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「……そっか……。言われたんだね。そんなこと。でも大丈夫。敦也くんは強いよ。リハビリ頑張ってるし。素直だし。カッコイイと思うよ! 頑張ってる人にはご褒美が待ってるから……ね? それを信じて、明日も頑張ろ!」
看護師が両の拳を握り締めて、敦也を元気づけた。敦也は肯って、最後の一歩を踏み出した。
「きっと叶えます。きっと」
敦也の瞳には、燃え盛る闘志が宿っていた。
滝のような大量の汗をかいてリハビリを終了させ、病室に戻ると陽太が丸椅子に座って待っていた。戸を開けると、陽太が気づいて立ち上がる。にっこりと笑いかけ、ぺこりと頭を下げてくる陽太。
「敦也。久しぶり」
「ああ……。来てくれてありがとな、陽太」
松葉杖をついて歩いて来た敦也も、ぺこりと頭を下げた。陽太は心配そうに敦也を支えて、ベッドに座らせた。甲斐甲斐しく世話をする陽太をじっと見て、敦也はぼやいた。
「……あーあー。お前が女の人だったら、良かったのになあー」
「……なんだよ、急に。気持ち悪いって。しかもムカつく。やめろよ、そういうの」
陽太は苦笑いして、心底気味悪がった。ここのところの、敦也の急変ぶりを気持ち悪く感じているのだろう。やさぐれていた頃の敦也を知る人間ならば、当然の反応だ。気持ち悪いぐらいに、敦也は変わった。本調子でなくとも冗談を言える。心の闇を取っ払って明るくなった。いい方向に、いい性格になってきた。以前よりもよく笑うようになって、よく喋るようになった。考えるよりも行動に移すようになった。次第に、人生は好転する。
「思えば、お前って、いっつも俺のことを真っ先に考えてくれてたなって思ってさ。お前がもし女だったら、俺お前と付き合いたかったな。香名もいいけど、近しいお前の方がいい。なんで男? なんで男に生まれてきたんだ?」
「もういいよ、その話は。僕はお前の様子を見に来ただけだから。僕が男なのは、僕がそうあるべきだと思われてそうなったんだよ。お前のために性別を呪うなんて、あり得ない話だよ。ばかばかしい。僕が女性だったら、敦也のことなんかほっぽってたけどね。この根性なしの捻くれ野郎って」
「そか……。ごめんな、今まで……」
敦也が暗い声で、今までのことを反省すると、陽太は激しく首を振った。
「だから、そういう話はいいって。病院だからって、辛気臭い話しなくていいんだよ。そういう場所だから、楽しい話をしようと思ってるんだからさ。もっと明るい話しようよ。敦也のしたいこと、僕のしたいこと、香名さんのしたいこと。面白おかしく話をしよう」




