星型の穴と魔法陣
初の連載作品です。
恐らくかなり長い作品となりますが、気に入ってくれた方は末永くよろしくお願い致します。
「科学者になりたい。」
そう思ったのは、見たこともないような機材や数式を並べ、未知の世界を切り開くという他に無い仕事に強く惹かれたからだ。
「魔法使いになりたい。」
そう思ったのは、魔道書や杖を片手に聞いたこともないような呪文を唱えどんな事もやってのける役職に強い憧れを抱いたから。
「え?」
「あれ?」
「「うわあああああああ!!!!!」」
「ででで、出たぁああ!!」
「うわあああ!!なんでぇえ!!」
「で?魔法陣を描いていたら、何故かよく分からない部屋に繋がってしまったと?」
ここは僕の自室である。子供の頃から科学者になることを夢見て様々なことをこなしてきたものの、世の中そう甘くはない。根っからのサボり気質である僕にとって大学の研究室は決して楽しいところではなかったのだ。そんなことから結局自主退学し、現在絶賛アルバイト暮らしだったのだが…
「それにしても汚い部屋だな」
この到底出会って数分の相手に言うようなものではない台詞を吐いているエルフとやらが、雰囲気だけでもと買った部屋の壁を覆い尽くす特大ホワイトボードから顔を出しているのである。それも試し書きした一筆書きの星の中から…
「急に現れておいて、そんな言い方はないんじゃないか?」
目の前に広がる散らかった部屋の真ん中に立つ人間が、様々な感情の入り混じった声で私に文句を言っている。
ここは私の部屋だ。
小さい頃から魔法使いに憧れていろんな修行をしたり本を読んだりしてきたけれど、絶望的にセンスが無く周りと比べてかなり遅れていたため、そのうち修行や読書どころか学校にもほとんど行かなくなった。そんな中、適当に魔法陣を描いて遊んでいたら…よく分からない部屋に繋がってしまった。
「それはこっちの台詞だ!適当に描いた魔法陣がこんな部屋に繋がると思わないじゃないか!」
「こっちこそ適当に描いた星の中から想像上の世界の住民が出てくるなんて思わねぇよ!」
急展開にも程がある。隣に言い争う声が漏れてなきゃいいが…
「想像上?ほざけ!こっちにしてみれば、この部屋の散らかり具合の方が想像上だ!」
とんだ予想外だ。外の住民に聞かれてなければいいが…
「OK分かった。一旦状況を整理させてくれ。」
「口調が鼻につくがまあいいだろう。」
「まず、僕の方からだ。ここは僕の自室で、お前が体を乗り出しているその穴は僕がホワイトボードに描いた星だ。のんびりしてたら急に穴が開いて、今に至る。以上。」
「じゃあ私の番だな。ある程度察しているだろうが、今私の下半身がいるのは君と同じで自分の部屋だ。ここに繋がったいるのは、適当に壁に書いた魔法陣だな。」
整理すればするほど訳が分からない。最新鋭のホログラム技術でも使ったドッキリなのだろうか。
「そうだ、名前を聞いてなかったな。」
「ああ、私は“アクタ”だ。我々の言葉で『行動』という意味を持つ。」
「へえ、いい名前だな。」僕らの言葉ででそれはゴミって意味も持つんだけど…そんなことを言いかけて、やめた。
「僕は“いとせかなめ”…ええと、こう書くんだけど…」
丁度手元に落ちていたボールペンを拾い、これまた落ちていた用途不明の封筒に漢字を書き出していく。書き終わり、顔を上げて僕が『糸瀬要』という字を見せるのと同時に、きょとんとした顔の彼女が口を開く。
「…なんだその道具は?」
……まだまだ、お互いに自己紹介をする必要があるようだ。
一度も漫画家に憧れないという男子は少ないのではないだろうか。漫画を一度でも読んだことがあれば、あのダイナミックな戦闘シーンや思わず涙する感動シーンは誰しも書いてみたいと思うものである。現に僕もその一人だ。しかし、漫画というのは難しいもので、ストーリーから作画まで全てこなさなければならない。(もちろん様々なパターンがあるが)ただ、小説は言ってしまえば文字を打ち込むだけで作れてしまう。そんな文字という限られた情報量の中で人の心を動かすという事が出来れば、それはどんなに素晴らしい事だろうと感じたため、僕は小説を書いている。(感想下さい!今まで一度ももらった事ないんです!!!!!)




