12話 「元魔王」
12話 「元魔王」
「本当に街には危害を加えに来たわけじゃないんだろうな?」
「だからちがうっていってる」
ベルをギルドに案内をする。敵である魔王軍幹部を冒険者ギルドに案内をする勇者がかつてていただろうか。
「アラム、本当に案内していいんですかね?敵ですよ?」
「仕方がないだろ勝てる相手でもないし。それに危害は加えないって言ってしギルドには腕利きの冒険者達がいるから大丈夫だろ?」
「他人任せなんですね」
「当たり前だ」
そしてあーだこーだ言っているうちにギルドに到着した。すぐに今の状況を受付のお姉さんに説明できるよう頭で考えながら扉を開けたが、考えていたが吹っ飛んで行く程の光景を目にした。
酒場のテーブルはひっくり返っており、椅子も何個が壊れている。なにか喧嘩があったというレベルではない。壁にも剣や矢が刺さっていたり、何人かの人は倒れている。そして腕利きの冒険者達が二人の少女の周りを囲っていた。
一人は嫌なほど見たことある。銀髪の少女エルナだ。こいつなにかやらかしたのか?っと少し怒りにつつもう片方の子をみた。身長は子供サイズ、黒ろ髪で毛先に向かって赤くなっており、サイドテールの子だ。そして何故か足枷を付けている。どちらも睨み合っている。
「あっ!アラムさん!」
声をかけてきたのは受付のお姉さんだった。
「何があったんですか?うちのエルナが何かやらかしましたか?」
「そうなんです、やらかしたんです!」
やらかしたのかよ。あいつはバイトの一つも出来ないのか。
「あの小さい子が冒険者になりたいって言ったので、私が受付をしていたんですが色々聞いていったら、なんか元魔王って言い出したんですよ」
「あれが元魔王!?」
元魔王だからもっとごつい奴を想像していたのだか。
「そういった途端エルナさんが魔法をあの子に向けて撃ってきたんです、それを軽々弾き壁や机に。それからは戦闘になりけが人が数人。」
「それってエルナが原因で?」
「・・・はい。エルナさんは攻撃してるんですけど、あの子は1回も反撃しないんですよ。あそこに倒れている人達は流れ弾に当たった人達ですね。」
うちの聖剣は等々人にまで手を出し始めたのか。この場を早くさりたい気持ちが心から溢れてくる。俺が冷たい目でエルナを見つめていると。
「元魔王が、ギルドに何?冒険者になりたいって笑わせるわ。」
「なんじゃ?急に攻撃をして、当たらないとふんだら次は口で攻めようって算段か?それに貴様人間ではなかろう。いったい何者じゃ?」
「私は美しく聖剣に宿りし神様!エルナよ!さあ元魔王さっさと私の目の前から消えるか消えなさい!今なら楽に滅させてあげるわ。」
「・・・口調が物騒な神じゃな。痛い子は友達をなくすぞ?元魔王だからって攻撃されたら強靭な鋼の精神をもつ妾でも傷つくぞ。」
「元魔王だからいるだけで災害なのよ!」
「それはお前じゃろ。」
頬を膨らませエルナに対し、至って冷静な元魔王。
「・・・おい、エルナ。」
「あっ!アラム!丁度いい所に来たわね!さあ、あなたも加勢してこいつをおいだすわよ゛ってグーで!今グーで!」
俺はエルナの頭に拳骨を食らわした。エルナは殴られた頭を抱えながら座り込み少し涙を浮かばせて喚いた。
「うるせぇ!お前はバイトのひとつもできないのか!人様に迷惑かけて!見てみろ、お前の放った魔法でけが人がでてるんだぞ!」
「こいつを倒すためなら少しの犠牲を出しても仕方がないじゃない!元魔王よ!」
「じゃからわしはもう悪さしとらんし、冒険者になって幻魔王を倒したいだけじゃ。これ以上攻撃するなら正当防衛として手を出すぞ?」
元魔王がかまえると、ベルが元魔王の前に立った。
「しゃらみな。まだみせるべきではない。おちついて。」
「ベル!?お主こそなんで入ってきておる!騒がれるから隠れておれといったじゃろ!!」
「魔王幹部だ!!全員武器をとれ!!」
「いや、みんな落ち着いて武器を下ろしてって危ぶねっ!おい!今わざと俺に向かって撃っただろ!」
アラムの足元に矢が飛んできた。ギルド内で冒険者たちは戦闘態勢。だれも止められるはずがなかった。1人の冒険者がベルの顔に剣を突き刺した。
ガキィン!
ベルの顔面に向かった剣先はベルが の獰猛な歯でへし折られれ食われていた。
「やすいてつつかってますね。あまりおいしくない。」
「ほれ、みたことか。お主はもう城に帰って夕飯の支度でもしておれ」
「きょう、わたしのとうばんじゃない」
元魔王と喋りながら攻撃を華麗にかわすベル。
「ごうげきうっとうしい。めんどくさいからぜんぶくらう」
そう言った次の瞬間、ベルが消えたと思ったら、鉄の折れる鈍い音が次々に巻き起こった。頬袋をパンパンに張っているベルが現れた時には、構えてた冒険者たちの武器はすべて鉄の部分が無くなっていた。ベルは口に含んだものを飲み込み、
「ごちそうさま」
エルナを含める全員が彼女の姿を見て、目を点にして、唾を飲み込んだ。
「これでしずかにはなしができる。わたしはなにもしなければきがいをくわえるつもりはない。もくてきがすんだらかえるから」
「おい、目的ってなんだよ」
恐る恐る聞いてみると、
「だからさっきから言っておるじゃろ。妾は冒険者になりたいんじゃよ。その為の登録をしたいんじゃが問題か?」
「いやいやいや。お前元魔王だろ?敵がどうして冒険者になろうとする?」
「それは秘密じゃ。安心せい。悪い事は企んでおらぬ。疑うのであれば今ここで腕を切り落としてでも証明するぞ?」
「分かった、信じるからそのナイフをおけ!痛々しいもの見せようとするな!トラウマになる!」
元魔王はナイフをしまい、ギルド全体に向けて叫んだ。
「妾の名は、元魔王シャラミナ!今はただのシャラミナじゃ!!さあ、妾と伝説を作ろうではないか」
元魔王は痛々しい発言を堂々と構え、ドヤ顔で放ったのであった。
あけましておめでとうございます。




