第65話 それでも歩いてゆく
ーーアイツが危なかった時、何かできんかと思った
気がつけば、妙に近くにおった気がする
もう、大会の疲れも抜け日常業務に忙殺される毎日が戻ってきた。
いや、完歩の噂が広がってより“鉄人”キャラが定着し
『お前ならやれる』
と、以前より無茶ぶりが増えたほどだ。
ーー頼まれたら、嫌と言えんのは血筋やな
いつものようにアパートを出ようとすると、方子と出くわす。
『今からですか?そんなに稼いでどうするんですか?』
「お前と違って、オッサンには老後の備えが必要なんだよ」
どうも、大会以来前にも増して方子はちょっかいをかけてくる。
珍しく、俺も軽口で返すようになった。
……妹みたいで調子狂うな
ーーなにゆうとる。娘ほど歳が離れとるくせに
『そういえば、最近バイクに乗ってる姿見ないですね。錆びちゃいますよ』
「忙しくてそれどころじゃないんだよ」
『なら、完歩のご褒美に私がツーリングデートしてあげてもよかですよ』
「単にお前が乗りたいだけだろ!気が向いたらな」
『私と用事とどっちが大事なんです?すか〜ん』
笑いながら方子は小走りで出かけて行った。
ーー全く⋯女心がわかっとらんの。結婚もまだまだ先じゃの
駅までの道を歩いていると、ふとマラソンのポスターが目に入る。
応募締め切りは来週末、現場のみんなの目に止まらない事を祈る。
まあ、10kmくらいなら出てみてもいいか。
そんな事を考えながら空を見上げる。
ふと、あのイヌと出くわした。
「お前、久しぶりだな。元気だったか?」
鼻を鳴らして去ってそのままいった。
ーーもう、ワシが出しゃばる必要もなさそうじゃな
これで完結です。
2ヶ月お付き合いありがとうございました。
初作品なので書くのに精一杯で、辻褄合わないところ多々あると思いますが、大目に見ていただけたら⋯
改めて、お付き合いありがとうございました。




