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キラキラとテオちゃんが私を見つめてくる。

・・・。

一瞬の静寂を得て、私は我に返る。

「・・・そうだったわね。でも、それは一人の時にするわ。」

私は三人のご退出を促すと、テオちゃんが不満そうな顔をした。

「なんでジュリアの特訓は皆で見守りながらしたのに、姉上は一人でするの?」

なんで?恥ずかしいからに決まってるじゃない。あんな顔を皆に見られるのかと思うと・・・死ねるわ。


「テオちゃんは、私の笑顔が怖かったんじゃなかったの?」

私はテオちゃんに無言の圧力をかける。

「ん?でも、姉上の為だったら大丈夫!」

ギュッと両手で拳を作って胸の前で構える。

テオちゃんの無垢で輝く笑顔が私を射抜いてくる。


うっうう、ま、まぶしいわ!これが八歳の若さのパワーなの!?私負けちゃう~。

カンカンカン!

テオちゃんの眩しさに打ち負けた私は、渋々今から始める事にした。


にぃ。


何度笑っても、目がぎらつきぎこちなく口角が上がるせいか、きれいに全ての歯がむき出しにされる。

ヴィオレッタちゃんの整った歯並びが余計に恐怖を誘っているわぁ~。


「姉上、表情筋が硬いんだと思います。マッサージしてみてはどうですか?」

テオちゃんは、小さなお手手で自分のモチモチした頬を円を描くようにしてほぐしていく。私もテオちゃんの真似をして頬をほぐしていく。

ひょい。フィーは体を傾けて私とテオちゃんの間に入ってきた。

「無理に笑顔を見せようとするのではなく、まずは「微笑む」を目指すのはどうですか?」

「どういう事?」

「無理に満面の笑顔を見せようとするから、負担がかかってうまくいかないんだと思うんです。だから、まずは目を細めて、口は小さく弧を描く。これから初めて見てはどうですか?」

「フィー!!」


あなたぁ~、さすがじゃなぁ~い!天才よぉ~。


私は目を輝かせて見つめた。

フィーは頬をほんのり赤らめて見つめ返してくる。

その純粋なフィーのしぐさに、私の胸は高鳴った。

フィー!あなたなんでこんなに純粋なのぉ~?私のお肌がうるっうるっになっちゃうわ~。


ブワッ!ブロッサム!

私達は背後に満開のお花を背負って見つめあった。

「んっんん!」

テオちゃんの咳払いで私達は現実に引き戻される。


あぁ~せっかくのお花がしぼんでいくわぁ~。


ちょっぴり残念に思っている私達を余所に、テオちゃんは我関せず、といった風で話続ける。

「姉上、フィーの考えは良いと思います。試してみましょう!まずは目を細めて下さい。三日月のように出来たら尚いいかもしれません。」

さぁ!と私達の間にいたフィーを手で押しのけて顔をグイっと近づけてくる。

テオちゃんの勢いに私は少し後ろにのけぞる。


「ふっ。」

私は目を細めて、口は小さく弧を描く。

・・・。

二人は戸惑った顔をしてお互いを見やった。

「・・・どうしたの?」

今回はうまくいったような気がする。

「姉上・・・確かに目は細くなりました。なったんですけど・・・それは・・・半目です。」


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