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魔法少女が見ている夢は?  作者: 原口もとや
ずっとずっと夢見ること。
14/14

04

昼休み。

あいから友達とお昼ごはん食べると連絡があり。

知久は生徒会室に行っていて。

1人で何か食べようと。

学食に向かっている途中だった。

廊下の隅の端の方。

3人の女子がいて。

それも3人とも同じクラスの女子で。

1人の女子生徒を。

2人の女子生徒が詰め寄る感じで……。


「あたしはいつものやつ」


「わたしはどうしようかな」


「最近コンビニに新商品が出たんだっけ」


「あれがいいな」


「あっ!」


「あたしもそれにしようかな!」


「で……でも……コンビニは……外に……」


「見つかったら停学だから気をつけてね!」


「お金はいつもどおりで」


「でも……ずっと……もらえて……」


「何か問題がある?」


「…………」


「向こうでずっと友達がいなかったんでしょ?」


「友達が欲しかったんだよね」


「だからあたし達が友達になってあげてるじゃない」


「そうそう」


「だからその恩返しってことで!」


……

…………

………………


典型的なイメジのかつあげ。

高校生になってもあんなことするやつがいるのかと。

あさひは思わずため息をつき。

ああいうやつと同じ学校というのが恥ずかしくなった。

そして……。

あいと一緒じゃなくて良かったと。

あいは自分と違って本気で悲しんでしまうから。

できるだけああいうのは見せたくないとあさひは思っている。


あさひ「……まぁ見てしまったからな」


何もせずに通り過ぎるのも寝付きが悪そうになる。

どうしようかとあさひは考えて。

できるだけ穏便にすませたいと思って。

……演技には自信はないんだけどな。

と心のなかで思いながら……。


あさひ「よう」


あさひ「こんなところにいたんだな」


3人に向かって言った。

3人は驚いた表情を見せて……。


あさひ「ほら」


あさひ「委員会で一緒になっただろ」


あさひ「その時に昼飯一緒に食おうって約束したじゃないか」


とあさひでまかせを口にする。


あさひ「生徒会の知久からもお前と仲良くするようにって」


あさひ「頼まれてるからな」


「生徒会の知久って……」


「あの不良っぽい……」


小声で話す2人。

もちろん知久からそんなことを言われてない。

でも……。

権力はこういう時に使うもんだよなと。

自分はそういうやつだよなと。


「行こうぜ」


そう言ってあさひは手を伸ばす。

それは明らかに過剰演出ではあったが。


「う……うん」


あさひの方に手を伸ばしてくれたから。

あさひはその手を握って。

その場から離れていった。


……

…………

………………


「あの……ありがとう……ござい……ました」


あさひ「俺が嫌なもの見たくなかっただけだしな」


あさひ「……というか変なナンパみたいになっちまったな……」


「そんなこと……ない……です」


歩いて廊下の端から端まで移動して。

あさひは手を離して。

そういえば女子と手をつないだのはあい以外初めてだなと。

そんなことを考えつつ……。


あさひ「そういえば俺の名前も知らないよな」


あさひ「俺はあさひ」


あさひ「同じクラスだけど……」


「うん……顔は……分かる……」


あさひ「えっと……えちるさん……だったよな」


えちる「うん……覚えてて……くれたんだ……」


あさひ「今さっき思い出したんだけどな」


とあさひは嘘を付きつつ。

えちるが転校してきたことを思い出す。

もうだいぶ前と言えるぐらいの時期に。

とある高校が全焼するという出来事があった。

夜中のことだったので死人も怪我人も出なかったが。

学校という大きな建物が燃え尽きるという異常事態。

かなりのニュースになったのを覚えている。

事故か事件か。

専門家の間でも意見は別れていたが。

結局のところは原因不明のまま。

ニュースでは取り扱わなくなった。

といっても……。

問題なのはそこに通ってた生徒たち。

目の前にいるえちるもその1人で。

学校がなくなってからしばらくして。

あさひ達が通う高校に転校してきた。


えちる「前の学校でも……友達いなくて……」


えちる「わたし……うまく……しゃべれないし……」


えちる「それで……いじめ……られてて……」


えちる「でも……学校が……なくなって……」


えちる「……これでうまく……いくかもって……」


えちる「思ったけど……」


友達になろうと言ってきたのがああいう奴らだった。

どう慰めていいかあさひには分からなくて。

少し言葉に迷いながら。

あさひは言った。


あさひ「それなら俺と友達になってくれないか」


えちる「……え……?」


あさひ「俺も友達が少ないし」


あさひ「今日もその少ない友達にふられて」


あさひ「1人で学食に行こうとしてたんだ」


あさひ「だからえちるさ……」


あさひ「えちるが友達になってくれると嬉しい」


えちる「…………」


あさひ「もちろん、えちるがいいならだけど」


えちる「い……いい……の?」


えちる「わたしって……話すのが……苦手で……」


えちる「とろくて……何も……できないけど……」


あさひ「友達になることにそういうのは関係ないからな」


えちる「そ……それ……それなら……」


えちる「わ……わたしと……友達に……なって……ください……」


あさひ「もちろんだ」


そう言ってあさひは微笑んで。

えちろも微笑んで。

その笑顔を見ながら。

たまにはいいことをするのもいいもんだなと。

あさひは思った。

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