天邪鬼【あまのじゃく】
ちょっと更新遅れました。
すいません。
『カムイ』。それは竜人族に多い人間でいう苗字のようなものらしい。他にもカムイの名がつく人物は大勢いるらしいが今はおいておく。
「何をしにきた。人間。」
「お前こそこんなとこで何をしている?」
「ウチの質問に答えろ。何をしに来た。」
似たようなやりとりをつい1週間前にやったような気がする。とりあえずここは素直に答えるとする。
「あぁ、俺は橋中悠貴だ…」
「何をしに来た。」
「今から話すからちょっと待て!」
やはり人間を嫌っているのだろうか。こちらのことを警戒している。まぁ当然だろう。人間を嫌ってなくても警戒するわ。
「まぁ、なんだ…竜が出るって噂を聞いたから、それで…」
「捕まってたまるか…」
声が聞こえた。
次の瞬間目の前の少女の腕が屈強な竜の腕に変貌した。戦闘態勢だな。これは。
あの腕で、あの爪で切り裂かれたら恐らくあの世へ逝けるだろう。
「悠ちゃん、下がって。」
「全力でサポートするからね。凛!」
「よし!お前ら、やってやれ!」
異世界転生をしていたら悠貴だって改造能力を使えたかもしれない。しかしこの物語で異世界にやって来るのは改造能力を持った亜人の方だ。悠貴が勝てるわけない。ここはこいつらに…
「こんなんでいいのか…俺は…」
凛とミラは竜化したカンナと命懸けで戦っている。あの2人は一生懸命戦っているのに、そんなやつらと一緒に勝利を勝ち取って、共に喜んでいいのだろうか?悠貴に共に喜ぶ資格なんてあるのか?
「何もしてないくせにそんなことしていいわけないよな…」
悠貴は新たに決意した。
ミラを守るために。ミラの夢を叶えるために。悠貴は精一杯戦うと決意した。
「戦力もない俺が、知識もない俺が、固定概念に囚われない俺が、天邪鬼な性格の俺が、新しい時代を切り開いてやる!!!」
口だけだというのは悠貴にもわかっている。何も出来ないことだってこともわかっている、無茶なことだってこともわかっている、ただ俺という存在を正当化するためだということもわかっている。でも…
「悠貴のためならなんでも協力するよ!」
「私たちは仲間なんだもん。協力して当然だよ。」
「お前…ら…」
そうだ、仲間だ。悠貴には仲間がいる。こんな悠貴に好んでついてきてくれる頼もしい仲間がいる。
「よしっ!ミラ!呪いをかけろ!」
「わかった!」
「俺に!」
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