第23話 あいつらも少しは成長したか?
「それじゃ、皆には南東の森の調査を依頼するよ」
翌朝のギルドハウスで、集まったメンバーに向かってにこやかにゼルレオスさんは言うが、俺はとてつもなく気まずい。
ギルドからはハーフフットの女性職員の先輩、メディギスさん、そして俺の3名。
そして冒険者は俺の脱退したパーティ〈竜の翼〉だ。
「はい。挨拶」
「よろしくお願いします」「お願いしまーす」
「……お願いします」「……致します」
口々に言うが、ほとんどの声が重い。
あっちも気まずくて目を逸らしてる!! 俺もそう!
サブマスターのゼルレオスさんなら、事情知ってるだろ!?
なんで、この組み合わせにした!?
「サブマスター。どうしてこのメンバーなのでしょうか?」
カイン達に加えてメディギスさんもいるのが気になったので、訊いた。
星2であっても、南東の森なら護衛可能だろう。でも、冒険者ギルドが関わるなら優秀なパーティ選ぶはずでは……?
「チャチャさんは、君を先輩として指導を行うから。メディギスさんは、森を歩くのに慣れている人だから。前衛を任せられる人が少ないから、来てもらったんだよ」
あっちの後方支援は治癒魔術師と斥候。俺とチャチャさんを加えると合計で4人。
討伐と違って長時間の調査だから、剣士と戦士の2人だけでは確かに心許無いかもな。
「彼らにとって今回のクエストは、星2昇格の試験でもあるんだ」
えっ? カイン達は星1に降格していたのか。
クエストの達成条件無視してたのか? 何か反則行為でもしたか?
どちらでも良いけど、落ちても昇格まで行けたのなら努力をした証拠だ。パーティへ戻りたいとは一切思わないが、挽回した点については評価するべきだよな。
「不正は出来ないよ。クシュル君に頼りきりも駄目。自分達の力だけで、彼らを護衛し、無事に帰還するんだ」
昨日から一緒にいる蝙蝠が、右肩の上で〈キキッ〉と小さく鳴いた。
この子は調査の状況を確認するだけでなく、カイン達の審査員として同行する様だ。
「ちゃんと俺の部下を守ってね?」
「……はい」
念を押すその言葉に対してカインは俺をちらりと見た後、小さく返事をした。
「準備が済んだら早速向ってね。善は急げだ。馬車を使うなら、ちゃんと領収書を貰ってくるんだよ」
俺はリュックと杖を背負い、チャチャさんとメディギスさん、カイン達は各々の装備を確認した後、ギルドハウスから出た。
「はい。それじゃ、ここからは調査経験者である私がリーダーだから、指示を聞いてね」
編み込みのある茶髪のポニーテールを揺らしながら、チャチャさんは言った。
俺によく話しかけてくれる先輩で、頼りになる人だ。
聴覚に優れているハーフフットは成人しても、足長の半分くらいの身長までしか伸びない。子供扱いをされ、筋力も低いので甘く見られやすい。
俺にとっては頼りになる人でも、あいつらにしてみれば……と心配になったが、リーダー発言を聞いても文句を言う様子はない。
俺がちょっとでも指示する様な発言すると不機嫌になっていたが、成長したのかな?
「サブリーダーが馬車の話しをしてくれたから、使っちゃおう。隣町行きに乗って、南東の森付近で途中下車。目的地に到着したら、改めて作戦会議ね」
「はい!」「わかりました」「了解しました」
俺とメディギスさんとほぼ同時にカインが返事をした。
前途多難化と思ったけど、上手く行くか?




