弱点
「アクセルを倒す方法?」
「あぁ、そうだ…。この男だって弱点がないわけじゃねぇ…。弱点を突けば倒せるんじゃねぇかって。」
意識が朦朧とする中、か細い呼吸ではあるがなんとか力を振り絞り声を出したレグルスがそう言った。
アクセルの弱点。そんなもの本当に存在するのだろうか?自分か動物以外の物にプラスマイナス×20倍の力をかけることができる能力。『力点人間』。
この世に存在するあらゆるエネルギーを最大2倍の力で反射する有効魔法。『反射魔法』。
この2つの力を自在に組み合わせ巧みな攻撃を仕掛けることの出来る頭と運動神経を持つこの力点反射鏡に本当に弱点なんかあるのだろうか。
レグルスはミラに肩を借りながらよろける足を力強く踏ん張り、立ち上がる。そして、
「ミラ!凛!カンナ!みんな最大火力の魔法を放つ準備をしろ!」
「───あァ?なんのつもりだァ?」
ミラ、凛、カンナはレグルスの言葉に戸惑いながらも最大火力の魔法を放つ準備をする。
凛の足元には美しい水色に輝く魔法陣が組まれ、辺りを凍てつかせる冷気で満たす。膨大なマナが甲高い音と共にこの世界に干渉する。
カンナは竜化して、毛並みの整った純白の美しい体毛を露わにしている。頭上にはカンナが発生させた漆黒の雷雲が『ゴロゴロ』と轟音を立てており、今にも巨大な#雷が落ちてきそうだ。
ミラは漆黒のオーラを纏い、吸収魔法の準備をする。
レグルスは右腕に炎を纏っている。
「おい、アクセル。俺がどんなに物理技を打っても全部跳ね返してきたけどさ。お前、魔法には干渉できねぇよな?」
「───ッ!?」
「ほら、そうやって動揺しているのが証拠だ。」
レグルスの言葉にアクセルが異様に反応する。その鋭い双眸に動揺を浮かべ、特に暑くもないのに額に汗をかき、必要以上に歯をカチカチと鳴らしている。
これを見て、レグルスはアクセルが魔法に干渉できないことを確信する。
「『発魔反応』。魔法はこの反応によって生成される。これはあくまでもマナが結びつくことによって起こる反応であり、全くエネルギーを持っていない。つまり、お前のエネルギーを自在に反射する反射魔法は通用しない。」
「────ッ!?」
「さらに、魔法というのは動物の体内に流れる体力によって生成されている。つまり、動物の体の一部と言っても過言ではないだろう。お前は自分以外の動物に力を加えることができない。ということは、この体力にも力を加えることができねぇよな。」
これがレグルスの見解だ。この一見最強そうなアクセルにだって突破口が無いわけじゃない。アクセルは魔法に干渉できない。つまり、魔法が使えないこの人間界においては無敵である。そのため、彼の夢の実現のためにこの人間界の人たちを支配することが容易にできる。
ならば、魔法が使えるレグルスたちはこの男を止めなければならない。レグルスたちにしかアクセルを止められない。
だから、
「みんな!放て!!」
レグルス、ミラ、凛、カンナが一斉に最大火力の魔法を放つ。ここまでしないとこの頑丈なアクセルは倒せない。
一部では氷山の如く氷が辺りを埋めつくし、一部では無数の雷が降っており、一部では紅蓮の豪華が辺りを焼き付くしており、そしてその全てを漆黒のオーラが包んでいる。
人間では感知できないが、膨大なマナが辺りに満ちている。
これほどの総攻撃を受けたのだ。いくらアクセルとはダウンするだろう。
勝利を確信したレグルスが安堵に胸をなで下ろした時、爆煙の中から眩い光が放たれた。
この光は一体何なのか?その答えはすぐにレグルスたちの目の前に現れた。
爆煙が晴れた中、未だ輝く光。
その中から現れたのは。
「────アク…セル…?」
「ククククククク。あァ死ぬかと思ッたァ。まァ生きてたけどォ。」
無傷で自身の無事を確認するアクセルがいた。




