獣の心に抱く欲
読んでくださってありがとうごさいます。
ブックマーク、評価等はやっぱり心の拠り所です。
バルバラッサ邸に戻ったところでルーシェに会える訳では無い。
アルフラインが初日から案内されたのは窓もなく、扉には鍵がかかる。軟禁にはうってつけの部屋だった。
「大人しくここで過ごしてちょうだい。……明日はそうね。有力な貴族達の屋敷に挨拶についでに 遠くからだったらリムに会わせてやっても良いわ」
テレサはそう高らかに宣言して、鍵をかけて去っていった。
岩を破壊出来る程の魔力を持ったアルフラインに鍵など意味は成さないのだが、教えてやる義理もない。
テレサが知るアルフラインの魔力は国内で5本の指には入っても、物を破壊する程の魔力ではなかった。
しかし人魚の涙で増幅した後の魔力は、群を抜いてこの国で最も強い。
右耳の石は強力すぎて単独で扱うのは難しい程で、それを左耳の石で調整していた。
右耳の飾りを外して寝台に腰を掛ける。
誰にも渡すつもりはない左耳のピアスは、寝る際も付けたままにしていた。
本人も記憶にないようだがピアスにしている宝石は、ルーシェがアルフラインを想って産まれた人魚の涙で、アルフラインだけの宝物だった。
「1日が長く感じるな……」
身体を休ませるため横になってみても一向に睡魔は襲って来ない。
早くメザホルンに帰って自室でルーシェと一緒に眠りたい。
同じ寝台に入るようになってからは体温を感じるのが当たり前で、隣にルーシェが居ないと眠れなくなってしまった。
招待状を破り捨ててレナインに文句を言われても、城内に囲ったまま彼女を独占出来た期間は本当に幸せだった。
ルーシェがそれを望んでいないと知っていても、永遠に続けば良いと願ってしまう。
いつでも、いつまでも。ずっと眺めていて見飽きないその瞳も、自分だけの宝物として隠していたくて仕方がない。
ルーシェは誰にでも平等に優しくしてしまうから、尚更しまい込んで置きたくなるのだ
(目立たないなんて無理なのにね)
本人は自覚が無いかもしれないが、前夜祭でも結局エトフォールと共に最も視線を集めていた。
ルーシェを領外に出してしまった判断を、今更悔やんでも遅いのはわかっている。
それでもアルフラインはルーシェを、自分だけに縛り付けて置きたい。
いき過ぎた独占欲だと自覚して自嘲する。
「姉上が何を企んでいるか解らないし、じっとしてくれると良いんだけど」
12歳になれば婚約も行えるようになる。それはテレサも早々に手を打って相手を用意しているだろう。明日の誕生会では公表されるはずだった。
ただそれだけならルーシェも共に夫婦で招く理由がない。何か別に仕掛けてくる気がしてならないのだった。
お人好しで無鉄砲なところもある彼女が、無茶な行動をしないか心配で堪らなくなる。
とにかく何もしないで大人しくしていて欲しかった。
暖かい季節になってきましたね。
アルフラインは本当、愛が重い。




