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いべんと、ありすといっしょに。


  あの、後るなと一緒に『おてつだいクエスト』を周ってシールを5枚集めた。

  残りは11枚だけど、最後の1枚は最終日に全員参加できる『おてつだいクエスト』があるということをりんが見つけてきているので、それでみんなで達成する腹積りだ。

  そんなわけでイベント期間も残り3日。他のプレーヤーの中にはすでにクリアしている人もちらほらと出てきているが、俺のシール枚数はそんなに悪い数字じゃない。充分にクリアできる圏内に入っているのだが。


  「その件につきましては担当の者が不在でして、ええ、ええ、大変申し訳ございません!」

  「斎藤部長は!?緊急で印押してほしい書類あるんですけど!」

  「こっちの資料間違ってるじゃねぇか!くそっ!」


  どういうわけか、職場が修羅場と化していた。

  理由は簡単、新入社員がどでかいクレームをやらかしてくれたために、課全体で対応を行っているためだ。俺もその対応に追われている。岬もそうだった。

  結局終わったのは夜11時を回ったあたりで、もう夜遅くになっているので岬と2人で牛丼チェーン店で愚痴をこぼしながら飯を食い、疲れてがたがたになってしまったので家に着くとすぐに眠りについてしまった。

  そんな翌日の昼休憩のことだった。


  「やばい」

  「昨日のそっちの課のクレームか?なんかやばそうだったな」

  「いや、それもなんだけどそうではなくて」


  『ちゃいるど・はーと・おんらいん』でのイベント進捗の話だというと、ため息を吐かれるほどに、月本に呆れられた。

  そうは言うが、今日中に10枚集めなければ、それだけ他のみんなを待たせるという事になる。それは、俺としては嫌だった。


  「だってさ、俺のためにみんなで手伝ってくれるとか迷惑かけたくないじゃん?」

  「いや、待ってるし。普通に待ってるし。みづきとうさぎ小屋でもふってるし」

  「みづきとんなよ」

  「とってねーよ」


  冗談を言いつつも、ちょっとマズイなぁと思う昼下がりだった。


ーーーーーー


  「はい!そんなわけできてもらったよ!」

  「わー、ぱちぱちぱち」

  「どういうわけですの!」


  そんな話をしてインするなり、るなが「ここでまってなさい!」と言ってどこかから引っ張ってきたのは、ピンクゴールドの髪が綺麗な幼女、アリスだった。いきなり連れてこられて憤慨するアリスに、るなが説明をする。


  「あのね、かくかくしかじか」

  「ふんふん、……ってわかるわけねーですの!まじめにせつめいなさい!」


  なんで火に油をそそぐ真似をしたんですかねぇ。アリス完全に怒ってるじゃん。激おこぷんぷん丸っていうんだっけ?そんなことを岬が言ってた気がする。あと、今日日かくかくしかじかなんて使うやついないだろうに。

  アリスが急かすと、るなは今度こそ真面目に説明をする。


  「そういうことでしたのね。それならわたしにおまかせあれですわ!」


  そう言って、アリスはない胸を張った。いや、誰一人として胸なんてないけれど。


  「ついていらっしゃいな」


  そう言って歩き始めたアリスの後を、俺は追いかけた。


  「あれ、るなはこないの?」


  るなはその場に止まって手を振っていた。


  「え、うん。わたしはわたしでようがあるから」

  「そっか、じゃあいってくるね」

  「うん、いってらっしゃい」


  今度こそ、アリスの後を追いかけて歩き出すのだった。


ーーーーーー


  ……凄かった。何が凄いってその効率のいいこと。


  「『おてつだいクエスト』ってどうじになんこもうけられるんだね……」


  俺は遠い目でそう言った。

  そう、アリスの言う通りに『おてつだいクエスト』を進めていくと、同時に何個も『おてつだいクエスト』を引き受けていた。2個3個は当たり前、最大だと5個は請け負っていたはずだ。


  「というか、いままでちまちまやっていたほうがびっくりですわ」


  アリスに指摘される。ちまちまというか、普通は『おてつだいクエスト』を同時に何個も受けようとは思わないと思うのだけれど。


  「ぺたをいっぱいもっているかたがたはみんなやってますわよ?ろぜったなんかこのいべんとふつかでおわらせてましたし」


  ……なんだろう、ロゼッタさんは果たして本当に人間なんだろうか。彼女の超人っぷりを見聞きする度にそう思ってしまう。


  「とにかく、これでさいごですわね」


  おつかいの『おてつだいクエスト』を終わらせて、シールを1枚ぺたりと貼ってもらう。これで29枚。後は明日最後の1枚をみんなでもらっておしまいだ。


  「ありがとう、ありす。たすかったよ」

  「いいってことですわ。たまにはてきにしおをくることもひつようですし」


  まだ敵だと思ってるのか。こっちはもう普通に友達だと思ってるけれど。


  「ま、まぁ、たまーになら、こうやっていっしょに『おてつだいクエスト』やってあげてもよろしくってよ!?」


  さびしんぼなのかツンデレなのか。面倒な性格してるよなぁ。


  「うん、よろしく……あれ、めーるだ」


  飛んできたメール、正確にはメッセージアプリのメッセージだけど、それを確認するとりんからだった。


  「……ねぇありす。おねがいがあるんだけれど」

  「なんですの?」


  キョトンとした顔のアリスに俺は言った。


  「みづきもしーるたりないかもって……」

  「あなたたちどーなってますの!?」


  この後めちゃくちゃ (みづきが) 『おてつだいクエスト』した。


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