「ある日、地球が壊れました」
ブゥー ブゥー ブゥー 地震です ブゥー ブゥー ブゥー 地震です ブゥー ブゥー ブゥー⋯
街中の至る所で、一斉に緊急地震速報が鳴り響く。
「うわっ、びっくりした!」
「何だこれ、うるせぇーな!!」
「うるせぇーけど、地震なんていつも起きねぇ⋯」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ ガタガタガタガタガタガタガタガタッ⋯
ドゴォーーーンッ!
突然襲った激しい揺れに、行き交う車は止まり、戸惑う雑踏の声は、悲鳴に変わる。
街頭の大型ビジョンの映像が、突如ニュース速報に切り替わる。
『緊急地震速報です!現在東海地方を中心に大きい揺れが⋯え?関東でも?失礼しました、東海と関東⋯⋯ええ?⋯緊急です!緊急です!現在、日本各地で大きな揺れが観測されております!それに伴い、沿岸部では、津波警報が発令⋯⋯そ、そんな⋯⋯富士山が、⋯噴火?!いったい日本は⋯⋯ザザァー⋯』
西暦2032年、5月31日正午。
春の終わりと共に、その日がやってきた。
ここ数年、日本に留まらず世界各地を襲う異常気象に、自然災害。
その天変地異の豪華全部盛りーー。
巨大地震は、これまでに無いほどの揺れを起こし、日本各地に、底の見えない断裂や落差の激しい断層を出現させた。
また、それにより生じた巨大な津波は、日本の沿岸地域をそれはもう美味しそうに飲み込んだ。
朝から続く激しい雷雨により増水した河川は、遡る海の水を受け止められず、各地で氾濫し、川と大地の境を無くす。
また、地震と示し合わせたかのようなありとあらゆる火山の噴火は、周辺を溶岩で赤く、流れる火山泥流と降り注ぐ火山灰で黒く染め上げる。そして、大気さえも噴煙と火山灰で視界を黒く塗りつぶす。
地上の火山同様に、海底火山も噴き上がる。
流れ出る溶岩は積み重なって新たな島を形成し、割れた海底は更なる深淵を創り出す。
温められた海水は、蒸発して、やがて遥か上空で積乱雲となって嵐を呼ぶ。
あるところでは雷が落ち、あるところでは大粒の雹が襲来。またあるところでは、渦巻く風が、竜巻となって暴れ狂う。
その中を人々は、叫び、泣き喚き、助けを求め、一方では、我先にと逃げ惑う。
先ほどまであった日常が、跡形もなく崩れ去る。
まさに阿鼻叫喚。
まさに、地獄絵図ーー。
その光景を、少し離れた上空から見守る者たちがいた。
金髪に赤い瞳の少年が言う。
「⋯おぉ~⋯凄いな⋯。俺、あそこに居たら、絶対死んでたわ⋯。」
銀藤色の髪の少女が言う。
「う~ん⋯私は大丈夫な気がするわ。」
少し離れた上空で、光り輝く白髪に金眼の男が言う。
「⋯崩壊が始まってから、2時間。魔力も充分満ちてきた。⋯⋯そろそろ生命が、眠りにつく。⋯準備は良いか?」
銀白色の髪に、金眼の青年が言う。
「⋯⋯思ってた以上に、地球は怒っていたようですね⋯。けど、大丈夫ですよ。2年間かけて準備してきたんですから。そうでしょう?ハル?」
ハルと呼ばれた、銀桜色の髪に金の煌眼の少年が、言う。
「⋯うん、もちろん。⋯⋯⋯さて、それじゃあ⋯皆、始めようか!」
この日、春の終わりと共に1つの時代が終焉を迎え、地球という名前のこの惑星は、未知なる新しい時代を迎えようとしていたーー。




