07
あさひ「疲れたな……」
あさひはそう言って汗を拭う。
日課のランニング。
あさひは朝が苦手なので夜に走っている。
本当は朝の方がいいと分かってるんだけれど……。
でも、しょうがないよなとも思う。
あさひ「やっぱりここはいい景色だな……」
あさひは街を見下ろしながら考える。
街に広がっている噂について。
この街には悪魔と魔法少女がいる。
そんな噂は何度も聞いた。
悪魔は人を襲い。
そして魔法少女は人を助けるらしい。
魔法少女の方はなんとなく信じている。
あさひ自身は見たことはないのだけれども。
実際にたくさんの目撃した人がいるし。
助けられた人もいるから。
えちるも昔は魔法少女に憧れていて。
実際に助けてもらったこともあるらしくて。
小さい頃はずっとそんな話をしていた。
でも……。
今はそんな憧れもなくなってみたいで。
いつの間にか魔法少女の話をしなくなったし。
なんとなくだけれども。
あさひも話題に出すことはなくなった。
だから……。
魔法少女はいるかもしれないけれど。
自分には何も関係ない存在。
そう思っていて。
悪魔については……。
あさひ「そんなのいるわけないよな」
そう結論づけている。
魔法少女は信じているけれども。
悪魔は信じていない。
自分でも変だと思うけれども。
そうとしか思えなくて……。
あさひ「冷えてきたな」
そろそろ帰ろう。
また明日の朝に起きなくちゃいけないしな。
あさひはまた走り出そうと……。
あさひ「!!」
一瞬の出来事だった。
目の前に何かいた。
さっきまで何もなかった場所に。
何か黒くて……。
何か大きな羽と牙があって……。
あれはどう見ても……。
頭の中は思考でいっぱいになるけれども。
体はまったく動かなくて。
悪魔は本当にいたんだと分かったけれども。
このままでは噂通り……。
緑の魔法少女「ここにいたんだね」
紫の魔法少女「街の平和はわたし達が守る!」
赤い魔法少女「私が動きを止めてますね」
小悪魔「サッサトオワラセロヨ」
見るからに魔法少女な3人。
1人は緑で、1人は薄い紫で、1人は赤で……。
それにマスコットのような小悪魔が1匹……。
やはりあさひは何もできずに。
ただ悪魔と魔法少女が戦ってるのを見ていた。
赤い魔法少女「ほらほら」
赤い魔法少女「その程度のスピードしか出せないのかしら?」
赤い魔法少女は長い件で悪魔と戦う。
悪魔がふるう爪やしっぽをはじき。
自身は剣先で切っていく。
空中で踊ってるみたいだとあさひは息を飲む……。
緑の魔法少女「準備できた」
緑の魔法少女「もう大丈夫」
緑の魔法少女はぶつぶつと詠唱を唱える。
淡い光が魔法少女を包み……。
緑の魔法少女「……捕まえた」
悪魔の体に鎖がまきつく。
足元には魔法陣があり。
しっかりと動けないようにしてるのが分かった。
緑の魔法少女「とどめはおねがいね」
紫の魔法少女「うんっ!」
紫の魔法少女「いくねっ!}
紫の魔法少女が両手を出す。
大気中から出てきたように炎が手をつつむ。
先ほどとは違い太陽のような光が見えた。
炎はどんどんと大きくなり。
それに合わせて明るさもましていく。
紫の魔法少女「えいっ!」
その炎が打ち出され。
一直線に悪魔へと……。
そして……。
緑の魔法少女「一件落着だね」
紫の魔法少女「今日も街の平和を守れたねっ!」
赤い魔法少女「一応目撃者の記憶を曖昧にしておきますか」
赤い魔法少女「私達の正体はバレませんが」
緑の魔法少女「悪魔に関してはちゃんと消しとかないと」
紫の魔法少女「だよね」
紫の魔法少女「見つけた時はびっくりしたけど……」
紫の魔法少女「守れて良かった!」
戦いが終わり。
さっきまでいた悪魔はどこにもいなくて。
和気あいあいと魔法少女たちが話していて……。
そこで俺は気がつく。
あさひ「あれ……お前らって……」
あさひ「生徒会長に……」
あさひ「転校生に……」
あさひ「それと……えちる……だよな?」
俺の言葉に赤い魔法少女と紫の魔法少女は驚きの表情を見せ。
緑の魔法少女はどうでもよさそうで。
小悪魔はにやりとあやしく微笑んだ。