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小説を書いたことないので、AIになろう系小説を書かせてみた 〜気まぐれAIのカフェイン転生が、俺の人生を変えた件〜  作者: U2U


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【第8話】止まれない男と、隙間を歩くタヌキ(後編A)

◆◆◆


ポン太の背中を追って路地の奥へ潜ると、空気の匂いが変わった。石畳は途切れ、足元には“塗り残し”みたいな白い斑が点々と浮いている。


「おい、足元気をつけろよ。その『白いところ』を踏んだら、二度と戻ってこれねぇぞ」


ポン太の警告は、決して脅しではなかった。

俺たちが歩いているのは、表の街のきらびやかな景観とは似ても似つかない、灰色の荒野――いや、「工事現場の足場」のような場所だった。


頭上には、空がない。

あるのは、ぼんやりとした灰色の霧だけ。

そして左右には、表の世界を構成している建物の「裏側」が並んでいるのだが……。


リィナ「な、直也さん……。あのお家、ペラペラです……」


リィナが震える指で差した先には、立派な石造りの家の「裏面」があった。

だが、そこには壁の厚みがない。

まるでベニヤ板に絵を描いて立てかけただけのように、裏側は木の骨組みが丸見えで、中は空洞だった。


直也「……書き割り、だな」


ゼピュロス「かきわり?」


直也「お芝居で使う、偽物の背景のことだよ。前から見れば本物に見えるけど、後ろから見ればただの板だ」


俺は道端にある岩に触れようとして、手を止めた。

その岩も、裏側がスパッと切り取られたように無く、中が空っぽだったからだ。


ALMA『解析。この空間に存在する物質は、表層の「見栄え」だけにリソースが割かれています。内部構造、質量、質感などのデータが欠落しています』


直也「中身がないのは住人だけじゃなくて、建物もそうだったわけか」


改めて、背筋が寒くなる。

俺たちは今まで、こんなペラペラの張りぼての上で生活していたのか。

少し強く蹴れば穴が空き、壁に寄りかかれば倒れるような、もろい箱庭の中で。


ポン太「へっ、驚いたか? だが、これがこの世界の『素顔』だ」


ポン太は慣れた足取りで、骨組みだけの木の上をひょいひょいと渡っていく。


ポン太「表の連中は、綺麗に塗られた『絵』を見て満足してらぁ。自分が絵の一部だってことも知らねぇでな。……だが、俺たちみてぇな『はみ出し者』にとっちゃ、こっちの方が住み心地がいい」


直也「住み心地がいい? こんな殺風景な場所がか?」


ポン太「ああ。『役割』を押し付けられなくて済むからな」


ポン太は懐から出した煙管キセルをくわえ、プカリと煙を吐いた。


ポン太「パン屋はパンを売る。宿屋は客を泊める。あの街じゃ、それ以外の生き方は許されねぇ。……だが、俺っちみてぇな商売人は、あそこじゃ息が詰まるんだよ」


直也「だから、この隙間を歩いてるのか」


俺は自分の足元を見た。

まだ摩擦は戻りきっていないが、ここの地面は未舗装の土や瓦礫のおかげで、適度な引っ掛かりがある。

ツルツルに磨かれた表の石畳よりも、このデコボコの地面の方が、俺の足には優しかった。


直也「……同感だ。俺も、あっちの『正解』だらけの世界より、このゴミ溜めみたいな場所の方が落ち着くよ」


リィナ「直也さん……」


リィナが俺の服の裾をギュッと掴んだ。

彼女もまた、あの完璧な世界で「失敗作」の烙印を押されていた一人だ。

この荒涼とした景色の中に、彼女も何か共感するものを感じているのかもしれない。


しばらく進むと、道が唐突に途切れた。

いや、途切れたというより、「崩落」していた。


直也「……おい、行き止まりだぞ」


目の前に広がっていたのは、巨大な断崖絶壁だった。

崖の下には、白い霧が渦巻いている。

そして、その霧の彼方に、うっすらと西の平原が見えた。


ポン太「行き止まりじゃねぇよ。ここが『滑り台』の入り口だ」


直也「滑り台?」


ポン太はニヤリと笑い、背負っていた風呂敷包みを解いた。

中から出てきたのは、巨大な一枚の枯れ葉だった。

乾燥して茶色くなっているが、大人が三人くらい乗れそうなほどデカい。


ポン太「こいつに乗って、この崖を一気に滑り降りる。西へ抜ける最短ルートだ」


ゼピュロス「わー!面白そう!葉っぱのソリだね!」


直也「待て待て待て。死ぬだろこれ。ブレーキはどうするんだ?」


俺は崖下を覗き込んだ。

角度は急だし、地面はゴツゴツした岩肌だ。

こんな枯れ葉で突っ込んだら、途中で葉っぱが破れて、俺たちは岩場のおろし金ですり下ろされることになる。


ポン太「ブレーキ? そんなもん必要ねぇよ。勢いで突っ切るんだ」


直也「それが一番怖いって言ってんだよ!」


ポン太は聞く耳を持たず、枯れ葉を崖の縁にセットした。

だが、葉っぱの表面はカサカサで、地面との摩擦が強そうだ。

これでは滑るどころか、途中で引っかかって転覆する未来しか見えない。


ポン太「んー、ちっと滑りが悪いな。これじゃあ途中で止まっちまうかもな」


直也「止まるならまだマシだ。転がるよりはな」


その時、リィナがおずおずと手を挙げた。


リィナ「あ、あの……滑りを良くするなら、私にお任せください!」


直也「え?」


リィナ「この葉っぱの裏側を、魔法でツルツルに磨けばいいんですよね? それなら得意です!」


嫌な予感がした。

さっきの悪夢――俺の摩擦を奪ったあの魔法が脳裏をよぎる。


直也「ちょ、ちょっと待てリィナちゃん! それはフラグ――」


リィナ「任せてください! えいっ、生活魔法『お掃除・ポリッシュ(研磨)』!」


葉っぱの裏側からザラつきだけが消え、表面が異様なほど滑らかに磨き上がっていく。

止める間もなかった。

リィナの杖から放たれた光が、巨大な枯れ葉を包み込む。

カサカサだった葉っぱの表面が、一瞬にして鏡のように輝き始めた。

物理的な凹凸が消滅し、摩擦係数が限りなくゼロに近い「超・滑走物体」が誕生した瞬間だった。


ズルッ!


ポン太「うおっ!? なんだこれ!? すげぇ滑るぞ!?」


まだ誰も乗っていないのに、葉っぱが勝手に動き出した。

地面のわずかな傾斜に従って、崖の方へとズルズル滑っていく。


直也「おいバカ! 待て! 乗る前に落ちるぞ!」


ゼピュロス「あー! 待ってー! 私の特等席ー!」


ゼピュロスが慌てて飛び乗る。

その衝撃で、葉っぱの加速が増す。

ポン太も慌てて飛び乗った。


ポン太「旦那! 早く乗れ! 置いてくぞ!」


直也「くそっ! なんでこうなるんだ!」


俺はリィナの手を引き、動き出した葉っぱの舟に飛び乗った。

全員が乗り込んだ、その瞬間。

葉っぱの舟は、崖のへりを越えた。


フワッ。


重力が消える感覚。

俺たちの体は宙に浮き、そして――奈落の底へと向かって、猛烈な勢いで落下を開始した。


直也「結局落ちるんかぁぁぁい!!」


◆◆◆(後編Aパートここまで)◆◆◆

次回の更新日3月3日(火)第8話後編Bパートになります。

感想を頂ければ励みになります。

よろしくお願いします。

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