第21話 別世界
“トンネルを抜けると”
『眩し!』出迎えたのは強い日差し。
雪国ではなく、海・山・青い空。
潮の香りがヘルメット越しでも分かる。
俺の田舎は名ばかりの西の京、自然のほうが多い場所だ。
しかも、ばあちゃん家は鄙びたローカル線経由でさらに車で迎えに来て貰わないいけない“別世界”。
ココに来るたび、時間の流れがゆっくりになる感覚に襲われる。
バイクで辿り着いた俺を、ばあちゃん家は静かに出迎えてくれた。
『久しぶりだね。変わらずかい?』
ばあちゃんは、時代を刻んだシワ越しにニッコリ笑った。
もうすぐ桁が変わる歳なのに、相変わらず元気だ。
「なかなか顔出さなくてゴメン。」
『“便りがないのが良い便り”って言うじゃないか、気にしなさんな。
それに、あんたはちゃんと季節の挨拶はくれるじゃないか』
ばあちゃん家には電話はあるが、どちらかというと日常連絡用というより生存確認用。
介護サービスは受けているが、この辺鄙な地だと毎日の訪問は無理。
「なあ、都会とはいわないが街の施設とかに入らないかい?」
『この歳で別の場所は面倒だし怖いよ。それに最近は便利になって何でも配達してくれるしね。』
確かにそうなのだが⋯
『それに、ココは“みんな”を感じるからね。寂しくない。いずれはあたしも“みんな”の仲間入りして土に還るだけだよ』
「相変わらず、頑固で元気やな!」
ばあちゃんは俺の顔をじっとみた。
それから、ずっと笑って。
『あんたはーーほんと“昔から”心配性なんだから。』
その言い方は、俺に向けられているはずなのに、
なぜか懐かしかった。
「ちょっと、近所を一回りしてくるよ」
『晩ごはんは、あんたの好きな“けんちょう”にするからね。早く帰っといでよ』
「分かった〜!(“けんちょう”ってなんだっけ?)」
そんな事思いながら、辺りをまわってみる。
周りに家は少ないけど、バイクではなく歩いて。
せっかく田舎に来たんだ、味合わないと勿体ない。
数える程しか来たことないのに、妙に懐かしい。
確かこの道をまっすぐ行けば神社が!
鳥居の近くに来て、ふと足が止まる。
見えづらい所に溝があって危うく落ちないで済んだ。
何故か“そんな”気がした。
まあ、こんな自然の中なら“野生の勘”も鋭くなるか。
石段を登る。
境内で御参りする。
いつもの動作なのに、妙に空気が張り詰めてる気がする。
御神籤引こうとしたが見当たらない。
田舎の神社にはよくある話だが、その時俺は迷いなく賽銭箱の奥を覗き込むとそこに横倒しになった御神籤箱が。
“今日は神様に助けられてばかりだな”
と思いながら、家路へと急いだ。




