11話 「魔王幹部はどこですか!」
11話 「魔王幹部はどこですか!」
「今日もご飯美味しかったわねー。私、明日はエビフライにしようかなー」
「お前、何呑気なこと言ってるんだよ。死刑宣告されてるんだよ?!お前の持ち主!」
死刑宣告された日の夜、手に入れたお金で敷布を買い充実したテント生活を手にした。いや街なのにテントで寝てる時点でおかしいが。まあ、安眠できることはいいことた。
それより深刻なのは街に侵入した魔王軍の幹部を倒さなければなぜか死刑になるというこの状況を何とかしなければいけない。
「よし、明日は魔王軍幹部の捜索と金稼ぎだ」
「別にいいけど、またクエスト受けるの?1週間位休憩したいんだけど」
「寝言は寝てほざけ。金がないんだよ金が。まあクエストはおれも当分は受けたくない。エルナ、お前に頼みがある」
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翌日、ギルドにて
「なんで私がバイトしなきゃいけないのよ!」
ギルドに響き渡る女性の声。その声の主はエルナなのだが、いつもの服ではなく、ギルドの酒場のお姉さんたちがきる衣装を身にまとい、左右の手には大量のお酒を持ち、次々に、テーブルに運んでいく。
「なんで、神たる私が日給のバイトをしなきゃいけないのよ!」
「クエストには出たくない。だが金がいる!っと言ったらこれしかないだろ?」
「あ、ん、た、が、働きけ!このクズ野郎が!」
口調が聖剣を抜いた時と同じだ。多分本気でキれているんだろう。
「いや、おれは幹部捜索という任務がある。それに無茶いって受付のお姉さんに頼んだんだから、しっかり働けよ。さあ仕事にもどれ!」
「おーい、姉ちゃんこっちにもビールとつまみ、早くしてくれ!」
「はーい、かしこまりましたー!あんた、あとで覚えてなさい」
笑顔で返事をし、俺を睨んだあとにエルナは仕事へと戻っていった。
ギルドを出ると、ミーラが壁に腰掛けて座っていた。
「よお、収穫あったか?」
「全然ダメですね。顔も名前も分からないと探しようがありません。・・・エルナはどうしたんですか?」
「・・・あいつは今、勤労という楽しさの中にいるんだ。おっとそんな冷たい目でみるな。俺だって好きでやっているわけじゃないんだからな?」
「にしてはスッキリした顔してますよ。それてどうするんです?」
「どうするってもなー、って言うか魔王軍の幹部ってどんな奴らなんだ?」
「そこからですか!?あなたこの国の人間でしょ!?」
「俺は平和な村で育った人間だ。そんなことしらん」
清々しく言うと、ミーラは深いため息をつきながら歩きながら説明した。
「いいですか?魔王軍の幹部は、7人いてですね、七つの大罪って言われてるんですけど、一人は2代目の勇者と戦う前までいって素性は分かっているはずなんですが、それ以外の人は何とも言えませんね。噂では、この世の何もかも食べる奴がいたり、魔獣を作り出す奴がいたりって聞きますね」
「その素性がバレてるやつはどんな奴なんだ?」
「それが思い出せないんですよ」
「おいおい」
本当にどうしたものか。このままでは本当に処刑されるんじゃね?俺やばくね?
「そんな絶望した表情をしないで下さい。まず幹部を探す前に装備を整えましょうよ。前のクエストもいくらで攻撃してこないって思ってても、その装備じゃ危険だと思ってましたし」
確かに今の俺の装備は、村で貰った初心者応援セット的なもの。上下は布と変わらない素材。青いマント。そして村一番の幸運の装備の腕輪。防御力0に等しい。
「まあそうだな、安い装備である程度整えるか」
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少し歩き、武器屋に到着。ドアを開けようとすると。
「ん?硬いな。閉まってるのか?でもオープンって書いてあるし・・・すみませーん」
子窓から除くと店主らしき人が見えたので叫ぶと、
「わりぃな、ドアがガタきてるんだわ。思いっきり蹴って開けてくれ」
壊れないか心配しながら足で蹴るがドアは微動だにしない。
「そんなじゃダメだ!もっと強く蹴れ!」
じゃあ、直してくれよ!っと怒りを込めた渾身の蹴りをみせるが、
「足がああああ!」
「非力ですねー。ちょっとどいて下さい。」
ミーラが痛んだ足を抑える俺の前に立ち、深く深呼吸をする。そして、
「どりゃあ!」
気合を入れた蹴りがドアにぶつけられ、物凄い勢いでドアが開いた。・・・開いたというよりは吹っ飛んでった。
「おいおい、ドアを壊すなよ。ってまたあんたか!何回店のドアをぶっ壊せば気がすむんだ!」
「それならわざと固くなるようドアを設置しないで下さい。自業自得でしょ。」
「なんだよ、わざとやってるのか。なんでだ?」
「そりゃー、ドアがあかなくて困ってる姿が面白いからだよ。文句あっか?」
「・・・いい性格の持ち主ですね。」
これから武器を買う時は別の店に使用と思った。
「んで今日は何をお探しで?坊主とお嬢ちゃん。」
