傍観軍の王
「すげェよお前ら!この俺に奥の手を使わせるなんてよォ!確かにお前の推理どおり俺は魔法には干渉できねェし、それを見抜かれることだッて想定内だ。ッてことはもちろん対抗策だッて考えてある。」
アクセルがそう言った瞬間、彼の周りに美しい#黄金色に輝く発光体がたくさん現れた。
それはどんどん数を増し、あっという間に30個程現れた。
それにしてもこれは一体何なのか。アクセルが持っている力をどう応用して使っているのか?
しかし、その答えはかなり単純なものだった。
「光属性光系統魔法。俺は属性魔法だって使えるんだよ。まァ喧嘩でこれを使うのは初めてだけどよ。」
アクセルがそう言い終わったのとほぼ同時に金色に輝く発光体のひとつから光の矢が放たれた。その矢は大気に綺麗な直線を引きながらレグルスの方へ向かってくる。
レグルスがその光の矢の攻撃を防ごうと身構えた時、アクセルが不気味な笑みを浮かべているのを確認した。
しかし、その笑みが何を意味しているのか。考えるよりも先に矢が直撃した。その矢はレグルスに触れた瞬間、爆発したのだ。その時レグルスは遠のく意識の中疑問を抱いた。
光系統の魔法に爆発する仕組みなんてない。そもそも魔法が爆発することなんてありえないのだ。では、この爆発は一体?
「確かに俺は魔法には干渉できねェ。『他人の魔力』だからなァ。でも、自分のマナだッたらどうだ。自分になら力を加えることができるんだ。だッたら自分のマナにだッて干渉できる。あの光の玉に圧力をかけてある。矢を放ッた時にはまだ解除してねェ。そして、敵に当たった瞬間に力を解除する。するとどうなると思う?圧力を加えられていたマナが元の形に戻ろうと膨大な力を生む。それがあの爆発だ。今30程あるこの発光体。言えば全部爆弾だァ。お前らぐらい簡単に相殺できる!!」
その鋭い双眸に、その細い体に狂気を宿し最凶の虐殺になることに嗤うアクセル。
しかし、相手の魔法の爆発の原因が分かった。あとは打開策を考えなければ。
ここまで来て負けるわけにもいかない。何としてでも勝たなければ。
しかし、逸る気持ちに思考回路が停止し思うように頭が働かない。
アクセルの攻撃を受けたことによって体の所々に痛みが走る。
頭が沸騰するのではないかと思うほどに頭をフル活用し、打開策を練る。
何か。何か。何か。何か。何か。何か……。
ふと目を前に向けると小さな体躯が目に飛び込んできた。カンナの背中だ。カンナがアクセルを前にして立っている。
「おい…?一体…何を…?」
あまりに衝撃的すぎて言葉が出てこない。
カンナは視線をアクセルに向けたまま口を開いた。
「魔法というのは別系統の魔法同士反発し合うという特性があるの。簡単に言うと磁石のプラスマイナスみたいな。今のアクセルの発言と、私の攻撃を逸らしたことが証拠よ。私から攻撃を与えることはできないけど、アクセルからだって攻撃を与えられない。」
「なるほど、その間に攻撃しろってわけだな。」
カンナの言った通り魔法にはそれぞれ2つずつ系統がある。そして、同属性の別系統のマナ同士は反発し合うという特性を持っている。そのため、アクセルはカンナの攻撃を別の方向に変えることができた。
確かにあの無数の爆弾とも言える発光体も、光系統のマナなのだ。それによって生まれる攻撃はカンナになら逸らすことができる。
「甘いんだよお前らはァ!!おい!これを見ろよ!!俺の力によッてどんどん圧縮されていく膨大な量のマナ!!これの力を解除された時どんな威力になると思う?軽くこの街を吹き飛ばせるぜェ!!」
アクセルの頭上。そこには太陽を思わせるような眩い閃光を放つ巨大な光球があった。その光球はみるみる小さくなっている。恐らく相当な圧力がかかっているのだろう。それでも直径5mはある光球が圧力から解放された時とんでもない爆発を起こすに違いない。
「ギャハハハハハハハハハハ!!!!見ろよこれェ!!今までにねェ最高の惨劇図が浮かぶぜ!!ほらよ!!よく見とけ!!ギャハハハハハハハハハハ!!!!」
アクセルは狂気に満ちた笑い声をあげ、レグルスたちにその威力を見せつけるために、ゆっくりと1歩、2歩と歩みを進める。
『歩みを進める』?
「あぁ、確かにすげぇよ。そんなバカでけぇやつが爆発したら、そりゃあ街も吹き飛ぶだろう。だけどもうお前はそんなことできねぇよ。もうお前は負けたんだよ。」
不意なレグルスの発言に、頭に疑問符を浮かべたアクセルが足を止める。
この絶体絶命の状況で「お前は負けた」なんて言われたのだ。
どう考えても有利な状況で…。
「動いたな。傍観軍の王。」
「────ッ!?」




