 少女のまつ毛が、ゆっくりと震えた。


 閉じていた瞳が、静かに開く。


「ここは……。」


 見慣れない天井。


 そして。


 すぐそばで、誰かが安堵したように息を吐いた。


「セシリア!」


 リリアーナだった。


 その声に、セシリアはゆっくりと顔を向ける。


「リリアーナ……様?」


 その呼び方。


 その戸惑った表情。


 リリアーナの目には、思わず涙が浮かんだ。


「……おかえり。」


 セシリアは状況が分からず、きょとんとしている。


「私……どうして王宮に?」


 その時。


 レオンハルトも部屋へ入ってきた。


「目を覚ましたか。」


「レオンハルト殿下。」


 セシリアは急いで起き上がろうとした。


「無理をするな。」


 優しく制され、再びベッドへ横になる。


「ご、ご迷惑をお掛けしてしまったのでしょうか……?」


 心配そうに尋ねるセシリア。


 その姿は、リリアーナたちが幼い頃から知っている、本当のセシリアだった。


 レオンハルトは小さく微笑む。


「迷惑などではない。」


「少し長い夢を見ていただけだ。」


「夢……。」


 セシリアは胸へ手を当てた。


 すると。


 断片的な記憶が浮かぶ。


 知らない教室。


 知らない街。


 笑い合う少女。


 そして。


 自分と同じ姿をした誰か。


「……あ。」


 涙が一粒、頬を伝う。


「どうしました?」


 リリアーナが尋ねる。


「分からないんです。」


 セシリアは涙を拭いながら微笑んだ。


「でも。」


「とても大切な人と、お別れをした気がして……。」


 リリアーナとレオンハルトは顔を見合わせた。


 きっと。


 魂は別れても、想いだけは残ったのだろう。


「きっと、その人も。」


 リリアーナは優しく笑う。


「セシリアが幸せになることを願ってるよ。」


「……はい。」


 セシリアも笑顔で頷いた。


 ◇ ◇ ◇


 それから数か月後。


 王立学園。


「リリアーナ様、お待ちください!」


 セシリアが楽しそうに駆け寄ってくる。


「一緒にお昼を食べませんか?」


「もちろん。」


 リリアーナは笑顔で頷いた。


 その後ろから、レオンハルトも歩いてくる。


「また二人とも先に行く気か。」


「レオンも早く!」


 三人は笑いながら並んで歩き始める。


 もう。


 そこに決められたシナリオはない。


 悪役令嬢も。


 攻略対象も。


 主人公も。


 誰一人、役割に縛られてはいなかった。


 それぞれが、自分自身の人生を歩いている。


 ――未来は、変えられる。


 それを証明した三人は。


 これからも、それぞれの幸せを見つけていくのだろう。


 その青空は、どこまでも澄み渡っていた。


                  【完】


『婚約破棄される予定でしたが、王太子殿下が乙女ゲームをプレイした結果、なぜか溺愛されています』を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!


この作品は、「もし攻略対象本人が乙女ゲームをプレイしたら?」という思いつきから生まれた物語です。


ゲームでは悪役令嬢として婚約破棄されるはずだったリリアーナ。


けれど、その未来を知った王太子レオンハルトは、ゲームを何度もプレイし、「絶対に婚約者を幸せにする」と決意します。


攻略対象なのに、一番必死に攻略ルートを潰していく王子。


そんな少し変わった物語を楽しんでいただけていたら嬉しいです。


終盤では、日本から来たもう一人のセシリアが登場しました。


彼女は悪役ではなく、「ゲーム通りにしなければ皆が不幸になる」と信じて行動していただけの、ごく普通の女の子です。


だからこそ最後は誰も憎み合うことなく、それぞれが前を向いて歩き出せる結末にしました。


私自身、一番好きなシーンは、レオンハルトが何度もゲームのイベントを潰しながらも、最後までセシリアを敵ではなく「救うべき人」と考え続けたところです。


未来は決められたものではない。


どんな運命でも、大切な人のためなら変えられる。


そんな想いが少しでも伝わっていたら幸いです。


もし面白かったと思っていただけましたら、ブックマークや評価、ご感想をいただけると、とても励みになります。


最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!


また次の作品でお会いできることを楽しみにしています。

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― 新着の感想 ―
1つだけ。頑張って読みましたが1行1行空けられて読みにくいことこの上ないです……。
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