「低予算である程度装備を整えたいんだけど、オススメあるか?」
「いくら持ってる?」
「1万ちょい。」
「一万ちょいで装備が整うわけ無いだろうが。お前駆け出しか?笑わせてくれるなお前!」
大笑いをする店主。どうしよう、もう店を出たくなってきた。ため息をつき振り返って帰ろうとすると、
「まあ待てや坊主。お古でよかったら譲ってやるよ。」
「まじで!?いいの!?」
「ボロくなった装備を買い取ったりしてるが、店におけるような代物じゃないのは修理して坊主みたいな金のない冒険者に譲ってるんだよ。だからあまり期待するなよ?」
「それでもタダなら有難いよ!ありがとうございます!」
「但し条件がある。金が出来たら装備はここに買いに来いよ?」
「おう!当たり前よ!」
そういって、店主は俺を店の奥に連れ込み、体に合う装備を選び出した。
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「よし、装備は整った!」
「いやー、無料で譲ってもらえて良かったですね」
譲ってもらったのは、金属製の小手と胸当て、そして膝あてだ。そして片手用の剣だった。
「盾が手に入らなかったのは残念だったが、贅沢言っちゃだめだね。盾は今度お金ができた時に買おう。腕輪も首にかけれるようにしてもらったし、あとは幹部を探して倒すだけだ」
「そうですね。本当にどこの誰なのやら」
「魔王軍の幹部だし白昼堂々と街を歩いてはいなさそうだしな。路地裏とか探してみるか。とりあえず怪しい人物探しからだ。」
「随分適当ですね」
「手がかりがないんだからしょうがないだろ。行くぞ」
そういって、路地裏に入った瞬間だった。木箱の上で何かを食べている女性が目に入った。
ゴリッ、ガリッ、ジャリ、ゴックン。
音が食べ物の音じゃない。
「れんがおいしい」
「レンガ食ってたのかよ!」
びっくりして声を出した瞬間、女性がこちらを睨みつける。
「・・・・・・ひんじゃくそう」
「失礼だな!って言うかレンガは食いもんじゃねぇ!お前が魔王軍の幹部か?!」
「はい、そうですがなにか?しょくじのじゃましないで。」
「そうなのかよ!?」
路地に入ってすぐに見って驚きを隠せないアラムとミーラ。そんな二人を放ったらかしにして、魔王軍幹部は食事を続けた。
「おいミーラ。簡単に見つかったぞ。路地入ってすぐだよ?俺全然心の準備出来てないんだけど」
「こっちだって出来てませんよ。どうしますか?そんな青ざめてないで、ビシッとしてください。勇者でしょ。」
「いやいや、俺元村人だから。非力だから。幹部となんて戦えるわけないだろ。」
小声で言い合いをしていると、食いかけのレンガを置いてまた睨んできた。
「さっきからこごえでうるさいな。今そこのまほう、ゆうしゃといったか?そいつがか?」
「そそ、そうだ!俺の名前はアラム!不本意ながらも勇者になった男だ!お前は誰だ!名乗ったんだから名乗れ!」
「へーふほんいながらね。しかたがない、わたしはまおうぐんかんぶ、ななつのたいざいのひとり、ぼうしょくのべる。」
淡々と説明をするベル。しかしレンガを食べるのは止めない。多分、さっきミーラがいってたなんでも食うやつなのだろう。レンガ食べてるし。
「ベルだな?よし覚えた。この街には何しに来た?人を食べに来たのか?」
そう言うと、ベルは立ち上がって俺たちに近ずいてきた。薄暗くてよく分からなかったが、近ずいたことにより、姿がはっきり見えた。簡単に言うとメイド服だ。身長はミーラと同じくらいの小柄で、金髪ツインテールでカチューシャをしていた。そして何より目立ったのはギザギザの歯だった。
「にんげんはまずいからいらない。このまちには、もとまおうといっしょにきた。いまはじゆうこうどう。わかった?」
「人間は食わないんだな?おいまて今さらっと凄いこと言ったよな?元魔王?」
「そうだ。もとまおうといっしょにきた。つめこみすぎか?」
はい詰め込みすぎです。幹部がいて、元魔王?敵多すぎじゃね?人生ハードすぎるんだよ。もっと楽にしてくれよ。そんなことを考えていると隣でミーラが、
「元魔王がこの街に何のようですか?返答次第では魔法をぶっぱなしますよ?」
「おいおいそれはやめろ。ここは街のど真ん中だぞ?」
「そうだ。ばかなかんがえはよせ。はんざいしゃになりたいのか?」
「幹部のお前が言うな!」
こいつ本当に悪いやつなのか疑いたくなる。
「はぁ。もとまおうのもくてきは」
「目的は?」
「ぼうけんしゃになるためにここにきた。それだけだが?」
「なんだー。街を征服しに来たかと思ったよー。冒険者になるために来たのかー。それなら安心って何言ってるんだ!?冒険者!?元魔王が!?」
開いた口が塞がらないアラムとミーラを見て、「おまえらおもしろいな」っとわらうベル。
「さて、そろそろじかんだな。おいわたしをぎるどまであんないして。みちがわからない。」
憂鬱になりながらも渋々、自分の中で連行という形と言いつけ、ベルをギルドに連れていった。




